人造人間7号を───憶えていますか。
《人造人間7号/Jinzo #7》
1999年9月23日、Vol.5にて登場。
初期カード特有の強過ぎる絵力、ゲーム内セリフで1号から6号はもういないと語る妙にアツいキャラクター背景から個人的に大好きなカードです。あれ…英語名だと1号はサイコショッカーなんだけど……
同期で大量に出た直接攻撃出来るモンスターの一角にして、その中では最大の攻撃力を誇ります。
(尚、その同期とは女王の影武者(350)、魔法のランプ(400)、ラージマウス(300)、レインボーフラワー(400)、レッグル(300)なので、7号の500は中々恵まれている事がわかりますね)
この中では戦士族でサポートに厚い女王の影武者と、轟の大海蛇の融合素材なため各種融合サポートに対応する魔法のランプは全国の好事家から熱い視線を注がれています。魔法のランプワンキル作ったけどめちゃくちゃ弱かったでは…人造人間7号はどうなのかというと、15年の時を経て『人造人間』をサポートする、人造人間サイコ・ジャッカーが登場したことによってまさかのテーマ入りを果たしています。
《人造人間-サイコ・ジャッカー/Jinzo - Jector》
しかしサイコショッカーとのシナジーは特にないのが実際のところ。
また、例によって攻撃力500以下の機械族なため機械複製術に対応します。
《機械複製術/Machine Duplication》
そしてリミッター解除にも対応するため、機械複製術で3体並べて団結の力を装備、リミッター解除をかませば1000+1000+5800で累計ダメージは7800。
《リミッター解除/Limiter Removal》
《団結の力/United We Stand》
スケープゴート+団結の力+リミッター解除なら攻撃力9000で直接攻撃しワンキルが可能であり、人造人間7号が語られる時は概ねこのコンボが出来るから良いよねとなっています。
しかし果たしてこれが人造人間7号の出せる限界なのでしょうか?
人造人間7号が登場して実に24年の月日が流れていきました。
時に今一度、その可能性について考えたいと思いませんか?思いますよね!?
①人造人間7号、その固有のメリットを探す
上で書きましたが、機械複製術とリミッター解除に対応しているというのはダイレクトアタッカーと噛み合っており、強みになります。
しかし同様の条件のモンスターはD・ボードンが存在しており、ディフォーマーの優秀な展開力からラジオンと並べてワンショットも狙える強力なライバルポジションになります。
《D(ディフォーマー)・ボードン/Morphtronic Boarden》
守備力は1800あり、ボードン2体を並べれば戦闘破壊耐性もつけれます。複製団結リミッターで殴る場合は上位互換と言って差し支えなく、差別化を意識したいところ。
さらにはボードンは地属性機械族であるため列車やマシンナーズ、無限起動らとサポートを共有できるため、デッキとしても纏め上げやすいスキのなさ。
なんだか既に全方位から風が吹きつけていますが、7号の属性を見てみるとこちらは闇属性機械族。
あのバンデット・キースさんの使用した闇機械のサポートカードに対応します!やったね!
