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EUの中小国に学ぶ、中国の戦狼外交への対処法。それは、脅されても「だからどうした。経済制裁なら勝手にやれよ。WTOに提訴するから…」と無視する事です。

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EU旗は、同じ大きさの★が円をなす、国家平等の理念を現わす。
中国国旗は、中国共産党の大きな★の周囲を、他のすべての民族の小さな★が共産党に従って廻る儒教理念を現わす

●欧州と台湾、政治でさらに接近 台湾外相が東欧歴訪
(2021 10/25 日本経済新聞 台北=中村裕、ブリュッセル=竹内康雄 抜粋)
欧州連合(EU)と台湾が一段と距離を縮めようとしている。台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は欧州を歴訪し、スロバキアで26日に開かれる国際会議で演説するほか、27日にはチェコでミロシュ・ビストルチル上院議長と会談する。(チェコのビストルチル氏との会談は昨夏に同氏が台湾を訪問して以来で) 経済だけでなく政治面でも欧台の関係強化を狙う。…
背景には、欧州の台湾への姿勢の変化がある。

人権や民主主義を巡って中国との関係が悪化するなか、米国や日本などと同様に、同じ民主主義の台湾と連携を深めることが重要だとの認識が広がりつつある。…

ただEU内での温度差はまだ大きい。EUのボレル外交安全保障上級代表も「微妙なバランスが重要だ」と指摘するように、EUは台湾との関係強化で中国との対立を招く事態は望んでいない。…

とりわけドイツは中国への輸出依存度が高く、中国との関係悪化には非常に敏感だ。対中強硬の米国とは立場が異なる。

一方、台湾との関係強化を強く訴えるのは現在、欧州の小国が目立つ。中東欧やバルト3国が中心で、今回の呉氏の訪問も、当初はイタリアが予定されたが直前でキャンセルとなった。当局はポーランドも訪問予定としていたが、直近の発表では同国の訪問にも触れられなくなった。…

…中国は強く反発している。習近平国家主席は25日、国連が中華民国(台湾)に代わり中華人民共和国の代表権を認めた「アルバニア決議」から50年の節目に演説した。「(中華民国を国連から追放するという) 国際ルールは193の国連加盟国が守るべきだ。例外があってはならない」と述べ、最近の米欧など世界各国の台湾への接近を強く批判した。

【引用中断】

 文中にあるように、現在EU内で台湾との関係強化を主導しているのは、チェコやリトアニアなど旧共産圏の中東欧やバルト3国です。これらの国々はいずれも、かつては「中国マネー・Welcome」の親中政策をとっていました。けれど、私の観る所では、現在では以下の2つの理由で反中政策に転換しています。
1 本国・ウィグルでの中国の人権侵害への反発。
現在、旧共産圏の中東欧の40歳以上の人々は、自分自身が「子供の頃・若い頃には、ソ連・自国の共産党政権から自由を抑圧されていた」個人的経験(記憶)を持っています。ですから、今、香港でウィグルで弾圧されている人々に対して、理屈を超えた共感を持つのだろうと推測します。
それに、一般庶民からしてみれば、中国からの投資が減った所で、自分達の懐にはあまり関係ありません。だから、旧共産圏の中東欧の政治家は、一般庶民の支持のもとに(自分の感情のままに) 反中親台に突っ走れるのです。
昨年から、チェコで国家の大統領・首相が親中路線を継続しようとしているのに反して、チェコ市長が(中国)北京・上海との姉妹都市関係を犠牲にしても、(台湾)台北市と姉妹都市となったり、上院議長が台湾を訪問したりしているのは市民の圧倒的支持があるからです。
2 ギリシアのピレウス港の件で、中国の投資話には嘘が多いとばれた。
 財政破綻したギリシアから2016年に中国の国有海運最大手コスコが ギリシャ最大の港・ピレウス港運営会社の株式51%を取得し、ピレウス港の運営権を手に入れました。
さらに、コスコが21年までに計3億ユーロの投資をして、港湾能力増強や造船インフラの拡充をすれば、さらに16%の株式を取得して、株の3分の2を握れるようにするという付帯事項が付いていましたが、英紙フィナンシャル・タイムズによりますと、「投資案件は、ほとんどが未完成だ」なのに、なぜかコスコは追加で16%の株式を取得しました。

