もち
1分だけお時間ください
「ターゲットは十五分後にこの道を通る」 耳もとに低く流れてくる伝達。 「全員、配置につけ」 じっとりと汗ばむ皮膚が、緊張する全身を締めあげる。 「5、」 カウントが始まり、ふいに鳥肌が立った。 「4、」「3、」「2、」 何度やっても慣れるということのないこの状況。 集中せよ。集中せよ。 合図を待って息をつめる。 「1、」 「……GO!」 凄まじい羽音が炸裂した。 天上界に集められた白い鳩の群れが、一斉に己の胸もとを掻き毟りだす。