それでは闇属性機械族のサポートを見ていきましょう。
《鋼鉄の襲撃者ヘビーメタル・レイダース/Heavy Metal Raiders》
《デスペラード・リボルバー・ドラゴン/Desperado Barrel Dragon》
鋼鉄の襲撃者は7号に戦闘耐性を付与し火力を補強、デスペラードは闇属性機械族が破壊されると手札から特殊召喚され、バトルフェイズでシリンダーを回し最大3体の選んで破壊+1ドロー。
一見悪くないように見えますが、これらは戦闘での殴り合いを補助するカードであり、ダイレクトアタッカーである事を生かしてワンキルを狙いたい7号とは微妙に噛み合っていないことがわかります。
そもそもこの闇属性機械族サポート、キースがギャンブルカードを使用していたため効果がそちら寄りになっているため少々使いにくいカード群でもあります。罠カードメタを意識するあまり相手に罠カードが無いとロクに動けない謎の人造人間サポートよりマシですが
鋼鉄の襲撃者のステータスアップは永続なため、強化札を引けていなくてもわざと自分から殴りかかることでダメージ分強化、返しのターンは戦闘破壊耐性で凌ぎ次の自分ターンでダイレクトアタック………といきたいところですが、少々火力を上げたターン1の戦闘破壊耐性程度では、間違いなく次の自分ターンは回ってこないことだけは分かります。
デスペラードはなかなか見るところがあり、87.5%の確率でモンスターを1体以上破壊出来ます…が、やはり被破壊という特殊召喚条件はアドバンテージの回復が難しく、ギャンブルはバトルフェイズ限定である上発動したターンデスペラードは攻撃できません。
そのため自分のターンに出してもダメージが伸びにくく、相手ターンでもバトルフェイズでないと効果を活かせない…と中々もどかしいカードですね。
(しかし特殊召喚効果と墓地送り時のコイントスカードサーチにはターン1が無いため、新規カード次第では化けうるポテンシャルの化身であると思います)
その他に、墓地から除外する事でデッキか除外ゾーンから闇機械を手札に加えるカウンター罠オルフェゴールクリマクス。
同じく墓地から除外すると闇機械をおろかな埋葬しレベル×100の攻撃力アップをかけれるオルフェゴールトロイメア。
闇属性のリンク先に特殊召喚でき、自身をリリースして手札から闇機械を特殊召喚できるヴァレットキャリバー。
など、闇属性機械族のサポートを見るとサーチ墓地肥やしリクルートと悪くないカードが揃っています。しかしいかんせんそれらのカテゴリ単位と共存する事が難しく、ディフォーマーゆえにリクルートに恵まれるボードンとの間には高い壁があるように思われます。
視点を変えてレベルを見ると、レベル3機械族のボードンに対して7号はレベル2機械族。
これは古のカード、ロード・ウォリアーに対応しておりデッキから直接特殊召喚が可能である事を意味します。
《ロード・ウォリアー/Road Warrior》
こちらはデビルフランケンを引っ張ってくる展開パターンでよく用いられたカードですね。
しかしその実、チューナー指定とチューナー以外のモンスター2体が必要という召喚条件が今なおキツく、デビルフランケンと異なり1枚ではアドバンテージを取れない7号には少々荷が重いところ。
こうして見てみると、闇属性機械族レベル2というステータスは指定するカードこそそれなりの数があるものの、直接攻撃がメインの人造人間7とはイマイチ噛み合わずステータスアップは結局リミッター解除等に頼らざるを得ないことがわかります。
では、やはり往年のコンボ7号複製(スケゴ)団結リミ解するしかないのでしょうか。
24年の月日は百代の過客にして、行き交っていっただけなのでしょうか────?
しかし、2022年、人造人間7号界隈に激震が走りました。
レベル2であるというその一点において、人造人間7号に捲土重来の機運が来ります。
《ギガンティック・スプライト/Gigantic Spright》
そう、レベル・ランク・リンクが2のカードをサポートするスプライトに対応したのです!
スプライトはレベル、ランク、リンクが2に限定されており、展開の要となる下級モンスターは全員が
『1ターンに1度自分フィールドにレベル2または(ランクもしくはリンク2)のモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。』
という、ルールでの召喚が可能です。
固有の効果については公式様を引用させて頂くと……
等々妨害、展開、打点それぞれに優れており、優れすぎてユニオンキャリアーや餅カエルと組んで暴れ散らかしたためそれら2枚は禁止にぶち込まれるに至っています。
スプライトの強さは言うまでもありませんが、人造人間7号視点で見てみるとレベル2を2体並べればデッキ、墓地からの特殊召喚が可能と、難点であったフィールドへのアクセスが一気に解決します。
単にレベル2で相性が良いというだけでなく、他のレベルやランク、リンクを経由せず機械複製術で展開出来る人造人間7号の強みがここで生きてきます。
ギガンティックスプライトやスプライトスターターの効果を使用すると、レベルランクリンク2以外の特殊召喚に制限がかかってしまうためですね。
そのためスプライトはカテゴリ単位で相性の良い、イビルツインやガエル、素早いシリーズなどと組んだり、出張していました。
それらとの相性は大会での結果が示していますが、人造人間7号にも好相性なカードが存在します。
《スプライト・ガンマ・バースト/Spright Gamma Burst》
喉から手が出るほど欲しかった、全体強化です!(大興奮)しかも数値は1400アップと破格。
速攻魔法なのに加えて墓地から除外して単体1400UPのオマケつきと泣けるほど強く、スプライト・ジェットでデッキからサーチも可能です!マジかよ…?!