これは、中国の広域経済圏構想「一帯一路」に沿った戦略の一環ですが、現地では「約束した投資を実行していない」と批判する声が高いそうです。

このように、「中国が持ち掛ける夢のような投資話にのると、結局、騙されて搾り取られるだけだ」と気が付いたからかもしれませんが、リトアニアは中国主導の「17+1」から脱退して、他の東欧諸国にも脱退を呼びかけています。

1.2のまとめ

 旧共産系の諸国では、中国の人権侵害行為に対する拒否反応が(自分達も経験しているので)強い共感感情になる上に、中国の「一緒に儲けましょう」という呼びかけは、実は「我々は、お宅の国から搾り取ります」だと気が付いた人もいて、反中感情が増しています。

このような状況になった理由がよく解る、去年のチェコの状況を解説している記事を引用します。

【引用再開】

●一帯一路の協力国だったチェコが訪台を決めた理由
(2020 9/10 WEDGE Infinty 『日本をもっと考える』 井上雄介 抜粋)
ビストルチル上院議長らチェコ代表団が(2020年・去年の) 8月30日から6日間、台湾を訪問した。(訪問団は)国会議員や企業関係者ら約90人が同行する空前の規模となった。…プラハのフジブ市長も加わり、北京と断絶後、代わりに姉妹都市となった台北市を訪ねた。

中国外務省は、「深刻な主権侵害だ」などと強く反発した。

チェコ代表団の台湾訪問の背景には、チェコで急速に高まる反中感情と、台湾の民主的で自由な政治体制に対する深い共感がある。

チェコは、1989年のビロード革命で、チェコスロバキアの共産党政権を打倒し、独裁政治を転換した歴史を持つ。…

 上院議長の台湾訪問には、欧州連合(EU)からも支援の動きが出ている。ドイツ「緑の党」のラインハルト・ビューティコファー欧州議会議員は、ギリシャの議員らとともに、EU駐在の中国大使に書簡を送り、上院議長の台湾訪問に干渉しないよう求めた。…

 中国の王毅外相が…「重い代価を支払わせる」として報復を示唆したことに対しては、強い反発が出ている。…

ドイツのマース外相は、「脅しは不適切だ」と批判。チェコの友邦、スロバキアのチャプトヴァー大統領は「EU加盟国へ脅しは受け入れられない」と語り、欧州の元首級の政治家では初めて中国を批判した。

 中国はもともと…「一帯一路」で、欧州における協力国としてチェコとの関係強化を極めて重視しており、同国のゼマン大統領も大の親中派として知られる。

ただ、2018年に…中国華信能源がチェコで約束していた巨大投資事業を突然中断したころから、チェコの親中感情に陰りが出始めた。

2月の台湾訪問を計画していたクベラ前上院議長が、今年1月20日急死した後、対中感情の悪化は決定的となった。

 クベラ前議長の夫人は、クベラ前議長が急死直前、中国大使から、台湾行きの断念を強く迫る書簡を受け取っていたと暴露し、チェコ社会に衝撃を与えた。クベラ議長は中国側から、台湾を訪問すれば自動車メーカー、シュコダや、ピアノのペトロフなどチェコを代表する企業が「中国で歓迎されなくなるだろう」との脅しを受けた。

 チェコの政界にも「内政干渉だ」との反発が広がり、3月には首相や外相、上下両院議長らが連名で、中国大使の書簡を批判する声明を発表。

…親中だったバビシュ首相も「絶対に受け入れられない」と反発。ビストルチル上院議長は、中国大使の帰任を求めた。チェコ上院は5月、50対1の圧倒的賛成多数で上院議長の訪台を可決した。

