2024年春サハリン
私の母が戦後、旧樺太から引き揚げてきたと知ったのは、まだ子供の頃だったと思う。晩年まで詳しく語ってくれなかったのは、壮絶な思いがあったからだと思っている。
母方は旧萩藩の(超)下級武士で、藩が用意してくれた環境ではあるものの、開拓民として北海道に渡りその後定住した。7人兄弟のうち、祖父と次兄が樺太の土となったが、末娘の母をはじめ、それ以外の家族は北海道に帰還が叶い、それぞれ人生を閉じている。
今回の旅の目的は、母の戸籍の上で空白になっている、名寄から旧樺太の落合町に移り、引