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インフレは何故起こる? 『レバノンと日本の違い』

今年の3月にレバノン政府がデフォルトを発表しました。

そして先日起きた化学肥料(硝酸アンモニウム)の爆発事故によって、レバノンは今まさに国家として危機的状況にあります。

では、何故危機的状況なのか?

それは大きく二つのことが取り上げられます。

①自国通貨(レバノンポンド)の暴落

②物資(特に食糧)の供給能力の不足

です。

まず①について、

レバノンは国債発行を外貨建て(米ドル)で発行していました。更に固定為替相場制でレバノンポンド=貨幣を発行していた為に、レバノン政府はもともとデフォルトする危険性が十分にあったのです。

当然のことですが、レバノン政府には外貨である『米ドル』の通貨発行権はありません。

更には、レバノンは固定為替相場制を採用しているために、貿易赤字が膨らんでくれば外国に流出したレバノンポンドを、レバノン政府が持っている外貨準備金を使って買い戻さなければなりません。

例えば日本のような先進国で、変動為替相場制を採用している国家であれば、経常収支(政府の国際収支)によって為替相場も調整されるので、外貨準備金を使って自国通貨を買い戻す必要はありませんが、レバノンの場合は外貨準備金(=ドル)で自国通貨を買い戻さなければ、『レバノン安』がどんどん加速し暴落します。最終的に債務不履行=デフォルトするのです。

②については、

元々、レバノンは食糧を中心に輸入に依存していました。(だからデフォルトしたのですが…)

輸入に依存しているということは、つまり自国での『供給能力、生産能力』が無い、もしくは足りないことに他なりません。

今回のコロナ不況によって、世界の国々では特に食糧の輸出制限をかけてきています。

この状況下でレバノンはどうやって食糧を輸入するのでしょうか?

今レバノンは自国通貨の暴落で悪性インフレになっており、レバノンポンドの価値は米ドルに対して1/8にまで下がっているようです。つまり物の値段が8倍になることが現実に起きています。

それほど国家として国内での食糧や物資の生産能力、供給能力がないということは致命的なことなのです。

戦後間もない日本も、まさに今のレバノン以上に生産能力がなくなっていました。それは戦争によって工場などの生産拠点が破壊され焼け野原になっていたからです。

そう、『悪性インフレ』は生産能力および供給能力の圧倒的不足によって起こる経済現象なのです。

『ハイパーインフレ』もこのような非常事態のときには起こり得ることです。

ところで、今の日本はどうでしょうか?

現在、日本の対外純資産は370兆円を越えています。この資産額は世界一です。

また、貿易で輸入に占める割合は全体で18%ほどしかありません。日本は戦後経済成長してからはずっと内需国家なのです。(因みにドイツは輸入の割合が現在では50%にも上り、殆ど中国に依存しています)

そして国債は外国からの購入も含めて100%『円建て』で発行されています。

勿論、日本政府には『円』の通貨発行権があります。

今の日本においては、貨幣による経済的問題は起こり得ないはずです。

問題があるとすれば、食糧の国内自給率でしょう。

先月の全国的な豪雨被害と重なって、いま一般のスーパーなどでは、特に野菜などの生鮮食品は高騰しています。

幸い日本では米の自給率はほぼ100%なので、すぐにレバノンのような状況になることはありませんが、食糧を外国からの輸入に頼るような体制からは脱することが課題と言えます。

戦後、わずか30年ほどで『モノづくり』で世界を圧倒した我が国日本🎌

今こそ日本の底力を発揮し、世界一の経済力と併せて、これから世界をリードしていく時ですね。

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