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「夏祭浪花鑑」国立劇場・国立文楽劇場 2023年5月、7月

この演目が大好きなのと、配役が神がかっていることもあり、この数か月はどっぷりハマりました。

  • 国立劇場(東京)にて、観劇3回(初日、千秋楽含む)

  • 上記の配信を発売日早々から購入して複数回視聴

  • 国立文楽劇場(大阪)にて、1回

どんだけ好きなんだ自分・・・。と苦笑しつつ、心の赴くままに観劇し散財する快楽に溺れ。まさに「浄瑠璃狂い」と言わんほどののめり込み方です。

大量のコンテンツが作られ消費されていく時代に、こんなにのめり込める演目に出会える幸せと、のめり込める狂気(汗)を発揮できる自分を、秘かに誇らしく思ったりします。

実は、コロナ前の平成30年に東京で公演があった時に初見で度肝を抜かれ、その後チケットを買い足して数回見ました。文楽にさらに一段ハマったきっかけになった演目です。

なので、今年の東京公演の配役が、大好きな桐竹勘十郎さんと、吉田和生さんの頂上対決ということで、配役発表時から興奮しておりました。人間国宝の皆さんは、複数の演目に分散して出演されるのが多いので、嬉しい驚き。特に、和生師は品格ある中高年女性のお役が多く、毎度その演技に涙を誘われているので、あの嫌らしい舅役を遣われるなんて!と。(ご本人も意外だったようです)

そして、勘十郎さん。女殺油地獄のDQN与兵衛役がとても良かったので、キャラは違えど、きっと目が離せない団七になりそう、と。人間国宝がからみあう頂上対決・・・。

想像通り、見るところがたくさんありすぎて、配信を繰り返し見たのに、まだ足りない、という感じでした。

勘十郎師の団七。表情がくるくる変わるし、葛藤の過程が表情やしぐさに表れるので、目が離せない。眉毛と目と首の傾け方でこれだけ多様な感情を表すのか、と毎回感心してしまいます。特に、義平次にとどめを刺すところは、とても細かく眉毛と目と首を動かしていて、「人形が勝手に動き出すときがある」とのたまっていたのは、これか!と思ってしまいました。

勘十郎師から「目が離せない」状態になっているにも関わらず、義平次の動きもついつい見てしまう。煽りのいやらしさはさすが。団七の顔を内輪であおったり、蚊に刺されたところを掻いたり、セリフが無いところも細かいしぐさがてんこ盛りで、つい見てしまう。団七と義平次どっちを見たらいいのか、目がもう1セット欲しいよ・・と思ってしまいました。

殺害シーンのダイナミックな動き。これもちろん、3人×2チームの合計6人で演じているわけです。左遣いさん足遣いさんの運動量スゴイ・・・。特に、大柄な団七が背中の紋々を見せて見栄を切るところ、左遣いさんすごい体勢で見栄のポーズ作ってるんだな、と驚き。人形遣いさんは全身使うパフォーマーですね。勘十郎チーム・和生チームの総合芸術。めちゃくちゃかっこよかったです。

そして・・。もちろん床(太夫・三味線)も絶品です。織太夫さんは言うまでもなく、藤太夫さんのいやらしい爺役。年齢面でも藤太夫さんの声がぴったりなうえ、「なんとまぁ嫌らしい言い方するわな」と。これ説得力ないとお話が成立しないですし、言葉の端々にいろんな風味の嫌らしさが満載でした。

Twitterでも絶賛コメントが多数!バズってました。それをうけて、公演中に「特別コメント」としてお二人のメッセージ動画が配信されました。

そして・・。夏祭浪花鑑といえば、つめ人形が担ぐお神輿。太夫さんの語りが止まり、舞台奥からのお祭の囃子声と舞台の人形の動きだけになる緊迫したシーンです。

このお神輿のシーン、好きなんですよね。祭の狂気を感じる一コマ。お神輿のもみ方が激しくて、つめ人形がすっ飛んでしまうのでは・・と毎回心配になります(笑)。そして複数回見ると、お神輿の動きもその日で全然違うんですね。↓のインタビューを見ると、事前の打ち合わせはなく、その時の気合でやってるそうですが、その通りの激しさです。

大坂の夏を表したこの演目のクライマックスですよね。このお祭自体は今でも続いているようで。Twitterで織大夫さんから紹介がありました。

そして・・。7月下旬に、国立文楽劇場の方にも遠征してきました。こちらの配役は、吉田玉男さんの団七。直前に人間国宝の認定が決まったとのことで、7月公演も人間国宝同士の頂上対決が実現したわけです・・・!

普段、大柄なお侍さんや色男役が多い玉男師。どんなダイナミックな団七が見られるのだろう、とこちらも大興奮。勘十郎師が「裸を見せたいくらい立派な身体」と宣うくらい(どんなコメントだし(笑))玉男師は体格が良く、大きな身体の団七は見ごたえがありました。

団七が歯を食いしばり耐えに耐えて、舅を殺そうとした瞬間から一転し、仁王のように、殺しにかかるの、猛々しさで恐ろしくなりました。風神雷神像のような人知を超えた怒りのような。こういうの現代では見られないですよね・・・。古典の表現で惹かれる要素です。

遣い手さんの芸風により、同じ役柄でもこうも違うか・・・。と。それぞれの良さを堪能するのも幸せですね…

さてさて、書きたいことは山ほどあれど、このへんで。

ぜひ、Twitterにて、「夏祭浪花鑑」で検索してみてください!興奮のツイートがたくさんみられるはず!


以下は関連リンクです。

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