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ローマ教皇庁は、中国政府の要請に従って「台湾と断交して、中国と国交を結ぶ」のかな? 日本では、商売上の取引ではお金とサービスは交換されますが、お坊さんはお布施を貰うだけですが、キリスト教は契約の宗教だから違うのかな?フランシスコ ローマ教皇(ウィキペギアより) ●台湾有情 気をもむ信者たち


「私たちはこれからどうなるのか、心配で毎日ニュースをチェックしている」台北市北部のカトリック教会に熱心に通う大学教師は暗い表情でこのように話した。
中国が最近、ローマ教皇庁(バチカン市国)に対し外交関係樹立の前提条件として「台湾との断交」を提示したことが大きく伝えられ、台湾のカトリック関係者の気をもませている。
バチカンは欧州で台湾が唯一外交関係を持つ国だが、14億人の人口をもつ中国で信者を増やしたいなどの思いがあり、数年前から中国と接近している。2018年には、中国と長年対立してきた司教任命権問題で暫定合意した。最近になって北京に在外公館を設置する可能性も取り沙汰されるようになった。
一方、台湾には約24万人のカトリック信者がいる。人口の約1%にすぎないが、教会は多くの病院、大学などを運営しており、教育、医療分野で大きな存在感がある。前副総統の陳建仁氏も熱心なカトリック信者として知られる。
「バチカンが中国の影響を受ければ、これまでと同じような自由な宗教活動ができるのだろうか」と懸念する信者もいる。台湾の外交関係者は「外国と断交をした前例のないバチカンは、中国の条件はのまないはず」と話しているが…。
【引用終わり】
WoW!Korea(10/26)の 『中国、教皇庁との修交の条件として「台湾断交」を要求…教皇庁「当惑」』によれば、「(ローマ教皇庁が) 中国・北京にまず大使館を設立した後、教皇庁と台湾の関係を改めて論議する案を提示したが、中国側はこれを受け入れ(ず)…台湾との断交を要求した」そうです。
普通の国であれば「台湾と断交しないままに、中国と外交関係を結ぶことは、中国が受け入れない」と認識しますので、台湾と断交する用意がない場合には、そもそも中国と交渉しません。
近年中国と国交を結んだ国々は、「台湾と断交すれば、大金が貰えるだろう」から中国と交渉して、「○○貰える」ということで合意して、台湾と断交したのであります。
それなのに、なんでローマ教皇庁は、台湾と断交する気もないのに、中国と国交樹立交渉を始めたのでありましょうか? 
もしかしたらローマ教皇庁は「自分達は普通の世俗国家・商売人国家とは違う」と認識していて、「中国人もそれを知っているはずだ」と勘違いしていたのかもしれません。
互いに国益を求める世俗国家や商売人は、国対国・国対企業で取引します。物品かサービスとお金を交換します。しかし、教会とかお寺とかの宗教者は、お布施を貰うだけです。
 だから、ローマ教皇庁は、中華人民共和国から膨大な寄付を貰って中国と外交関係を結んであげても、自分達が引き換えに何かを差し出さなければならないとは思いもせずに、『台湾に外交使節を置いたままで、北京にも大使館を置けると勘違いした』のかもしれません。
 そして、あわよくば、両岸に大使館をおく唯一の国家として、『中国と台湾の間の対話を取り次ぎ、平和共存に導く役割が果たせる』などと、夢想していたのかもしれません。
 もしも、そんな成り行きになれば、ローマ教皇庁の神聖なる権威は天高く登ってゆきますから…。
 しかしそれでは、あまりにも「無神論の中華文明」を知らな過ぎます。
宗教施設を破壊する理由でも、宗教文明の人達と中華文明の人達では違います。
宗教文明の人達は「自分達の信じている神が絶対善で、他に神が存在する事を認めない」ので、異教徒の宗教施設を間違った信仰だと認識して破壊します。だから、イスラム過激派が破壊するのは、キリスト教会と対立する宗派のモスクです。自分達が信じるモスクは破壊しません。
一方、多神教信仰の日本人は、何にでも神様が宿っていると感じるので、神社もお寺もキリスト教会もイスラムのモスクも、神様に関するものは破壊したくないと感じます。自分が信じていない神様であっても、「触らぬ神に祟りなし」「罰が当たったらいやなので、破壊するならば逃げる方がよい」と感じるのであります。
これに対して、普通の中国人は、そもそも神様を信じていないので、キリスト教会もイスラム教のモスクも平気で破壊できます。
つまり、日本人でも欧米人でもイスラム教徒でもヒンズー教徒でも、何かの神を信じていて神様には尊崇の念を持っている人達は、ローマ教皇様には「世界の宗教者の別格の第一人者」としての権威を感じます。
しかし、真正の無神論者の中国人は、ローマ教皇様に権威を感じません。だからバチカン市国を東京ディスニーランド程の領土しか持たない小国として、他のカリブ海諸国と同じように「中国様と国交を持ちたかったら、台湾と断交しろ」と強弁できるのであります。
ただ私は、結局ローマ教皇庁は、中国と国交を結ぶことはできないと思います。
なぜならば、今欧米キリスト教文明社会では、中国のウィグル人=イスラム教徒に対するジェノサイドに対する批判が、湧き上がっています。これに呼応するように、中国に圧迫される台湾に対する同情から、台湾との関係を深める動きも出ています。
こんな中で、ローマ教皇庁が人権侵害国家中国と外交関係を結んで台湾と断交したら、ローマ教皇庁は信者から突き上げをくう事になります。
カトリックの「信者は、中国から台湾にシフト」で、「教皇庁は、台湾から中国にシフト」になると、教会と信者が逆のベクトルで動くことになるからです。
ですから私は、結局はローマ教皇庁は「信者を激怒させることになるので、台湾を捨てて中国を取る」という事は出来ないだろうと思います。
何といっても、信者あっての教会ですから…。
ただ、そもそも何で神聖なるローマカトリック教会が、神を否定する人権侵害国家の中国共産党と外交関係を結ぼうと考えたのか? は、不思議です。
ローマ教皇庁と中国の接近は、コロナ以前からでした。すでに、2018年には「中国国内の『カトリック司教の任命権』について、中国共産党の任命した司教をローマ教皇が追任命する」という合意を結んでいました。

