春と映画


どうでもいいことを書きたいけど、どうでもいいことにもオタクの人格を切り離せないのでnoteに手を出してしまいました〜 いぇ〜い


いつも映画を観たあと小さいカード状の付箋に感想メモを書き手帳に貼るのだけど、書きたいことが紙に収まらなくなったのと、今年の春は考える時間があるのでこちらに最近観た映画を軽くまとめてみる。



彼らが本気で編むときは、

監督:荻上直子 主演:生田斗真

編むということの静かな描写と背負う悲しみの荒さのコントラストが素晴らしかった。在るものに疑問を抱かないということは本質に触れている特別な時間なのだ、と伝えるような3人の編む姿が印象的。強く美しいリンコさんのどうにもできなかった人生の悲しみが痛い。理論では説明できない肉親を求めるトモの気持ちも痛い。みんな人間としてのどうしようもない痛みと戦っている。それでも生きなければならないんだね。本編通して違和感を失っていたが、生田斗真さんが完全に美しい女性だった。

これを踏まえてこれから観たい映画:「源氏物語」「脳男」生田斗真さんの静かだけど荒い役をたくさん見たくなった。


リメンバー・ミー

監督:リー・アンクリッチ 主演:石橋陽彩(日本語吹き替え)

琉巧くんが梅芸や松竹座で先輩にモノマネさせられていた記憶だけが前情報だったので、勝手にただただ楽しい映画だと思って観たら涙腺が終わった。故人を偲ぶ時間というのは我々の生活の中でわりと当たり前に存在するけど、誰にも思い出してもらえなくなった死者についてなど考えたこともなかった。そういう者は、死者の国でも消滅してしまうらしい。2度目の死がこんなに悲しいなんて。だから切実にリメンバー・ミー。死者の世界に存在するこの想いが、死者の国に迷い込んでしまった少年ルーク…じゃなくてミゲルの生命力に満ちた音楽への憧れと同時に動いていくのがまたむごい。劇中でリメンバー・ミーという曲が何度も歌われるが、シチュエーションや歌うキャラクターによって歌詞や旋律が全く違うものに感じるのがワクワクした。いつかギターでこの曲を弾き語りするのが夢です。日本語吹き替え版ミゲル役の石橋陽彩さんという方は女性の歌手だと勝手に思っていたが、調べたらほっぺの赤いかわいい男の子だったのでびっくりしました。声帯の使い方をよく分かってる歌い方だったから大人だと思っちゃったんだよな。力強くも綺麗に伸びる高い声が本当に美しい。YouTubeチャンネル登録しました。好きです。しつこい余談だけど、當間琉巧くんと同い年の方でした。

これを踏まえてこれから観たい映画:「アナと雪の女王2」聴いて歌って気持ちよくなる映画が観たいねえ。


7番房の奇跡

監督:イ・ファンギョン 主演:リュ・スンリョン

西畑くんがラジオで教えてくれたので観た。かわいい女の子とコミカルな描写が愛らしかった。(普段韓国の映画やドラマはほとんど観ないのだけど、たまたま最近パラサイトでも同じ種のコミカルさを見たばかりで進研ゼミでやった!となった。)平和すぎる親子と人間の汚さと悲しすぎる判決にとにかく納得がいかず、モヤモヤした気持ちになった。実話と聞いてなおさらです。これを幾年も抱えてきたイェスンの、表情を変えずにこぼす涙がとにかく悲しい。物語の流れにクソ...という気持ちになるが、振り返って思い出すのは明るい光の中できらきらした楽しい親子の姿なのでズルい。海外でどんな存在なのか不明だが、幼女の憧れと正義の象徴としてのセーラームーンが物語を通じてキーとなるのは日本人として大変興味深かったね。

これを踏まえてこれから観たい映画:「映画 少年たち」これを踏まえて囚人の生活として確認したい点がいくつかあったので。


小さいおうち

監督:山田洋次 主演:松たか子(黒木華ちゃんじゃないのか?)

基本的に人々の明るい描写が多く、わたしが思っていた戦時中の家庭とは違った。これも記憶の中の映像という感じがして良い。この時代にタキちゃんが戦争なんかよりずっと恐れていたのは奉公先の家族が崩壊してしまうことだった。タキちゃんの女中としての奉公心や時代特有の倫理観などわたしには全く経験のないものを感覚的に理解させる技術があって引き込まれた。せっせと奉公する若い女中の切実な顔と背中の丸い老婆の嗚咽に何十年も抱えた小さな罪の痛みと深い愛が手に取るようにわかるのがすごい。このくだりは生の感情という感じがして、たぶんここで感じたものはしばらくすると思い出せなくなるんだろうなと思う。ストーリーだけで心を動かすわけではないところが映画らしくて良い。どうせ忘れてしまうだろうからまた観よう。正直言うと最初にちょっとだけ出てくるあき竹城の山形弁にブチ上がってしまうのほんとダメ。ネイティブすぎて笑っちゃう。黒木華ちゃんに申し訳ない。

これを踏まえてこれから観たい映画:「母べえ」「母と暮せば」「おとうと」山田洋次の最近の作品いっぱい観るぞ!という気持ちに。


おとうと

監督:山田洋次 主演:吉永小百合

わたしは断固として鉄郎という人を大事にできないと思った、けれど、おとうとだったら自分の人生とは切り離せないかもしれない。姉としてあんなに迷惑してきたけど笑ってくれたらうれしいし、おとうとが周りのために気張ってきたことが分かる最期が切ない。あとラストシーンの報いがじわじわ刺さって天才だなと思った。終始生きる意味について考えてしまう映画だった。心の消耗が凄まじくて観終わって1時間は泣いたりぐったりしたりしてしまったな。男はつらいよは観たことないんだけど鉄郎の生き方は寅さんに似ているのかな?山田洋次は社会から外れたひとを描くのが天下一品なのかもしれない。同時に音楽劇マリウスのあのシーンも思い出しましたね…。そして現代劇とは思えない台詞の言い回しの山田洋次節が懐かしい大衆演劇に触れたようでおもしろかった。あとわたしは常に大阪に憧れを抱いている人格なので、通天閣の下にある居住支援兼ホスピスのような施設で暮らしているというのが夢の国と現実すぎる現実を組み合わせられたようでなかなかにキた。

これを踏まえてこれから観たい映画:「東京家族」家族との関係の中で感じる生きづらさに浸って苦しくなりたい気持ちに。



振り返って驚いた、5本とも(広い意味で)家族の話で、しかも全部泣いてた。翌日も休みじゃないと目が腫れちゃってこんなに号泣できないから自粛期間に感謝してしまった。楽しかった〜

おしまい!