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2:ななこ、病院を巡る

中学生になってから始まった頭痛や吐き気の症状。これがあまりにひどく、様子を見ていても状態が落ち着かなかったため、病院に行くことにしました。
診察を受け、検査を受けました。
血液検査、MR、CT、起立性調節障害の検査、髄液漏れの検査。
全て異常なしの結果でした。

病院はいくつもいくつも回りました。
ですがどこで診察を受けても、検査をしても異常なし。
どこから切り取っても数値上は健康体でした。

これだけ辛い症状があるのに、病名すらつきませんでした。治療としては、対処療法的な薬を出してもらうことだけでした。処方される薬は、記録を取っておらずうろ覚えですが、向精神薬が多かったと思います。感覚を鈍らせて痛みを感じづらくさせるためとの説明でした。指示されるままに試しましたが、私の場合は薬を飲んでも症状には一切効かずに、副作用だけが出ることがほとんどでした。良くなりたくて薬を飲むのに、薬を飲むほど体調が悪化する。次の診察の時に医師に副作用しか出なかったと報告すると、また別の薬を処方され、また効かずに副作用だけが出る。次の診察でまた薬を変える。その繰り返しでした。

漢方は副作用が出づらいという話もあり、漢方外来に通ったこともありました。いくつか試しましたが、どれも症状には効かず、副作用が出るだけでした。私の場合は、どの薬を飲んでもポジティブな反応が一切出ず、むしろ精神的に不安定になったり、体調がより悪化したり、ネガティブな反応しか出ませんでした。薬を全身で拒否しているような感じでした。結局合う薬が見つからないまま投薬治療は打ち切りました。

鬱ではないかと言われ精神科の受診を勧められたこともありました。精神科も何件か行きましたが、どこも「鬱ではない」という診断で終わりました。

一般的な内科ではなく、頭痛外来を紹介されたこともありました。頭痛を専門とする外来ということで、何か特別な検査や一般内科にはない知見で診察してもらえるのかと期待しました。きっと私の頭痛の原因も見つけてもらえる。この痛みを取り除く治療を始められる。そんな期待を持って頭痛外来を受診しました。ですが頭痛外来のある病院をいくつも巡りましたが、どこも治療らしい治療には至らず、症状を改善させることはできませんでした。

どの病院の頭痛外来で受診しても大体流れは同じで、明らかな疾患が見られない慢性的な頭痛には、「片頭痛」と「筋緊張型頭痛」の2種類があるという説明を受けます。私の場合は両方の特徴に当てはまる点があったので、どちらとも明確な診断はつきませんでした。検査もこれまで内科で受けてきた検査以外の提案はなく、それらの検査で異常なしだったことを伝えると、それ以上何かを調べることもありませんでした。

そして「経過を見ましょう。次回の診察までにこれを書いてきてください」と言われ、「頭痛日記」を渡されます。頭痛日記とは、痛みを数値化してグラフ化するもので、10段階評価で毎日起きている時間の痛みのグラフをつけていきます。目的としては、痛みの傾向を調べることのようでした。時間帯によって痛みの強い、弱いがあるのか、天気や気圧と関係しているのか、グラフをつけることで可視化させようというものです。

ただ私の場合、痛みは何にも関連していませんでした。朝でも夜でも、晴れでも雨でも、何も関係なく、意識のある時間は常に同じ強さで痛かったのです。そのため何日記録を取ろうが、どこまでもほぼ横一直線のグラフになります。それを診察に持っていくのですが、診断の何の手助けにもならないようで、具体的な診断や治療には結びつきませんでした。こうしていくつか病院を回りましたが、どこも同じように横一直線の頭痛日記を書いて終わりました。

私としては最後の希望として試した頭痛外来でも結果が出ず、これで病院では打つ手なしとなってしまいました。病院に行けば、検査を受ければ、何かしら原因が分かって治療に取り組めるものと思っていましたが、現実はそんなに甘くはありませんでした。原因はわからず、手がかりすら見つけられませんでした。

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