この司教任命権合意は、(2020年10/1 BBCの「ローマ教皇、ポンペオ米国務長官との会談を拒否 中国めぐり摩擦も」では、次のように解説されていました。
【中国では、(共産党) 政府公認の教会組織は活動を認められている一方、ヴァチカンが認めたカトリック教会は非合法とされており、人権擁護団体はかねて、カトリック教徒が国内で弾圧されていると指摘している。
こうした中、中国とヴァチカンは2018年、(共産党)政府公認の教会組織における司教任命にヴァチカンが介入できるという合意を結んだ】
別の記事では、中国共産党が「この人を司教に」と推薦したら、ローマ教皇庁が「正式にカトリックの司教に任命する」という手順になったと解説されていました。それが、司教任命にヴァチカンが介入できるとも表現されるようです。
本当に何でも「モノはいいよう」です。
ローマ教皇庁は、この表現の違い・解釈の違いに騙されていたのでありましょうか?
私には、宗教を認めない中国共産党が「習近平主席万歳!」と教える人物を「カトリックの司教に任命せよ」と、ローマ教皇庁に要請している姿が目に見えるようです。
そして、中国共産党御用達でありながら、正式にローマ教皇庁の任命を受けた司教たちは、香港でもマカオでも中国本土と同じように、「習近平主席万歳!」ではないカトリック信者をカトリック教会から破門できるようになります。
ですから私は、ポンペオ前米国務長官が、在任中の2020年9月に出た記事で「ヴァチカンが(2018年に締結した)中国国内での司教任命をめぐる合意を (2020年に) 更新する意向を示したことについて、教会の『倫理的権威』を脅かすものだと批判した(BBC)」のは、的を得た批判だと思います。
それなのに、ローマ教皇はポンペオ前米国務長官の批判(もしくは提言)に対して、会談拒否と言う態度に出ました。
どうなっているのでしょうか?
ローマ教皇庁は『倫理的権威』を失ったら終わりです。「ローマの坊主どもは、中国から貰う金に目がくらんで、中国大陸・香港・マカオ・台湾のカトリック信者が中国政府に虐待されても知らんふりしている」と、世界の人達に思われてしまったら、ローマ教皇は軽蔑の対象になってしまいます。
それなのに、なんで中国と交渉するのでありましょうか?
ローマ教皇庁が、世間知らずなのか? 中国人の騙しのテクニックが凄すぎるのか? やはり「お金」なのか? 知っている人がいたら教えて頂きたいです。
第二次大戦中に、「バチカンが、ナチスのホロスコートに対して、知っていても知らんふりをしていた」という疑惑は、繰り返し繰り返し囁かれています。
私といたしましては、この反省も踏まえて、現在のローマ教皇様が、中国共産党のウィグル人やチベット人に対する宗教弾圧に対して、声をあげて下さるととても嬉しく思います。
「イスラム教徒のウイグル人・仏教徒のチベット人の信教の自由の為に、ローマ教皇様が力を尽くす」とするならば、ローマ教皇様は、名実ともに世界の宗教者の第一人者として、誰からも尊敬されると思います。

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