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基本的に報道は《噂話》である。「ひどい事を言ってた。悪い事があった」多くは《悪口》の伝達である。だから、感情にバリアーを張って、報道に感情を委ねない方がよい。 ●NHK、オバマ氏回顧録を誤訳? 鳩山氏巡る部分に指摘


 NHKのニュースが17日、オバマ前米大統領が回顧録で、鳩山由紀夫元首相を「迷走した日本政治の象徴」などと評したと報じた。これについてネットなどで「誤訳だ」との指摘が上がっている。
 ニュースは17日午前10時放送で、同日に出版されたオバマ前大統領の回顧録を紹介。「当時の鳩山総理大臣について、『硬直化し、迷走した日本政治の象徴だ』と記すなど、当時の日本政治に厳しい評価を下しています」と報じた。
 だが、原文の該当箇所では、「鳩山は3年足らずの間に4人目、私が就任してから2人目となる日本の首相だった。(首相が短期間で代わるのは)この10年間、日本政治が硬直化し、迷走したことの表れであり、彼も7カ月後にはいなくなっていた」と記されている。
 ネット上では「『硬直化し、迷走した日本政治の象徴』というのは首相が頻繁に交代することを指していて、鳩山さん個人についてではない」などと誤訳を指摘する声が相次ぎ、該当記事はNHKのホームページの「ソーシャルランキング」でも上位に上がるなど話題になった。
 これについてNHKは朝日新聞に対し、「ネット上に様々なご意見があることは承知しております。今後とも正確で分かりやすい表現に努めてまいります」とコメントした。
 また、時事通信などは、回顧録が鳩山氏を「感じは良いが厄介な同僚だった」と評したと報じたが、原文は「A pleasant if awkward fellow(不器用だが感じの良い男)」といった内容で、これについても翻訳のずれを指摘する声が上がった。
 鳩山元首相も自身の公式ツイッターで、「『不器用だが陽気な』との表現はあるが痛烈な批判はなかった。メディアはなぜ今も私を叩(たた)くのか」と投稿した。(守真弓)
【引用終わり】
報道は《噂話》である。技術が進歩するまでは、人の口を通して情報が伝えられた。これを《噂話》と言っていた。
この《噂話》は人から人に伝えられていく過程で、間に入った人の感想や憶測や願望で話が膨らんでいく事が通例です。即ち「そんな酷い事を発言するんだから、悪い人だ」→「悪い人なのに言うだけかな。ひどい事をしたかもしれない」→「絶対したよ」→「悪い人だから、酷い事をした」というように、《噂話》が膨らむことはよくあります。
報道は電波や紙面を使って情報を伝えるので、昔ながらの人の口から口へ伝える《噂話》とは、その伝達方法は違います。しかし、伝える人物の感想や憶測や願望で、話が膨らんでいるのは同じです。
NHKの米国特派員の誰かが、オバマ元大統領の回顧録を読んで「当時の鳩山総理大臣について、『硬直化し、迷走した日本政治の象徴だ』と記すなど、当時の日本政治に厳しい評価を下しています」という感想を持ちました。
そして、その自分の感想を日本に送って、NHKが報道したのです。
ところが同じ回顧録を読んだ人の中には「『硬直化し、迷走した日本政治の象徴』というのは首相が頻繁に交代することを指していて、鳩山さん個人についてではない」と読み解く人もいました。
だからNHKは誤訳をしたという騒ぎになったのです。
ちなみに「A pleasant if awkward fellow(不器用だが感じの良い男)」を、時事通信は「感じ良いが厄介」「毎日新聞は「感じは良いがやりにくい」と訳して「オバマ氏が鳩山氏を批判した」という、NHKと同じニュアンスの報道をしました。
これに対して鳩山氏ご本人は、英語原文を確かめ「不器用だが陽気な」と訳して、「メディアはなぜ今でも私を叩くのか。政権への忖度か、記者会見のオープン化を迫ったからか」と怒りの投稿をしました。
はて?
結局、オバマ氏は何と書いたのか?
