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漫画描くのに使った本とか人物とか。

二階堂弥太夫

『土佐の伝説』(1977年発行)の登場人物。
怪しい星が空に現れ、それと時を同じくして疫病が流行。
村の弓の名手、二階堂弥太夫はこれを星によるものと考え、天に向かって力いっぱい弓を引いた。
弓は折れるも不思議なことに矢はどんどん空に昇り、星を射落とした。
落ちた星は数日に渡って怪しげな光を放っていたという。
弥太夫は熱病に侵され、命を落とした。村人はこれを星の祟りと考えて、篤く祀ったという。
…ハレー彗星と、流星でしょうか。高知には1008本の矢を放って退魔を行う祭りも残っています。英雄的な弥太夫がなんとも哀愁を誘う好きな昔話です。

しっぺい太郎

人身御供論(ちくま学芸文庫)より。
各地に残る猿神退治神話。基本パターンは猟師と犬であるが、バリエーションとして旅の坊主、行者と犬であったり、犬がいなかったり、猟師が異界と現世を行き来するようになったり、討伐対象も猩々だったり蛇だったりと地域差があって非常に面白いですね。神への人身御供という概念が自然に語られており、原型はかなり昔からあるのかも…?俗にいう『白羽の矢』が広く知られる立役者ではないでしょうか。1000年ほど前に書かれた今昔物語集が文章での初出。
犬が死んでしまうパターンが悲しくも英雄的で好き。

ヤマタノオロチ退治、黄泉比良坂神話

海の民の日本神話(2021年)
私の日本古代史(2012年)
神話学の本(名前失念)より。
スサノオが出雲で行うヤマタノオロチ退治の話。
出雲での製鉄の民を倭国が征服した話であるとも、洪水の治水神話とも言われますね。
長野県山田神社には、ヤマタノオロチとゆかりのある蛇石を祀っているそう。
話の形はギリシャ神話のヘラクレスがヒドラを退治するものと似ています。
ヤマタノオロチは八つ首、ヒドラは九つ首であったりと。
神の生贄から娘を救い結婚する、という流れもギリシャ神話にあり、冥界に妻を取り返しに行くが約束を守れず(振り返ってしまい)妻は帰らなかった、というオルフェウスの『見るなの禁』も同様です。
古事記においてスサノオは章ごとに性格が全然違うのですが、これはポリネシアの食物起源神話であったりヘラクレスの英雄譚であったりが複合しているため、このような形になっているのでしょうか。
自分が描いたように、世界で同じような怪奇現象が起きていたらと思うと面白いですよね。

洪水神話

世界の洪水神話―海に浮かぶ文明(2005年)より。
シュメールの神話、ギルガメッシュ叙事詩、聖書に残る洪水神話。
世界各地に洪水神話が残っていますが、大航海時代や布教により元から土地で語り継がれてきたのかさっぱり分からないのが辛いところ。
16000年前には温暖化により100mほど海面が上昇したこともあり(縄文海進)、世界各地で同様の話が残る理由は十分にあるのでしょうね。
日本神話に大洪水の話が無いのは不思議ではありますが、イザナギとイザナミが何もないところに島を作って…の国生み神話自体が洪水後を指しているのでは?という興味深い話もあります。
面白くて好きな話です。脱線しますが、ノアの箱舟を探してアララト山に沢山の探検家が出ており、見つけた/見つけてないというひと悶着話もまた面白いですよ~!





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