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朝日新聞記者さんと意見が一致!「小選挙区制になって…公認権や選挙区調整の権限を持った男性幹部の力が強くなるなか…有権者が候補者の人を選ぶ選択肢は狭まり…」だから、中選挙区に戻すか、予備選挙をしましょう。【引用開始】2020年6月27日、東京都知事選挙の演説中(北千住駅西口デッキにて)2021 10/11ウィキペギアより ●山本太郎参戦が火をつけた市民の怒り「文句も言わず名前書けなんて…」いびつな選挙制度、東京8区の「乱」


れいわ新選組の山本太郎代表が10月8日、次期衆院選で東京8区から立候補すると表明しました。地元の意向は反映されないまま、山本氏と立憲民主党の一部幹部の間で話し合われたことに、市民たちは抗議の声をあげています。根っこには、小選挙区制という選挙制度の問題が――。朝日新聞政治部の南彰記者が国会周辺で感じたことをつづります。
「1強政治」を変えた野党共闘
自民党に対する得票は全有権者の2割程度なのに、野党が分裂しているため、国政選挙で大勝を続けてきた…。
「派遣労働者」「シングルマザー」の代表
小選挙区制度というのは一番多く得票した候補者が当選するという仕組みのため、一対一の構図になりやすい傾向があります。…
東京10区では前回の衆院選では、自民の候補と次点だった立憲の候補との得票差は約2万票でした。共産党の候補は約2万票を獲得していました。今回は、共産党が独自候補擁立を見送り、国民民主党から立候補しようとした候補も比例中国ブロックに選挙区を変更しました。
一方で、れいわ新選組は新顔候補を擁立しています。「野党共闘」の枠組みに入る政党の候補は、立憲とれいわの2人に絞られていました。
れいわの候補者は、元派遣労働者の渡辺照子さんです。
…渡辺さんは…選挙に向けた準備を進め…「れいわ新選組の候補者の多くは、…みんな仕事をやめ、退路を断って、この厳しい戦いに臨んでいます」(と、訴えました)。
ただ、現状では野党第1党である立憲現職の男性に一本化する空気が強まっています。
山本太郎さんの突然の参戦
こうした詰めの調整が続くなかで、…東京8区で…れいわ代表の山本太郎さんが10月8日、JR新宿駅前の街頭イベントで「立憲側とは話を進めている」といって、事実上、野党統一候補としての立候補を宣言。

東京8区は、…(自民党)石原伸晃さんが8連勝を重ねてきた地盤です。 ただ、市民運動が盛んで、野党支持層が厚い地域でもあり、野党側の候補者が一本化されれば、勝機があるとみられています。

そこで、2年ぶりの国政復帰をめざす山本さんが2012年に初めて国政選挙に挑戦したゆかりのある選挙区に白羽の矢を立てたのです。…

しかし、東京8区には、立憲、共産、れいわの新顔がそれぞれ立候補の準備を進めていました。れいわの新顔は比例に回ることで決着しました。

山本さんの突然の立候補表明に、地元の市民はびっくりします。野党共闘を呼びかける「市民連合」の地域組織はこの4年間、立憲、共産、れいわの3候補が参加するイベントを重ね、粘り強く一本化に向けた話し合いの場を持ってきたからです。立憲新顔で6年間活動を続けてきた吉田晴美さんに一本化する調整も進んでいました。

10月10日には、JR阿佐ケ谷駅前に「#吉田はるみだと思ってた」と書かれたプラカードを持った市民が100人ほど集まり、地元の市民を無視した手法に抗議する街頭イベントが開かれました。

呼びかけ人になった30代女性は、市民不在で物事を決める政党幹部への不信を口にしました。 「…『政権交代ができればなんでもいい』とか、そういうくだらない権力闘争みたいな政治をやめ、私たちの生活から考える政治を作るために、やってきた…『統一候補だから文句も言わず名前を書け』と言われ、誰が書きますか? 

忙しい生活の中で、あなた方が思うよりもずっと、地べたを生きる市民たちはあなたたちをよく見ているし、考えているんですよ。

知名度がないところから、杉並の端から端まで駆け回って、街頭に立って、いろんな人から話を聞いて、…怒られたりしながら学んで、コロナ禍で相談や支援も最初からやり続けていて、ちゃんと人として人間を見て、政治を志しているのが、吉田晴美さんなんですよ。

そんな候補者を大事にしない政党なんてありえない。『#吉田はるみだと思ってた』というひと言にはいろんな思いが込められています。…」 この呼びかけに呼応するように、15人の市民が次々とマイクを握りました。

「地元の市民を無視した密室談合だ」

「ブラックボックスで決まる政党に対する不信感、市民の無力感。こんなことを許してはならない」…

山本太郎さんが「鼻をつまんで一緒にやってもらえたらありがたい」と語ったことについては、「鼻をつまんで投票したくない」…との批判が相次ぎ、参加者は「知名度がある俺なら勝てるという独善的な考え方をひけらかしながら『弱者を救う』といっても誰も信用しない」と再考を求めました。

