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11月文楽公演「一谷嫰軍記(いちのたにふたばぐんき)」@国立文楽劇場 2022年12月


今年は大河ドラマが鎌倉時代だったせいか、義経にまつわるお話の演目が多かったような気がします。

でも、文楽の演目って義経が脇役で、それを取り巻くキャラクターのお話が多いような。この演目もそうなのです。


この公演は、国立オンライン劇場、通称くろごチャンネルで、有料配信で鑑賞しました。
2時間45分もの大作。自宅で細切れに見るのもまた良しです。途中でうとうとして寝落ちしても、寝た場面から見返したりできるし。

というか、気に入った場面は何回も見られる。今回も全編2回ずつみちゃいました!

ツボだった場面を列挙します。

吉田簑紫郎さんの小雪ちゃんが可憐。可愛い。イケメンの前でモジモジしてる姿にキュンキュンしました。可憐な娘役にうっとりするのも文楽の歓びです。

竹本織太夫さんの脇ヶ浜宝引の段。普段、太夫さんが登場人物の語り分けしてるのは自然すぎて凄さを感じないのですが、この段はその芸の凄さを開陳するような場面。後半になるとオオオ!と凄みを実感します。

そして、ツメ人形かわいいけど、可愛い顔して大勢でリンチしてお侍さんを殺してしまうシュールさもツボ。

吉田和生師匠の相模。武将の奥方。打ち掛けの紋様が美しくてうっとり… この柄の着物欲しい。

吉田玉志さんの熊谷次郎直実。この方の戦国武将の演技が好きです。現代で見られない武将の猛々しさ。人殺しを生業にしてるからこその勇猛さと気迫。

古典ではこういうのを見たいのです。この演目では存分に味わえました。何回も繰り返し見てしまった。

くろごチャンネルは字幕が無いので、パンフレットでざっとあらすじは見たものの、人間関係とかいまいち分からずぼんやり鑑賞しました。

文楽はわからないくらいでちょうど良い、というのを座右の銘にしてるので、十分満足。ストーリーの明快さや整合性を気にしすぎるのは現代の病癖ですよホント…


首実検の時にホントに生首が出てきて、子供の生首を抱えて母親が嘆くシーンなぞは、文楽ならではの演出ですよね…


通好みの演目だったので、文楽鑑賞歴5年を経過したから楽しめた気がして満足でした。


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