②スプライトとの相性
一例として7号+スプライトブルーのシンプルな展開を見てみましょう。
・7号召喚しスプライトブルーを特殊召喚
・ブルー効果でジェットを手札に加えジェット特殊召喚
・効果でガンマバーストを手札に
・ブルーとジェットでスプライトエルフをリンク召喚
・スプライトエルフでスプライトのどちらかを蘇生
・蘇生したスプライトとエルフでギガンティックスプライトをエクシーズ、効果で7号をデッキから特殊召喚
これで盤面に7号が2体と3200打点のギガンティックが立ち、サーチしたガンマバースト発動で1900+1900+4600の合計8400打点になります。
足りなくない?と思われるかも知れませんが、スプライトにはスプライト・ピクシーズというオネストみたいなカードがあり、ギガンティックの打点さえ通ればあとはダイレクトアタックでワンショットも狙えます。
機械複製術+スプライト・スターターや機械複製術+何らかのレベル2(展開札ならなんでも可)+スプライト・ブルーのパターンであれば攻撃力4600のギガンティックに7号の攻撃力1900ダイレクト3発(5700)が立てれます。
仮に決めきれなくてもメイン2で闇属性レベル2を指定するNo.65 裁断魔人ジャッジ・バスターをエクシーズすればモンスター効果無効+500ダメージを構えられますね!
人造人間7号、機械複製術、リミッター解除、団結の力などの組み合わせは、それぞれが単体では死に札であることが明確な弱点でした。
しかしスプライトが必要に応じて7号をデッキから特殊召喚できるため、初動札が多く安定性が増しています。
元々の地力が高いため妨害を乗り越えやすく、人造人間7号+機械複製術にスプライトパーツでデッキが完結しているのも良好です。
③人造人間7号じゃないとダメなの?
非常に難しい問いかけに見えて、実はダイレクトアタッカーであることが明確なメリットになり得るのです!
一見打点を増強するならダイレクトアタッカーでなくても良いのでは?と思えますが、ガンマバーストはフィールド全体を強化するため、相手の各種2のモンスターも強化してしまいます。
これはシングル戦のみのマスターデュエルにおいて重要で、スプライトミラーマッチにおいて双方強化されてもこちらは殴ることが可能という利点になるのです。
スプライトが登場した場合に増えそうな幽鬼うさぎも発動する効果がないため機械複製まで引っかからないという嬉しいのか嬉しくないのかよくわからないメリットもありますね!
そして、スプライトと組んだ場合に遥か上で書いたデスペラードリボルバードラゴンにも強みが見えてきます。
上ではデスペラードの召喚条件が闇機械が破壊されること、という受け身であることをデメリットとしました。
しかし、相手ターンに出せるという事がむしろギガンティック・スプライトやスプライト・スターターの『自分のターン終了までレベルランクリンク2しか出せない』という召喚制限回避に繋がるのです!