英語に不案内な私には、判断できません。
そこで、ネットにあたりました。
以下、Hatena Biog (英語例文等集積所)さんより引用
【《形容詞A if 形容詞B》という表現(構文)
"pleasant if awkward" は、《形容詞A if 形容詞B》という構造になっている*2。これは「形容詞Bではあるかもしれないが、形容詞Aだ」「たとえ形容詞Bであっても、形容詞Aだ」という《譲歩》の意味で、論理的には「形容詞Aだ」がメインである。
つまりこの表現から何かを抜き出すとすれば、"pleasant=(人に喜びを与える意味で) 楽しい,愉快な" であって "awkward=ぎこちない" ではない。ここを逆にしてしまうと、意味も逆になってしまう。】
成程「不器用だが感じの良い男」あたりが、原文に忠実な日本語訳のようですので、鳩山氏が怒るのも当然です。
それによく考えてみれば、自分の感情に正直なトランプ氏ならばともかく、優等生のオバマ氏が他国の首脳をこき下ろすというのも、変でした。
ここで一つ疑問が生じます。なんでまたNHKや時事通信・毎日新聞の米国特派員は、すぐにばれる誤訳をして稚拙な印象操作記事を日本に送ったのか?
英語が苦手だったという事も考えられますが、こんな間違い記事を書く方に、米国特派員を命じている会社の問題です。
ただ私は、どちらかと言えば「伝える人物の感想や憶測や願望で、話が膨らんでいった」一つの事例のように感じます。 
即ち、鳩山氏について記述した英語の原文に当たった〇さんが、「感じがよいが厄介だ。やりにくい」と自分が感じていた。その為に、オバマ氏は「ぎこちないが楽しい男」と表現しているけれど、オバマ氏の真意は「感じがよいが厄介だ」と読んでしまったのではないかと思うのです。
このような視点に立てば、オバマ氏の記述
「鳩山は3年足らずの間に4人目、私が就任してから2人目となる日本の首相だった。(首相が短期間で代わるのは)この10年間、日本政治が硬直化し、迷走したことの表れであり、彼も7カ月後にはいなくなっていた」を読んで、
「日本政治が悪いという主張の中で、名前が挙がっている首相は鳩山氏だけだ。麻生氏も菅氏も野田氏も安倍氏も名前が挙がっていないのは、オバマ氏は鳩山氏が最も悪いと言っているのだ」と言う感想をもって、「当時の鳩山総理大臣について、『硬直化し、迷走した日本政治の象徴だ』と読み解いても不思議はありません。
読書感想文のノリならば、「日本の政治は悪い。中でも鳩山が…」でも「日本の政治は悪い。鳩山と言う首相も7ケ月で…」でも、私はどうとっても個人の勝手だと思います。
 しかし、その感想が他人に押し付けられると、今回のように問題が発生する事があります。
つまり、基本的に報道は《噂話》であります。「こんなひどい事を言ってたよ。こんな悪い事があったよ」という、多くは《悪口》の伝達です。ですから、感情にバリアーを張って、報道によって自分の感情を動かす前に《事実がどこにあるのか》を確認した方がよいと思います。
幸いなことに、《今はネットを探せば、事実がみつかる》ようになっていますので…。
そして出来得るならば、報道に関わる人達が一人でも多く「自分の正しい感想を皆に広める事が尊いのではなく、それは単なる噂話の拡張だ」という事に気が付いてくださればよいと思います。
「公正な報道とは、事実をありのままに伝えて、視聴者の個人個人が正邪善悪を判断できるようにする事だ」と、私は考えます。
「こういう事件がありました。事実関係はこうです。Aさんは〇と言っています。Bさんは×と言っています。Cさんはどうでもいいと言っています」
 放送法がある日本では、基本的にこの形で報道がなされています。しかし「事実関係はこうです」の所に、報道関係者の感想が紛れ込んでいることが殆どです。だからネットには「嘘だ」という告発が多発して、報道の信用が下がってしまうのです。
 だから「『自分の感想が正しい』と感じることは、すでに偏見である」という視点を持たないと、昔ながらの報道テレビ・新聞は衰退していってしまうので、何とか気が付いてくれればなと思います。
なぜならば、世界の出来事を取材するにはお金がかかるので、大手メディアが生き残らないと、世界各地の出来事取材には色々と不備が発生するのではないかと、懸念するからです。

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