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【小説】竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る(著:fudaraku、画:はむメロン) "最大の問題作"との評に相応しい電撃大賞受賞作

電撃大賞受賞ながら"最大の問題作"、その評に納得。

作品紹介

「驚愕の一行」を経て、光り輝く異形の物語。

明治も終わりの頃である。病死した父が商っていた家業を継ぐため、東京から金沢にやってきた十七歳の菖子。どうやら父は「竜胆」という名の下で、夜の訪れと共にやってくる「おかととき」という怪異をもてなしていたようだ。

かくして二代目竜胆を襲名した菖子は、初めての宴の夜を迎える。おかとときを悦ばせるために行われる悪夢のような「遊び」の数々。何故、父はこのような商売を始めたのだろう? 怖いけど目を逸らせない魅惑的な地獄遊戯と、驚くべき物語の真実――。

応募総数4,467作品の頂点にして最大の問題作!!

雑感

✅️"最大の問題作"評は伊達じゃない
✅️ホラー的描写の痛々しさたるや
✅️針の止まらぬ羅針盤で旅するような展開
✅️『痛み』の意味を知った時、世界が変わる
✅️挑戦的な構成に脱帽

本作を先ほど読み終えたばかりだが、僕はこの作品の感想について語れない。上手く言葉に出来ないのだ。なので、ぜひ皆さんには読み終えた後に「あとがき」に目を通し、その上で、誰かの解釈を気にすることなく、それぞれの受け止めのまま物語を咀嚼してほしい。

とはいえ、せっかくの作品紹介なので、参考にならないかもしれないが僕が読み終えた後のインパクトがどの程度だったのかだけは語りたい。

それは、中学生の時に初めて「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(著:村上春樹)を読み終えた後に似た衝撃だった。物語の内容や方向性は異なるので"何となく"という感じではあるのだが、読み手としての僕は何を頼りに、何処に向かっているのか、針の止まらぬ羅針盤だけで旅を続ける、そんな感覚が共通したものだった。

なお、最大の問題作と評されるように読み手を選ぶのは間違いない。しかし、一読の価値は十分過ぎるほどだ。

最後に、作者の意欲的な物語への挑戦の精神と、これを大賞として世に出した第30回電撃小説大賞選考者の方々に敬意を評したい。

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