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この本とあの本の間

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本棚にある、好きなあの子とこの子の隙間に挿すような、本にまつわるエッセイ。
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2019年5月の記事一覧

私と、降り積もる彼女たちのこと

いままでに読んできた本をふたたび手にするとき、私はきまって、あなたの姿を見つける。 その一冊を読んだ季節のにおい、日の陰り、部屋の明かりの白さ。本を読みながら迎えた朝の、窓の外で始発の電車が走る音。通学路や教室の片隅、あるいは暖房のきいたバスの籠もった空気が肌に触れる感触。 一冊の物語をふたたび訪うと、そうした思い出の欠片が、ほんのすこし香って、文字の間に溶けていく。そのとき一瞬垣間見えるあなたは、まだ小学生くらいであったり、かと思えば、きちんと大人になっていたりする。あな