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中国が「戦狼外交が成功している」と誤解するのを避ける為に、北京五輪の外交的ボイコットには賛成です。プラスして、ソチ五輪の後にクリミアがロシアの手に落ちた前例を踏まえて、北京五輪の後で台湾侵攻が発生しないよう注意した方がよいです。【引用開始】●米、外交的ボイコット検討 来年の北京五輪、人権問題懸念

バイデン米国大統領 ウィキペギアより
 バイデン米大統領は18日、来年2月の北京冬季五輪に米政府高官らを派遣しない「外交的ボイコット」を「検討している」と明言した。ホワイトハウスで記者団に語った。米国は中国新疆ウイグル自治区などの人権問題に懸念を募らせており、抗議の姿勢を示す狙いがある。外交的ボイコットを決めても選手団は派遣する見通しだ。
 バイデン氏は中国の習近平国家主席と日本時間16日に初のオンライン会談を実施したばかり。サキ大統領報道官は18日の記者会見で「新疆などでの人権侵害を深く懸念している」と改めて表明。一方、外交的ボイコットの具体的内容などについては回答を避けた。
【引用終わり】
先頃米中首脳のオンライン会談を3時間半やって、「米中が、いたずらに緊張をあおるのはやめよう」みたいな話になったはずですが、米国が外交的ボイコットを検討しているということは、その実は「米中が、互いに主張の違いを確認し合った」ということだったのだと思います。
 オンライン会談の前には、習主席が「バイデン大統領を北京オリンピックに招待する」などという報道もありましたが、結果が「外交的ボイコット」では、全く逆ですからね。
ただ私は、中国が「戦狼外交を一貫して推進していても、一言米国におべんちゃらをいえば、米国は軟化する」と誤解するのを避ける為にも、北京五輪の外交的ボイコットには賛成です。「ウィグルや香港での人権侵害が続く限り、中国と温かい友好関係を結ぶつもりはない。」と、はっきり伝えるのはよいことです。
ただ、もう一つの重要問題は台湾です。中国も、来年の2月に北京五輪がありますから、今すぐには台湾侵攻はしないと思います。五輪の前に台湾侵攻をしたら、五輪をボイコットする国が続出するからです。ただ、ソチ五輪の後にあっという間にクリミアがロシアの手に落ちた事を思い出すと、北京五輪の後では台湾に危険が迫る予感がします。
勿論、常識的には台湾侵攻はあり得ません。
台湾は島ですので、占領出来るだけの数十万の陸軍兵を軍艦で送らなければなりません。
第二次大戦のノルマンディ上陸作戦では、作戦当日だけで約15万人、作戦全体で200万人の連合国の兵員がドーバー海峡を渡ってノルマンディー海岸に上陸しました。
沖縄戦では、1945年になり、米国は、空母16隻を中心とした強力な機動部隊を差し向けました。そして。3月23日から沖縄県周辺に対する本格空襲を開始し、(初日だけで延べ2,000機が出撃)。猛烈な空襲を続けながら、3月31日に慶伊瀬島に上陸し、以後地上戦となりました。沖縄に上陸した米兵は18万人。沖縄線に参加した兵士は54万人です。
このように台湾侵攻を成功させるには、猛烈な空爆を繰り返して、台湾の空軍基地や発電所などのインフラを破壊しつくした後で、一挙に数十万人の海兵隊・陸軍兵を上陸させねばなりません。
現在では、人工衛星で相手国を見張り合っていますので、数十万人の兵士たちが軍艦に詰め込まれていれば、すぐわかりますので、ノルマンディーの時のように奇襲で上陸作戦を行う事は出来ません。
その間、数週間はかかります。日米と欧米各国が批判するだけで、指をくわえて見ているでしょうが?
 ロシアがクリミアを手に入れた時は、クリミアの地方政府を骨抜きにして民兵があっというまに制圧しました。クリミア市民もほとんど抵抗しませんでした。しかし、台湾政庁も台湾市民も無抵抗である可能性は低いです。
即ち、空爆しようとすれば、迎撃機に迎えられ、中国軍兵士を満載した台湾海峡をわたろうとすれば、国籍不明の潜水艦に攻撃されたり、機雷の海を渡らねばならなくなります。
このように海峡を挟んだ台湾島への侵攻は、相当の犠牲を覚悟しても失敗する可能性を排除できないのです。
ですから、常識があれば、まずやりません。
ですから、台湾侵攻といっても、中国に可能なのは中国大陸に近い台湾の離れ小島を占領する程度でしょう。しかし、それをやれば、国際的には大問題となり、欧米先進国は中国に経済制裁をかけますから、中国にとっては得るものは小さく、傷は大きくなります。
ですから、常識があればこれもやりません。
中国に常識があればやりません。
問題は、中国に常識があるのか? ということですが、
ここの所が不明です。
ですから、私は、北京五輪が終了した後が危険ですので、
もし台湾侵攻があった場合の、対策のロードマップを民間のシンクタンクが発表するなど、中国が台湾を侵攻しても言葉で批判されるだけだと誤解をする事が無いようにしておいた方がよいと思います。
即ち、中国は台湾に対して、平和統一=武力を使わないと約束した。だからアメリカは、一つの中国政策を尊重し続けている。つまり、中国が約束を破って台湾海峡に武力が使ったら、アメリカが一つの中国政策を尊重する義務はなくなる。
と、いうことを再確認した方がよいと思います。
中国が誤解して、台湾海峡が荒れ狂う事の無いように…。

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