—— 某所に書いたコラムを発掘してので、せっかくなので記録として残します。 ※2021年7月の記事 —— 『十三機兵防衛圏』は、特殊なタイトルでした。「名作」というには私のなかで当たり前になり過ぎているタイトルです。そして、そんな簡単なひと言で片付けるには、もったいない作品でもあります。 改めてこうしてレビューのような、コラムのようなものを書くのは、じつはとても私にとって難しいことです(笑)。すでにライター時代、Webに紙面、PSエディターズチョイスに……もう発売前、
※大量の捏造を含んでいます ※漱石の「こころ」のオマージュを含んでいます その男は僕のことを、まれに「先生」と呼んでいた。その時はこぞっていつも、金の無心にくる時だけであった。 僕は週刊誌にちょっとした小説やコラムなどを寄稿したり、それが文庫となって少々の印税を手に入れたりという、ほそぼそとした小説家だった。どちらかというと厭世的で、他人へ積極的に介入していく性分をあまり持っておらず、主にシブヤの郊外に構えた小さな古民家に引きこもりがちだった。そんな僕が本当にフとし
「主人公受アンソロだろうぜ!」ということで、完主を担当したときのものです。いつの間にか編集長になっていて、なんか本の編集がすごい大変だった思い出ばかりが残っており、作品の内容をあんまり覚えていません……。とりあえず、「ちゃんとセックスさせよう!」がテーマだった気がしますがおかしいな??? ーーーーー めぐる季節のなかで、夏の暑さは知らぬ間に追いやられていた。つい先日まで、背中にシャツが汗で張り付き、不快なじれったさがあったというのに、今はもう、日暮れとともにジャケットを
これも太古の昔に出した同人誌です。ちなみにタイトルは、まんま好きな本のタイトルを拝借しました。記憶に残るべき大切な人、自分に衝撃を与えた人とかいう意味です。たぶん。 ーーーーー 巽完二はある駅の改札口の前にいた。背の高い銀色の時計塔の下には、携帯や腕時計をしきりにみる若い人らでひしめき合っている。電車の時刻表の具合など関係なく、沢山の改札機からは、ひっきりなしに人があふれでてくる。 完二の視界の半分は人の頭で埋まっている。けれども、その中の誰ひとりとして自分のことを
バックアップ用にとっときます。昔出した『P4』の同人誌です。 ーーーーー 『それにしても、悪は可能であろうか?』 外の暑さにはもう嫌気がさしている九月の終わりだった。堂島さんと別行動中の今、馬鹿正直に捜査なんてしていられる訳もなく、僕は四目内堂書店で興味もない本を手にとっては、文字の羅列をただ眺めていた。興味本位で手に取られることが多いのだろう。店の主人の趣味で仕入れられた珍しい雑誌の表紙は、どれも少しくたびれている。 こんな閉鎖された田舎町だ。何度同じ所を洗った