見出し画像

習近平主席は、故毛沢東主席の統治理論を継承したいようですが、まだまだ毛沢東氏のような剛腕は使えないようです。【引用開始】●電力難に勝てなかった中国、米国に手を伸ばす…LNG輸入2倍に増やす


電力難に陥った中国が米国の天然ガス会社と液化天然ガス(LNG)を大量輸入することで合意したとロイター通信が20日に伝えた。…今回の契約は中国がベンチャーグローバルから毎年400万トンのLNGを20年間にわたり輸入するという内容だ。…これにより中国はまた、昨年まで310万トンを購入してきた米国産LNGの輸入規模を2倍に増やすことになった。
…急騰する天然ガス価格と石炭不足によりエネルギー大乱に陥っている中国は、米国企業と締結した最大規模の単一契約などにより今年は日本を抜いて世界1位のLNG輸入国になった。
●中国人民銀総裁、恒大問題で「住宅購入者の合法的権利守る」( 2021/10/21 16:29 新華社北京 抜粋)
中国人民銀行(中央銀行)の易綱(えき・こう)総裁はこのほど開かれたグループ・オブ・サーティー(G30)の国際銀行業セミナーで、不動産大手、中国恒大集団の問題について「住宅購入者の合法的な権利・利益を守らなければならない」と述べた。…
 …法治化の原則を堅持し、全ての債権者と利害関係者の正当で合法的な権利・利益が公平に対処されるよう確実に保証するとし「全体としてリスクを一定の範囲に抑え、システミックリスクの発生を回避する自信はある」と述べた。
●中国恒大、ドル建て社債利払いへ 23日期限の95億円
(10/22(金) 10:27配信 北京共同抜粋)
中国メディアは22日、経営危機に陥った不動産大手、中国恒大集団が、23日に期限を迎える米ドル建て債の約8350万ドル(約95億円)の利払いを実行すると報じた。(本来の期日は9月23日。猶予期限が10月23日まで)
資金繰りの悪化でデフォルト(債務不履行)の懸念が高まっていたが、ひとまず回避する可能性がある。同社は巨額の負債を抱えており、経営の先行きは不透明だ。…
●東証、午前終値は2万8892円 一時250円超高、利払い好感 (2021/10/22  12:17 共同通信社 抜粋)
 22日午前の東京株式市場の日経平均株価(225種)は反発し、前日終値比の上げ幅が一時250円を超えた。

経営危機に陥った不動産大手、中国恒大集団が米ドル建て債の利払いを実行すると伝わり、投資家心理が改善した。前日の大幅安を受けた買い戻しの動きもあった。

【引用終わり】

 本日取り上げた4つのニュースと、習近平主席が「故毛沢東主席の統治を真似したいと思っているだろう」ことは、直接つながりません。この4つのニュースは、「習主席が反習派=共産党青年団に押し戻されたらしい」というニュースだからです。

 まず、習主席が目標とする、中国で終身個人独裁を達成した故毛沢東の統治理論をご説明します。

1 故毛沢東主席の統治理論

★ 毛沢東は、中国の政権が倒れるのは、数限りない一般民衆が飢餓や疫病などで絶望して死を恐れず叛乱を起した時に、政権が倒れる事を知っていた。

★ 毛沢東は、中国では、しばしば部下に殺される場合があると知っていた。また、だからこそ歴代中華皇帝は、「こいつは《将来は》自分を…」と感じる危険な部下を、その部下の信望が大きくなりすぎないうちに粛清して権力を守ってきた事も知っていた。

★ 毛沢東は、清朝までの中華帝国の統治方法と、中華人民共和国の統治方法を変えた。

◎清朝までの統治方法=皇帝→官僚・士大夫(君子)→大衆(小人)。

儒教は、儒教・学問を学んで徳を身に着けた(君子)が、その徳で、徳を学ばぬ野蛮な(小人)を統治することで世が安定すると教えている。徳治主義である。

ただ現実には、官僚・士大夫の全員が本当の君子で、小人をいたわり有徳の統治をした訳ではなく、小人から富を搾取し残酷な統治をする事も多かった。しかし、官僚・士大夫は君子で、一般大衆は小人という事になっていたので、一般大衆は官僚・士大夫に逆らってはいけない事になっていたので、一般大衆の不満が押し込められて、治安が維持されていた。 

◎毛沢東の個人独裁方法=①毛沢東→共産党員→一般大衆。⓶毛沢東←(崇拝) 一般大衆。

 毛沢東も、自分の命令を実行させるという手法では、清朝までの統治方法と同じように、君子である共産党員に、小人である一般大衆を統治させるという手法を使いました。

 ただ、それまでの中華皇帝達の権威は、皇帝は「天帝から最高の徳を認められて、地上の支配を任された」という儒教理論だけで守られていましたが、毛沢東は積極的に一般大衆に「毛沢東は人民を愛し慈しみ守る」と宣伝しました。即ち、一般大衆との間に部下である共産党員を挟むのではなく、毛沢東が一般大衆の心をつかみ、自分で一般大衆を動かせるようにしたのです。

 こうして、大躍進政策の失敗により、部下の共産党員から権力を取り上げられた(=部下が毛沢東の命令で動かなくなった)時に、毛沢東は民衆に「お前たちの近くにいるえばった上司・教師をつるし上げて、放逐しろ」と学生と一般大使裕を扇動して、文化大革命を起しました。そして、人民解放軍の忠誠をバックにして、次々に(毛沢東の命令で動かなくなっていた)部下達を粛清して、毛沢東の命令を聞かねば生きられないという共産党を取り戻したのであります。

