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六車奈々、会心の一撃!

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タレント・女優の六車奈々によるエッセイ集。子育てをしながら働く、ハプニングと全力投球な日常をエッセイでお伝えします。
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2018年10月の記事一覧

九死に一生!

我が家には、目に入れても痛くないほど可愛がっている オカメインコがいた。 名前は『おて』だ。頬っぺたが赤くて『おてもやん』みたいなので 『おて』と名付けた。私がピピピと感じて買ってきた鳥である。 オカメインコは頭が良く、中でもオスは求愛行動の一つとして、 人の言葉を真似る。我が家のおても、 「もしもし。おてちゃん?あーっはっはっはっ!」とよく喋っていた。 おては自分を人間だと思い込んでいるようで、とにかく人に懐き、 家族全員がおてに夢中になった。 ある日のこと。 妹が鳥カ

動くおもちゃ

私が通った小学校では、年に一度、図工の時間に必ず 『動くおもちゃ』を工作する。 私は、この『動くおもちゃ』を作るのが嫌いだった。 なぜなら私が作った『動くおもちゃ』は、一度も動いたことが無いからだ。 クラスの全員の『動くおもちゃ』が動いても、私のだけは動かない。 一年生の時も、二年生のときも、それからもずっとだ。 昨年、五年生の時の『動くおもちゃ』は、観覧車作りだった。 クラスメイト全員の観覧車は、クルクルとまわった。 動物の絵や怪獣の絵など、思い思い描いた観覧車がクルクル

時は金なり

不平等なことの方が多い世の中だが、1つだけ平等なことがある。 それは時間だ。 1日は24時間。早送りも巻き戻しもできない。 これだけは、全ての人に平等に与えられている。 しかし、そんな当たり前のこと、 日常生活の中で考えることなどあるだろうか? 例えば、明日が誕生日だとしたら、何を思う? その夜、私は娘とベッドの中で話をしていた。 「明日の朝起きたら、三歳だね。」 「三歳の次は?」 「四歳だよ。」 「その次は?」 「五歳。」 「その次は?」 「六歳、七歳、八歳、、、、」

運命の出会い

少し早めに品川駅に着いた。 今日は、大阪でラジオの録音だ。 冬の早朝は、空気が冷え切って息が白い。 私は温かいカフェラテが飲みたくなった。 スタバでカフェラテを購入し、駅のホームへと向かう。 ホームは寒かったが、カフェラテを持つ手があったかい。 「早く新幹線に乗って、ゆっくり飲もう。」 平日早朝の新幹線は、相変わらずサラリーマンで満席だった。 私は三人がけの窓側。すでに真ん中の人が着席している。 私は頭を下げながら窓際へと移動した。 さて困った。 コートを脱ぎたいが、手

ずるいオトナ

今日から私は、小学校三年生だ。 二年間慣れ親しんだクラスとはお別れ。 クラス替えがあり、新しい担任の先生は、 今年赴任してきたばかりの若い女の先生になった。 ショートカットで目は鋭く、男勝りな口調。 「キツそうな先生だな。」 第一印象で、私はそう思った。 新学期初日。午前の授業が終わり、給食の時間になった。 おかずは卵とじだ。 「うわぁ。卵とじや、、、。最悪。」 私は給食の卵とじが大嫌いだった。 なぜなら、絶対に卵の殻が入っているからだ。 皆さんも、人生で一度や二度は卵の殻