そして、批判は立憲へも向けられました。

一部の幹部が、他の選挙区でれいわが候補者を降ろすことと引き換えに、東京8区で吉田さんを降ろし、山本さんに一本化しようと模索していたからです。

市民は、立憲の都連幹部から降りるよう水面下で求められ、苦しんできた吉田さんの姿も見てきていました。…

「偉いおじさんが勝手に決める政治は終わりに」
…ライターの和田静香さん…「みんながもっと純粋に誰に国会に行ってもらいたいかを話し合うのが、本当の野党共闘だと思います」と訴えました。…

司会の女性が「一部の偉いおじさんたちで勝手に決める政治は終わりにしないといけない。地べたを生きる私たち市民と、その声を持って議会へ行く代議士とが一緒に政治を作るという、そういう政治を私たちは望んでいるので、これからちゃんと考え直してください」と呼びかけて終了しました。

小選挙区制になって25年。公認権や選挙区調整の権限を持った男性幹部の力が強くなるなか、「勝てる候補」への一本化が重視され、有権者が候補者の人を選ぶ選択肢は狭まり、国会の多様性と力を損ねてきました。 

東京8区の「市民の乱」は、いびつな政治の元凶にある選挙制度のあり方自体を見直していく必要をあらわしていると思います。       (https://withnews.jp/articles/series/94/1)       ◇ 南彰(みなみ・あきら)1979年生まれ。…

【引用終わり】

 私は、10月3日共同通信の【選挙区半数で与野党互角 枝野氏、衆院選情勢巡り】を読んで、「与野党に4倍の支持率の差があっても選挙では与野党互角なのは、与党支持者が応援する気にならない候補者を、自民党執行部が選挙区に押し付けるからではないかと思う」とブログに記しました。

(NHKの政党支持率調査では「自民37.6%・公明3.6%=与党41.2%。共闘野党支持合計9.2%」なので、与野党には4倍の支持率の差がある)

 そうしましたら、野党の方では総選挙の立候補者の選定が「地元の意向は反映されないまま、…一部幹部の間で話し合われたことに、市民たちは抗議の声をあげています」という事態になっているようです。

朝日新聞の記者さんは、「根っこには、小選挙区制という選挙制度の問題が(ある)」と指摘しています。

 私は、この意見に大賛成でございます。日本の民意のくみ取り方としては、小選挙区も、比例代表も相応しくありません。ですから、中選挙区に戻すのがベストなのですが、それが早急には無理であるのならば、せめて選挙区の公認権を政党首脳から取り戻して、予備選挙方式を採用すべきであります。

 この私の意見は、間もなく出版する書籍の中に入れましたので、以下、引用します。

●中選挙区制は日本社会の人々の声を吸い上げる選挙制度で、小選挙区制も比例代表制制も欧米社会の人々の声を吸い上げる選挙制度である。
現在の小選挙区比例代表並立制の選挙制度は、ここ日本においては「国民の意思を無視できる政治家集団が政権をとれる」システムなので、とても危険です。
まず第一に、ただでさえ政治家は政党という集団の意思を尊重しすぎて、政治が無意識の内に国民不在の政治を選択するのが日本です。その上で、選挙区の公認権が政党にあっては、政治家は政党の操り人形になってしまいます。
有権者が「そんな操り人形の政治家には投票したくない」としても、自分が「支持しない政党に投票する」事もできません。すると有権者の選択は、嫌いな立候補者でも支持政党だから投票するか、選挙に行かないかのどちらかになります。あんまり嫌いな立候補者の時には、支持しない政党に投票する事もあるかもしれません。
このような事が続いてゆくと、しだいに「選挙民の声を聴く必要はない」「政党本部の首脳に、当選できる選挙区を割り当ててもらう事が、政治家になる道だ」「比例名簿の上に載せて貰うのが政治家になる道だ」と思い定める政治家が増えてゆきます。
故に、かつての軍部と同様に、与党の首脳が自分の意見に従う人物を要職に付けて日本の政治を動かして、国民の意思を無視できてしまうようになるのが、小選挙区比例代表並立制の選挙制度なのであります。
 
