ななうみ

社会人1年生。アイコンは24年前の四角いわたし。

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最近の記事

善意の受け取り方

満席の新幹線の連結スペースにぽつんと立っていたら、お手洗いから出てきた男性に「ひとりですか?」と声をかけられた。こんなところでもナンパか、と思って目を合わせないでいると「僕、次で降りるので席譲ります」と。 申し訳なさと、恥ずかしさと、なんだかよく分からないショックで顔が熱くなった。慌ててお礼を言って頭を下げる。 「ひとりですか?」から始まる声かけで何度も嫌な思いをしてきた。値踏みする目で全身を舐め、薄っぺらい笑顔で行手を阻み、断ると舌打ちをされる。何度も嫌な思いをしてきた

    • コピーライターになりたかった。

      コピーライターになりたかった。 やさしい言葉を使う人でありたくて、やさしい言葉を届けられる仕事がしたくて、広告代理店に入社した。 コピーライターにはなれなかった。 どうやら、思い描いていた人生にはならないみたいだ。どうやら、どうやら、そうみたいだ。 夢は叶わなかったけれど、コピーライターになりたかった気持ちを大切にしたいので、文章を書こうと思います。よかったら読んで下さい。 書き残しておきたいのは、好きなコピーの話ではなく、好きだったコピーの話。 コピーライターになりた

      • 映画館で世界に触れる

        もののけ姫を映画館で見た。 金曜ロードショーで何度も見たことのある物語。ストーリーや登場人物は覚えているし、セリフもところどころ覚えている。 それでも、だからこそ、 映画館で見るもののけ姫は何もかもが違った。すぐには言葉が出てこないほど。 視界いっぱいに広がる森の景色と、目がくらむような疾走感。アシタカの目に力が籠るときの一瞬の筋肉のこわばり。テレビでは聞き取れない微かな葉音。 全部全部良かった。映画館で見て良かった。 小さなテレビの枠の中の画面の向こうの物語ではなく、視界い

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