しゃべるピアノ
「なになに、つまり100万分の1の確率でしゃべるピアノが当たるってこと?」
「その、しゃべるピアノってどんなメリットがあるのさ?」
「それは、しゃべるって特徴を活かして、教えてくれるんだよ、ピアノを。ただ、しゃべるピアノは2分の1の確率でどもるピアノなんだよね」
「……え? じゃあ100万分の1じゃないじゃん。200分の1じゃん」
「いやいやほぼほぼ一緒よ。2Pカラーみたいなもんよ」
その日の帰り道、欲しくなってピアノを買った。
そのピアノはしゃべるピアノであり、どもるピアノであった。最初は大ハズレだと思ったが、どもるピアノは、傷付いている分、人の弱みの分かるピアノだったため、優しく丁寧に話しかけてくれた、教えてくれた。
どもるピアノを使ってピアノを練習したことによって、プロピアニストになれた……
わけではないけれど、人に対しての優しさが身についたことで、素敵な人に出会え、幸せな家庭を作ることができた。
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