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文章なんて苦手だ②

絵を描くときに最初に何をするか?
展示が決まったらどうするか?
そのことについて書いてみようと思う。
その第二段階。

①で話題にした脳内地図(マインドマップ)で可視化した文字から文章を起こしていく。
いや調べつつ引き出した言葉を拾っていく感じだ。
海に決まってからも何度か脳内地図のようなことを繰り返したり調べたりつっかえたり、友達に見てもらったりしながら進めていき…
それで2020年9月の個展のタイトルは
「あなたこなた よするなみ ひきなみ」
に決まった。
(前提は寺院での展示)
テキストはこうなった。


あなたこなた よするなみ ひきなみ

この度の展示にむけて、展示テーマと掲げるタイトルにはかなり悩んだ。
寺院という場所の力や信仰心、歴史、特殊性、圧倒されてしまうような背景を感じでしまったからだ。
だからといってそのように思ったことを無視はしたくない。それでも展示を実現したいと思ったのは好奇心が勝ってしまったのもある。
ただ展示するだけではなく、何か自分なりに表現し言葉にし少しでも消化、昇華してみたいと考えている。
普段表現し続けている作品、心を騒がし続けること、それらが仏教的考えや示すものとどこかで 類似性や共通性を持つこと、自分にどう作用するのか好奇心が尽きないのだ。

「あなたこなた よするなみ ひきなみ」
まずはこの言葉を展示のタイトルとして起点にしたいと思う。
「あなたこなた よするなみ ひきなみ」は
「彼方此方 寄する波 引き波」
と書く。
今までの展示の表題には必ずといっていいほど平仮名を使っている。
柔らかい字面と言葉の意味のふくらみを好んでいるからだ。
表題に使った言葉の「彼方此方」はあちらこちらとか、あっちこっちという意味だ。
私としては この響きから、遠くであって近くにもある世界、あちらの世界、こちらの世界、というイメージを持った。
彼岸、此岸、あの世とこの世...と言ってしまうとはるかに遠い世界のように感じるが、すぐ傍にあ るもう一つの世界、絶え間なく行き来する、循環するものなのではないか。 そうすると自分のいだく仏教のイメージとつながっていくように思えた。 そして「彼方此方」という言葉に続くイメージは眼前に広がる海だった。
「寄する波 引き波」海から打ち寄せてまた遠くに引く、常に動き続ける波はあちらの世界とこちらの世界を繋ぐ止まらないうねりのようだと思ったからだ。
あちらの世界からこちらの世界、繋ぐ海、海からこちらの世界に触れる波、あちらへ誘う波。 あちらこちらその間を無限に往復し絶えざる循環するものとして今回の表題を書いた。 今までも海、波を身近なものとして無意識的に親しみを持って、ときには装飾的に描いてきた。
今回の展示では表題を考える上で導き出された印象を手がかりに視点を置き直して作品に取り組みたいと思う。

③へ続く

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