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イランが核兵器を持つ危険とは? ●イラン、核科学者暗殺で報復宣言 イスラエル関与「重大な形跡」


イランの国営メディアは27日、首都テヘラン近郊で核科学者のモフセン・ファクリザデ氏が暗殺されたと報じた。自動車に乗っていたところ何者かに襲撃され負傷。搬送先の病院で死亡した。同氏はイランの核開発で中心的役割を担っていたとされる。
最高指導者ハメネイ師は国営メディアで報復を宣言。ハメネイ師の軍事顧問を務めるデフガン氏はツイッターで「殺人者を急襲し、その所業を後悔させる」と述べた。
ザリフ外相はツイッターで、暗殺にイスラエルが関与したことを示す「重大な形跡」があるとした上で、国家ぐるみのテロ行為を非難するよう西側諸国に要求した。
メッセージアプリ「テレグラム」のイラン革命防衛隊系アカウントによると、国家安全保障最高評議会が軍司令官らを交え、緊急会合を開いたという。
こうした中、国連のグテレス事務総長は広報を通じて「ファクリザデ氏暗殺に関する報道に留意しており、地域の緊迫化につながるような行動を回避し、自制するよう求める」と表明した。
イスラエルや米ホワイトハウス、米国防総省、米国務省、米中央情報局(CIA)、バイデン氏政権移行チームは、いずれもコメントを控えた。
ファクリザデ氏は、イランが秘密裡に進めていた核兵器開発のトップと目されてきた。国際原子力機関(IAEA)は2015年の報告書で、同氏が「核開発の軍事的側面」を支援するための活動を監督していると指摘。ただ、イラン側は長らく核兵器開発を否定している。
オバマ前大統領のイラン担当顧問を務め、バイデン陣営にも非公式に協力しているロバート・マリー氏は、ファクリザデ氏の殺害について、トランプ政権の末期に起きた一連の動きの一つと指摘。「一つの目的は、イランの経済や核開発にできる限りのダメージを与えることで、もう一つの目的はバイデン氏にイランと外交関係や核合意を容易に再開させないための試みと言える」と分析。
誰が暗殺に関与しているかについては明言を避けた。
【引用終わり】
 すでにイスラエルは核兵器を持っていると噂されています。また、インドとパキスタンも核兵器持っています。それなのに、イランが核兵器を持とうとする事には「絶対反対」の勢力があります。
 その第一はイスラエルで、(恐らくは)サウジアラビア・アラブ首長国連邦などのスンニ派湾岸諸国と、アメリカの一部です。そしてこの勢力は、(同じ人物が命令したかは不明ですが…)今年1月にソレイマニ司令官の暗殺も歓迎した事でしょう。
 米国ホワイトハウスからトランプ大統領が去るという事は、この反イラン連合にとっては大いなる災難ですので、可能な限り長く「バイデン氏にイランと外交関係や核合意を容易に再開させないための試み」 を実行するのも、頷けます。
 さて、なぜイスラエルと湾岸諸国がこれまでしなくてはならない程に「イランが核兵器を持つことを阻止しよう」とするかと言えば、それは現在のイランの革命政権が「拡張主義」の政権だからです。
 基本的にパキスタンとインドそしてイスラエルは、国家が攻め込まれない保障として核兵器を持ちました。この点では北朝鮮も同じです。
 一方イランの革命政権は、(核兵器を持っていない現状でも)隣近所の国のゲリラ組織を援助するだけでなく、こっそり革命防衛隊を派遣して、イランの勢力範囲を広げようと活動しています。ですからイスラエルや湾岸諸国は、これでイランが核兵器を持ったならば、「自国の独立を捨ててイランの傀儡国家にならないと、核攻撃するぞ」と暗に脅されることになる事を危惧しているのだと思います。
 現状で中国が南シナ海で勝手に領土を作っていても、ロシアがウクライナにばれてもいい秘密の軍隊を派兵していても、周囲の国が(ロシアへの経済制裁以外は)何もできないでいるのは「(中露両国から、暗に) 自国の独立を捨てて我々の傀儡国家にならないと、核攻撃するぞ」と脅され続けているからです。
 それでも何とか中露の周辺国が、独立を保って中露の傀儡国家にならずに済んでいるのは、米国という核大国があるからです。
 私は、米国のオバマ前政権も・バイデン次期政権も・西欧諸国も、この「なぜイランの核は、インド・パキスタンの核より危険なのか?」という点についての認識が甘すぎると思います。かつて「中国は危険ではない」と楽観していたように、「イランは、それ程危険ではない」と楽観しているように見えます。
確かにイランは、今も近い将来も米国や西欧に攻め込む事はありません。しかし核兵器で武装した後には、イラクシリアに武力侵攻する事は、充分に考えられます。そしてこの時には、イラクとシリアを手中に収めたイランに対して、核の報復を恐れる米国も西欧諸国も「(経済制裁以外は)何もしない」という事になるでしょう。現在のロシアに対するのと同じように…。
この状況を変わるのは、「イラン国民が、革命政権を頂かなくなる時」ですが、それがいつかは解りません。数年後かもしれないし、10年後かもしれない。50年後かもしれません。私は、それまでの間は「熱い戦争にはせずに、神経戦を続けることが妥当だ」と思います。はっきり言えば、冷戦です。
「トランプ大統領が、再選されなかった」のは、本当に残念です。どういう訳か、トランプ大統領は「発言は最低だったのに、その行動は的確な米国大統領なので…」。天は二物を与えずとは言いますが、本当だったのですね。
国際情勢にトランプ大統領が残す遺産が、いつまでどれほど有効に機能するか解りませんが、少しでも長くk3eq@「バイデン氏がイランと外交関係や核合意を再開(できない)」事を願っています。

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