 一方でゼマン大統領は…ビストルチル上院議長の訪台を「幼稚な挑発」と批判。「これからは国のハイレベルの外交政策会議には上院議長を出席させない」と語った上、チェコ企業に損害を与えることへの懸念を示した。バビシュ首相も、…経済への影響に憂慮を示すなど、チェコの指導部も一枚岩ではない。

 台湾は、上院議長の訪台を喜び全力で歓迎。

外相自ら空港で一行を出迎えたほか、蔡英文総統は「チェコと台湾の友好に傑出した功績を挙げた」として、上院議長に勲章を授与した。

議長は1日、立法院(議会)で演説し、自由と民主主義の大切さを説いた後、ケネディ元大統領が1963年、ドイツ語で「私はベルリン市民である」と演説した故事をまね、中国語で「私は台湾人である」の言葉でしめくくり、満場の喝さいを浴びた。ケネディ大統領の言葉は、当時、共産主義の圧迫に抵抗していた西ベルリン市民への連帯を示すもの。上院議長も、中国共産党の圧力にあらがう台湾への声援だった。

【引用再中断】
このようにチェコの世論は「儲けさせてくれる中国歓迎」から「台湾頑張れ!人権侵害国家中国くたばれ」に変わりました。
このチェコの記事を読むと、私は「(親中派的発言を続ける)チェコ大統領と首相は中国に篭絡されているのだろう」と推測します。しかし、いかな中国といえども、チェコ人1069万人全員を、賄賂や甘言で篭絡する事は出来ないのであります。
また、中国は東欧の小国と軽んじるのか、チェコに対して脅しをかける、失礼極まりない事をします。すると、チェコ人だけでなく、チェコ人を自分達の仲間だと思うEU諸国の人達にも反感が広がります。
私は「ヨーロッパ人は、自分たちこそが、世界の一流の文明人だ」という自負を持っていると思います。だから欧州人には「野蛮な東洋の人権侵害国家の中国人に脅されて、お金のために頭を下げる」ことなどできないのです。
ですから、このチェコ代表団の台湾訪問のあとでは、ヨーロッパ各国で反中親台の動きが加速しました。軍事的には、英仏独蘭の海軍が南シナ海・東シナ海に出張ってくるようにもなりました。
 そして、欧中関係は今どうなっているのか?wowkoreaから抜粋で引用します。

【引用再開】

●欧州議会代表団「台湾訪問を予定」…中国の反発は必至(10/27(水) 11:37配信)
昨年12月、EUと中国は約7年ぶりに投資協定締結に合意した。しかしその後…人権弾圧問題により対立したことで、互いに制裁を加えている。
欧州議会は今月21日「台湾との関係を深め、台湾との投資協定のための作業を始めるべきだ」という内容の決議案を圧倒的賛成で採択し、「中国の制裁解除までは投資協定を批准しない」とする決議案も通過させた。
また欧州議員たちは、台湾の「“台北”代表部」を「“台湾”代表部」に変更することも要求している。
このことに対して中国外務省の報道官は「性質と影響が極めて悪い。中国は強く糾弾し断固として反対する」と反発した。
「EU駐在の張明 中国大使は欧州議会のダヴィド・サッソリ議長に『これらの決議案の採択を阻止してほしい』と要請する書簡を送ったが、欧州議会は決議案を採択した」とSCMPは報道している。
【引用終わり】
つまり、いくら中国が怒って吠えたてて「○○してやるぞ」と脅しても「だからどうした。経済制裁なら勝手にやれよ。こっちはWTOに提訴するから…」と、脅しを無視されれば、中国にはなすすべがないという事であります。
だから、日本も含めて、世界の他の国々も、中国の脅しに動じないのが一番だと思います。

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