AIを超越した働き方

最近、新聞やニュースでも「AI」という言葉をよく耳にすると思いますが、どのようなものかご存じですか?

AI(Artificial Inteligence) は人工知能とも言われており、コンピューターがまるで人のように考えて行動することができるシステムのことです。自分で動いて床を掃除してくれる「ルンバ」や感情を認識する人型ロボットである「ペッパー」などがそれにあたります。

AIの技術が発達したおかげで私たちの日常は非常に便利になってきていますが、一方でそれが原因で職業が減っていることも事実です。

そんな中私たちはどのように働いていけば良いのか、今回は「AI時代で人である自分が活躍するためには」をテーマに話したいと思います。

1.AIの実態

冒頭でも、AIの話題の高さは触れましたが、実際に日本はどれくらいAIが導入されているのでしょうか。

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(出典)総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)より作成

これは、職場への人工知能(AI)導入の有無および計画状況を日本と米国で比較したものです。グラフからもわかるように、AIの職場への導入は日本よりも米国の方が進んでいます。さらに、「計画中・検討中である」においては、米国は日本の3倍にあたるため今後の取り組み次第でさらに差が広がってしまう可能性も考えられます。

次に、人工知能が実際に導入されたらどのようなメリットがあるのでしょうか。

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(出典)総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)より作成

これは、先程の導入の有無状況が、有りまたは計画中の方に聞いた「AIが果たす役割や機能について」です。グラフから、日本ではAIを労働力の手助けに対応したものと理解される傾向が強いです。一方で、米国ではAIを業務改革の担い手に対応したものと理解される傾向にあるといえます。

捉え方は国によって様々ですが、働く上でAIがプラスの役割を果たしていることは間違いありません。

また、現在は「自動車の自動運転システム」「AIによるガン診断」「ビッグデータ解析」など自動車業界・医療業界・IT業界など幅広い分野で導入されています。

しかし、今後さらに進化したAIが出来上がるとどうなるでしょうか。

プログラムを組んだ通りに組み立てるだけでなく、提案をし企画、さらに結果を自己評価できるようなAIが出てくると人間の機能をほとんど取られてしまい、高度な知能活動を機械類が行い、人間には単純労働しか残らない恐れも出てきます。


2.AIの苦手、人間の生き筋

では、そのような高度なAIが普及した社会で生活をし、働いていくにはどうすればよいのでしょうか。

「AIにできないことは何か」ということを考えてみれば、今後人間には何ができるかが分かってくると思われます。

そのように考えたときに、AIの苦手な分野・人間の未来の仕事は以下の3つが挙げられます。

1.創造性の高い仕事、クリエイティブな仕事

碁や将棋では、すでに名人級を破るところまで来ていますが、短歌や俳句のようなものであれば、AIはまだまだ人間には及びません。小説も同様です。このように、自由に創作するもの、今までにないものをつくっていくような分野は、AIに支配されないと考えられます。

2.マネジメントの力

マネジメントというのは、「経営管理」といわれますが、様々な人を集めて組織をつくり、大勢の人が合わせて一定の目的を達成するために必要なものです。それぞれの人の能力、考え方、捉え方、経験、性別、年齢等、様々な違いがある中で大勢の人を一定の目的を持って仕事をしていこうとすると、簡単に機械のようには動きません。そうした、人と人とのバラバラな側面を強調させ、調和させていく力があると組織や会社等の団体においてまとまった大きな仕事を続けていくことができると考えられます。

3.交渉・営業・サービス系の力

AIは、人々の様々な「考え方」や「心情の変化」を察し、よりよい方向に持っていくような能力は苦手と考えられます。

「人対人」で交渉したりするもの、押したり引いたりしながら落としどころを考えていくようなものに関しては、相手には相手の考えがあるため碁石や将棋のように勝ち負けですむ問題ではありません。AIは「こうすればこれだけの利益が出る」などの計算できるものに対しては正確な判断ができますが、「相手が自分の考えや意思をもつ」場合には、計算した通りには動かないことがあります。

このような3つの分野に対しては、さらに発展したAIの世代になっても完全には乗り越えられないでしょう。


3.AIと人間 大きな相違点

AIと人間の大きく違うところはどこでしょうか。

それは「感情」「喜怒哀楽」の部分だと考えます。

AIは、自立して脳のように試行することができ、自分で計算して分析し判断をすることができます。

しかし、人間のように感情をもちその場の状況に応じて喜怒哀楽を表現することはできません。

例えば、私達がお笑い番組を見て笑ったとします。これは、喜劇だから笑わなければいけないと思って笑っているのではなく、自分自身が面白いと感じたから自然と笑いが込み上げてきて、笑ったといえます。

このように、論理的・理性的にではなく自然と込み上げてきてしまう感情こそ、AIとの大きな違い、AIにはないものだと考えます。


4.違いを上手く活用するには

では、先程述べたAIにはなくて私達人間にはあるものを上手く活用するにはどのようにすればよいのでしょうか。

それは、「AIになくて私達人間にはあるもの」を磨くしかありません。つまり、相手の心情を読み取り、相手視点の行動をすることです。

私達には、感情が存在するため相手の立場にたって物事を考えることで、相手の感情・心情を大方察することができます。そして、その状況に合わせて臨機応変に行動することが可能です。

例えば、あるコーヒー屋さんでコーヒー豆を購入しようとするお客様がいたとします。状況としては、お客様は理想とする好みや価格帯があり、コーヒー豆を購入することが初めてで少し不安そうな表情をしていました。

このような時、接客するのがAIが搭載されたロボットであると、お客様の条件に合わせ、かつその店の利益を考えて的確なコーヒー豆をお勧めすることができるでしょう。

一方で人が接客をすると、AIが搭載されたロボットほどお客様とお店両方の的確なコーヒー豆を勧めることは難しいでしょう。しかし、不安そうな表情をしているお客様に対して、優しく笑顔で声をかけたり、美味しく飲む方法など+αの知識を伝えたりしてお客様の不安を軽減させることが可能です。

では、今後そのお客様が再び来店してくださる可能性が高いのはどちらの接客か、といわれたらお客様に寄り添った接客をした後者の方でしょう。

このように、「相手視点」に立つということを私達人間でしかできない行動の仕方(相手の様子を見て心情を考えて動く)をすることで、結果として会社は利益を生むことが可能になると考えます。


5.結論

私達がこのAI時代で活躍していくためには、「今までにないものを創っていく力」「マネジメント力」「交渉・営業・サービス系の力」を見つける必要があると言えます。

そして、仕事や日常生活で関わっていく人々に対して、いかに相手の心情・表情を読み取り、「相手視点」「カスタマーファースト」で接し行動していくことができるかが今後重要になっていくと考えます。