 そして再び、毛沢東の命令で動く共産党を取り持とした後では、毛主席は街で明け狂っている学生達を地方に飛ばしたりしてとりあえずの治安を確保しました。しかし、毛主席は自分の権力を万全に維持する為に(=部下たちに「俺に逆らったら、どうなるかわかるか」と脅し続ける為に)、文化大革命は終わらせませんでした。

★故毛沢東主席の統治理論のまとめ

毛主席は、皇帝→君子→小人の儒教統治では、皇帝は部下の君子にクーデダーを起されても、一般大衆の小人に叛乱を起されても、その身が危うくなったことから、一般大衆に自分自身を神格化させて崇拝させることによって、一般大衆が「悪いことが起きれば、毛主席と自分達の間にいる共産党員のせいだ」と感じるように啓蒙したのです。

だから、自分の命令を聞かない部下を、一藩大衆の手で葬り去って、独裁を続ける事が出来たのでした。

2 今、毛沢東統治理論で、共同富裕大革命を起すとすると

習主席が打ち出した「共同富裕」とは、故毛沢東氏が1953年に提唱した国家目標で、貧富の格差を縮小して社会全体が豊かになる為のスローガンです。一時、故鄧小平氏の先豊論(豊かになれるモノが、先に豊かになる)にとってかわられて埃をかぶっていましたが、習主席が再び持ち出してきたのです。

現在、習主席に不満を抱えているのは、中国での豊かになったエリート層です。故鄧小平氏の先豊論で潤った共産党員と企業家です。一方で、大多数の貧しい庶民は不満ではありましょうが、その不満がどこに向いているのかは色々だと思います。習主席・共産党・会社・日本・米国等、色々な所に不満が分散していると思います。(多分)

つまり、今の中国は文化大革命の直前に似ているのです。

ですから、毛沢東氏のやり方を踏襲すれば、習主席は恒大集団と今後の破産するエリートは見捨てて、庶民を味方につけて自分の国内権力を絶対化する方を選ぶことになります。

自分に不満を抱えて、自分にとって代わろうとする君子層=共産党のエリート層を、小人層=貧しい一般大衆の怒りのはけ口にして没落させて、自分の権力を絶対化するというのが故毛沢東理論だからです。

現に、恒大集団に投資していた人や家を買った人たちが、デモ・暴動を起こしたとしても、それは投資する資金があった・家が買えたエリート層で、一般大衆ではありません。ですから、天安門の時のように、エリートがデモをしたら逮捕して、何か罪をでっちあげて財産を没収してエリートの富を貧民層に分配すれば、習主席は一般大衆の信望―その手にできます。

例えば、恒大集団だけでなくて、今まで大きな顔で札びらを切っていのに、今後破産して中国経済に暗雲を齎す、不動産業の富豪たちを逮捕して、彼らの財産を没収してあとで、完成しているモノの人が済んでいないゴーストタウンに貧民層をタダで住まわせるというパフォーマンスをすれば、習主席は6億余りの貧困層の人達のヒーローになれます。

このような派手な立ち回りをすれば、今後中国経済が不況に陥っても、習主席は人民の味方で、周りのエリートが悪いというお話を広める事も可能なのです。

ですから私は、「恒大集団をどんなふうに見捨てるのか?」にとても興味をもっていました。

そして、第一弾は、「恒大集団に投資していた中国のエリート層に損をさせない」と「ドルで恒大集団に投資していた外国人にも損をさせないという決定が出ました。

これは、反習近平派=先富論で富を得た人達が、自分達の富を守ったという事です。また、外国人に損をさせるとドルがはいらなくなるので、中国経済がクラッシュして、やはり先富論で富を得た人達の多くが破産に追い込まれますので、反習近平派の対策が通ったという事です。

言葉を変えれば、欧米資本主義の常識を理解する反習近平派が、中国経済のクラッシュを避ける為に、欧米資本主義の自様式的対応をしたので、とりあえず東京の金融市場が落ち着いたという事です。

即ち、習近平主席は、故毛沢東主席ほどには強気ではないのかもしれません。
停電で大混乱になっただけで、カーボンニュートラルを止めて、不倶戴天の敵のはずの米国産LNGの輸入規模を今後20年間2倍に増やすなどという事は、故毛沢東主席だったらやらなかっただろうと思うからです。
(つまり、目先足りない石炭ではなく、来年の停電を止める為に敵に頭を下げるようなことは、故毛沢東主席だったらやらなかっただろうと思うのです。)
故毛沢東氏だったら、まずは、北朝鮮からでもオーストラリアからでも、石炭を大量に緊急輸入して、東北部の貧困層に一袋ずつただで配り、その後では去年と同じ値段で暖房用石炭が買えるようにしただろう。そして、貧困層のヒーローになっただろうと、私は思います。
勿論、私には「中国国内で、実際に何が起こっているのか」は解りません。表に出ている現象をみて、推測しているだけです。
ただ、毛沢東型に進もうとする習近平主席と、欧米型で経済運営しようとする反習近平派のエリートとの主導権争いは、今後も続いてゆくような気がします。
尚、習近平主席は、現在の中国の中産階級1億~2億人がホームレスになることと、自分が主席の座を追われる事を秤にかければ、迷うことなく同胞の中産階級1億~2億人がホームレスになることを選ぶと思います。
 だから、中国の先行きに関しては、西側先進国の常識で予測しない方が怪我は少ないと、私は思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?