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日本の友人李登輝氏の葬儀に、政府自民党は「政府特使は送らないが、何とか誠意を示したい」と知恵を絞っているようです。さて、中国の反応は⁇ ●李登輝氏死去 安倍晋三首相が哀悼の意 「痛惜の念に堪えない」

安倍晋三氏(右)と握手を交わす李登輝氏=2010年10月、台北市
(東京中央社)李登輝元総統の死去を受け、安倍晋三首相は31日、首相官邸で会見を行い、「痛惜の念に堪えません」「誠に残念でありますが、改めて心からご冥福をお祈りいたします」などと述べ、哀悼の意を表明した。 李氏については、「日本と台湾の親善関係、友好増進のために多大なご貢献をされた方」だとした上で、「常に日本に対して、特別な思いで接してこられた」「多くの日本国民は格別の親しみを持っています」としのんだ。 安倍氏は、2010年10月末の東京(羽田)-台北(松山)線就航に合わせて訪台した際、台北市内の李氏の自宅を訪れて歓談していた。
●政府、李登輝元総統へ弔辞を準備 葬儀への関係者派遣はなし 7/31(金) 11:09配信【産経新聞】
台湾の民主化を進めた李登輝元総統の死去を受け、日本政府が弔辞を送る準備を進めていることが31日、分かった。政府関係者が明らかにした。  
一方で、菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で「葬儀への政府関係者の派遣の予定はない」と明言した。
●李登輝氏葬儀に森元首相参列へ 政府・自民が最終調整
7/31(金) 20:39配信【時事通信】
 30日に死去した台湾の李登輝元総統の葬儀に、生前交流があった森喜朗元首相が参列する方向で政府・自民党が最終調整に入った。  
複数の関係者が31日、明らかにした。
国交がないため「政府特使」などの肩書は避け、民間交流の枠組みで調整する。  
森氏は首相在任中の2001年、中国の反発を懸念する外務省の反対を押し切り、李氏に日本滞在のビザ(査証)発給を決めた経緯がある。葬儀への参列に意欲を示しているという。 
李登輝氏に叙勲要望 自民保守派
7/31(金) 18:05配信【時事通信】
 自民党保守派議員でつくる「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表・青山繁晴参院議員)は31日、台湾の李登輝元総統の死去を受け、「最高位の叙勲授与を検討するよう政府に要望する」との提言を発表した。
【引用終わり】
【国交がないため「政府特使」などの肩書は避け、民間交流の枠組みで調整する】して、元総理大臣に葬儀に列席してもらうという行動は、「政府特使は送らないが、何とか誠意を示したい」という裏技です。
 この行動は、日本政府への次の2つの相反する要望によって、選択された玉虫色の決定です。
1中国政府は、「日本政府は、李登輝氏の葬儀を無視すべきだ」と考える。
2日本の一般民衆は、李登輝氏の葬儀には政府の代表が参列して、感謝をささげ、友情を誓って哀悼の誠を捧げるべきだと考える。
つまり、参列しても参列しなくても、どちらでも政府は批判されます。前門の虎後門の狼です。この為に、正式な政府特使を送らない事で中国政府の面子をたてて、「多くの日本国民は格別の親しみを持っています」という一般の日本人の心情を何とかなだめる為の、玉虫色の選択したのです。
 正式な政府特使は派遣しないが、森元総理に参列してもらうつもりだという報道が流れるまでの半日の間は、ネットでは「政府特使は派遣しない」事に対して批判が殺到していました。その内の御一人の意見を引用させて頂きます。
【なんという非情な国、政権だ。
尖閣問題でも、満州事変や慰安婦問題でも、たくさん応援してもらったのに、恩を仇で返す態度だ。
李登輝氏が好きだった日本精神ではない。
自民党は保守の旗をおろせ】
安倍自民党政権は、このような自分達の支持者の意見を無視することはできませんので、森元総理の葬儀の参列に際しては「民間人をサポートするふりをして、実質は政府派遣と同様に、政府が取り仕切る」と思います。
つまり名乗らないだけで本当は政府派遣ですので、「日本政府は、政府特使を派遣していない振りをする」という事になります。
こうなると台湾は、正式な政府特使は派遣されていないけれど、友情の使者が来たと報道するでしょう。葬儀式典の際には「正式な特使ではない事を、忘れた振り」をするかもしれません。つまり式典の時には、ただの民間人ではなくて、台湾と国交がある国々の特使と同様の待遇をするかもしれません。
しかし今の中国はどうでるでしょうか?
「中国政府は、日本政府は政府特使を派遣していない振りをする」でしょうか?それとも「日本の元総理が訪台するのに抗議すると、内政干渉をしてくる」でしょうか?
普通の外交の常識では、日本は政府特使を派遣していない振りをします。なぜなら中国政府が批判しても、安倍政権は森元総理を民間人として派遣する事をやめられないからです。
その理由は二つです。その一、自分がやめたくない。その二、やめたら、自分支持者から見放されて、政権運営ができなくなる。中国政府と、自分と自分の支持者を秤にかければ、中国政府を除外するのは当然の帰結です。
ですから「中国は批判すれば、日本政府に中国の批判を無視される」結果になります。つまり、面子を潰されて恥をさらすことになります。この事態を避ける為に、普通の外交の常識では、見て見ぬ振りをします。
しかし今の中国政府を観ていると、普通の外交の常識を持っているのか不安になります。ですから、やらなきゃいいのに「日本に抗議してくる」事もあり得ると思います。
そして尖閣諸島にさらに漁船が押しかけて…。
最悪のことは想像したくありませんので、「中国政府に普通の外交の常識が残っていたらいいな」と思います。

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