一方で、かつての中選挙区制は、日本の社会と風土にピタリと合う選挙制度でした。なぜならば、中選挙区制では、一つの選挙区の中で複数の政治家を当選させなければ、政権は取れませんでしたので、自民党の中には、同じ選挙区で血で血を洗う戦いをする政治家が同居していました。
この為に、自然に選挙互助会の派閥が出来ました。中選挙区制の時には、この派閥が悪の巣窟のように言われていましたが、しかし派閥は、自民党が一つにまとまって国民不在の政治に邁進する事を抑止していました。同じ選挙区の中で有権者の票を取り合う自民党議員達は、支持者の意見を聞かないわけにはいかなかったのです。
もし、自民党の執行部が〇と言っていて、A議員の支持者の大半が△と言っている場合に、A議員が「党の執行部が〇だから、自分は〇です」と言ってしまったとします。
その時に、同じ選挙区の自民党のB議員が「自分の派閥の親分は△といっているから、自分は△だ」と宣伝したら、(同じ自民党なのですから) △がよいと思うA議員の支持者の中には、その時のだけはB議員に投票する人も少なくありません。そういった離反者が多いと、A議員は落選してしまいます。
つまり中選挙区制度とは、「有権者の方に、ABCDどの議員に投票するかの《選択権》がある」ので、政治家が有権者の声を無視できない制度だったのです。
日本の集団は自然状態でほおっておけば「和を持って尊し」でまとまります。ですから政権与党が、結局は「政権与党内で仲良くするのが一番大事。国民には我慢してもらおう」という状態になってしまうのは、それが日本だからです。
しかし中選挙区制度では、日本の集団が自然にたどり着く「和」に、政権与党だけはたどり着けないように仕組まれていました。中選挙区制度とは、日本の政治家にとってはいばらの道で、国民にとっては最良の選挙制度だったのです。
誰が考えたのかは知りませんが、まさに中選挙区制度は、日本人の思考と発言と行動の様式を知り抜いた人たちが編み出した、日本の国民の為の選挙制度でした。ですから、今からでも中選挙区制度に戻すのが、日本の未来にとっては最良の選択です。
現在日本が採用している小選挙区比例代表並立制は、英米型の二大政党を生む小選挙区制と、ドイツの (政治家個人ではなく) 政治理念を選択する比例代表制を組み合わせたものです。
現実主義的な「唯名論」哲学のイギリスでは、政党の掲げる政策に対して「YES・NO」に民意が別れるので、小選挙区で「政策に対する『YES・NO』に投票する」ことで民意が国政に反映できます。そして、自然に二大政党制になります。
一方で観念論的な「大陸合理論」哲学のドイツでは、民意は政党の掲げる理念によって分かれます。ですから、選挙民が「自分で選んだ理念に投票する」比例代表選挙をすることで民意が国政に反映できます。そして、理念ごとに政党が出来るので、自然に多党分立になります。
これに対して、日本では政治家が好きか嫌いか、政党を支持するかしないか、それぞれ個々人が自分なりの理由で投票します。ですから、民意が「○」「×」「△=中取りして仲よくしよう」「興味ない何でもいい」に別れる日本では、本来は中選挙区制度が一番合っているのです。「YES・NO」にしか投票できないと、「中取りして仲よくしよう」や「興味ない何でもいい」という人達の民意が無視されてしまうのです。
また、そもそも理念が無い日本では、比例代表選挙そのものが出来ないでいます。
例えば自公連立の選挙戦術として「小選挙区は自民党議員の名前をかいて、比例では公明党と書いて下さい」とお願いする事が横行していますが、これでは「自分の理念・理想に合致する政党を選択する」という、比例代表選挙の主旨を完全に逸脱しています。
また中曽根康弘元首相が「終身比例名簿一位」の特権を持っていることに「ズルい」と批判が集まり、ご自身で返上されました。比例代表は本来は人物を選ぶ選挙ではありませんから、その政党で功績のあった人物をその政党の理念を最も体得しているとして名簿一位にする事は、そのルール上では何の問題もありません。
しかし、多くの日本人は「ズルい」、正当な選挙ではないと感じてしまう。
これは (理念が無いのですから当たり前ですが)、日本人が選挙では「政党の理念ではなくて、人物を選びたい」と、感じているからです。
即ち、日本人が「そのルールー通りにやったら、ズルいと感じる」比例代表選挙制度は、日本人には全く合わない選挙制度です。また、少数意見をくみ取れないと感じる小選挙区も日本人向きではありません。
それぞれの国には、それぞれにふさわしい民意のくみ取り方があるのです。ですから私は「日本人の民意を政治に反映させることができる、中選挙区制度に戻すべきである」と、本当に思います。
 
尚、それがすぐは出来なくても、立候補者の公認権を政党本部が握っているという現在の方法では、いずれかつて軍部と同じ結果になります。ですから、自民党員の皆さんには公認権を政党本部から取り戻して、予備選挙方式に変えて欲しいと思います。
選挙区で4人でも5人でも立候補をしたい人が予備選挙に立候補をして、過半数の投票を取る人物がいない場合には上位1位2位で決戦投票をするという、予備選挙をへて初めて政党立候補者として公認されるならば、政治家は選挙区の人達の声を聞かないわけにはいかなくなります。
日本の「和」の力は強大ですのでこのままですと、いつしか自民党は「党内融和が一番大事。国民には我慢してもらおう」という政党になります。ですから、「支持者の声を聞かなければ、政治家でいられない」というストッパーが絶対に必要なのであります。

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