更に言うならば相手視点で見た時、バウンスや除外などの除去を打ちたいのは蘇生など再利用でアドバンテージを稼ぐスプライトパーツ。
人造人間7号はそのステータスの低さからも戦闘破壊での処理を狙われやすく、デスペラードのバトルフェイズ限定のギャンブル効果も生きやすいと言え、全てのカードが繋がりだしてめちゃくちゃワクワクしています。
ひとまずスプライトはここまでに。
スプライト………早く来てほしいなあ……
④現在マスターデュエルで構築可能なデッキ
苦心構築中ですが、必要なカードから考えれば機械複製術は間違いなく採用ですね。
人造人間7号の欠点はカードパーツの多さにありますが、機械複製術は現在でも発動さえ出来ればパワーカードにあたります。
むしろ問題なのは人造人間7号、機械複製術だけではなくリミッター解除(団結の力、スケープゴート)という全てサーチ不可な組み合わせなために活躍が困難になっていることでしょう。
しかし上のスプライトで見たように、展開方法と火力アップさえ安定すれば決して侮れないスペックであると感じます。
まずは現在可能な展開、サーチを見ていきましょう。
○デッキからの直接特殊召喚
単刀直入に言うと、レスキューフェレットが有力だと思います。
《レスキューフェレット/Rescue Ferret》
現代の展開力を頼りましょう!
そう、イゾルデダークドリアード展開です!
要約すると、イゾルデが召喚出来れば4素材スカルデッドが立ち、レスキューフェレットをサーチ出来るという展開パターンになります。
ここからスカルデッドの効果でレスキューフェレットを特殊召喚し効果発動、デッキからサモンプリーストと闇レベル1のペンデュラムモンスター2体を特殊召喚。
スカルデッドとサモプリでクロシープをリンク召喚し、闇ペンデュラムモンスター2体で覇王眷竜スターヴ・ヴェノムを特殊召喚。
融合モンスターが出たためクロシープの効果で墓地からサモプリを出し効果発動、デッキから終末の騎士、効果で人造人間7号を墓地へ。
デュガレスをエクシーズし効果で7号を蘇生します。(*但し守備表示)
これによりクロシープ、デュガレス、7号、スターヴヴェノム(効果未使用)の盤面となります。
これはつまり、
イゾルデが出せるなら人造人間7号をデッキからリクルート可能という事です!!
攻撃表示で出したい場合はサモプリで出すモンスターを黒き森のウィッチにし、人造人間7号をサーチ。機械族をリンクしプラチナガジェットで手札から特殊召喚するなど柔軟性もあります。
この展開パターンの素晴らしいところはスカルデッドの手札交換によって事故率が非常に低いところ。
また、イゾルデと炎聖騎士リナルドを通るため手札如何では任意の装備魔法を手札に加える事ができます!
これはスプライトで書いた人造人間7号の展開と火力アップが同時に可能という事ですね!
団結の力をサーチすれば展開力も相俟って6体並ぶのは容易であるため、4800アップ、5300ダイレクトが可能になるのは魅力的と言えます!
(*ただし、妖刀竹光の回収を諦めるためサモプリの手札コストが追加で必要になります…)
このムーブは非常に魅力的ですが、非常に明確な弱点があります。イゾルデ展開をされる方なら分かると思いますが…
妨害耐性が全くありません!
デッキのリソースを総動員してぶん回す上、エクストラのユニオンキャリアーとエレクトラムは制限カードなため一度妨害されるだけで瓦解します。
元々先行でワンキルをかますような展開なので後を考えないのはもちろんですが、人造人間7号は殴って勝つ都合上1妨害を受けたら終わる展開を後攻でしないといけないという血を吐くマラソンのような試練が待ち受けています。
●結論
現代の展開ルートを用いればチャンスはあり、スプライト編成はやれる…のではないか!?と思うのでランクマッチで試してみたいと思います。
現状私が出した答えはイゾルデダークドリアード展開と闇機械ビートですね。スマイルワールドのような全体火力上昇カード新規が増えれば…!それまでは機械複製術してユニオンキャリアーリンク召喚して7号にドラゴンバスターブレード装備が1番強いですね展開パターンやデッキ編成はまだまだ詰めきれていないので、今後も練っていきたいところですね。
しかしユニオンキャリアー、スプライトが来たら禁止になりそうだなあ……
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