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建築会社の仕事はここまでだと多くの施主は思ってるという話

会社によってスタンスは違うはずで、これは規模の小さい工務店一社の意見として捉える必要があり実務者全体の相違ではないはず。(きらくは社員3名なので年間10棟ぐらいと想定)

というのも、「資金計画の相談に乗ります」「資金計画のお手伝いもさせてもらいます」とHPに書いてある会社は多いわけで、そこがこの考えだったらさすがに「???」となるので。

「相談には乗ります」というのは「質問されたら答える」という受け身なので確実に施主は困ると思う。質問できるほど知識がないから助けてもらいたいわけで。

ローン、火災保険、登記ってどんな家にも必要なのに毎回施主が同じ内容を勉強するのは非効率ではないだろうか。施主は一生に一度、建築会社は日常茶飯事なのに。

「建物」を建てるといってもそれを実現するのに必要なのが資金(ローン)であり、建物を守るために火災保険がある。家の図面だけができても家は建たないので、建物の設計と工事だけが専門と言い切るのは不思議である。(保険は保険のプロがいるから建物のプロを名乗るのは分かるが、ローンや火災保険はわかりませんということに疑問がある)

ローンや火災保険についてできるだけ労力を割きたくないなら、説明する資料を作って毎回配布説明する、専門外なら専門家を紹介するとか仕組み化すればいいのではないだろうか。

ローンは本人が背負う大きなものだから何も勉強しない教えて君はキツいと思う。とはいえ年収や職業を把握しているのだから、その人に合いそうな銀行やローンの組み方は説明できないものか。そこで浮いた施主のリソースが家づくりに投下できるのは建築会社にとってもいいことだと思う。

私が二社で悩んだうちの契約しなかった小規模な工務店はローンはFP、土地探しは不動産会社紹介してくれてかなり助かった。
会社規模が小さいからこそ外部と組んで、自社だけでは足りない要素をカバーするというのは賢いし信頼もできる。(業者の紹介でキックバック、というのもよくあるのでその辺は気を付けたい)

火災保険の話に戻るが、これを建物と切り離すのはナンセンスだと思う。

なぜなら建物の構造や基礎高、土地の特性で契約すべき火災保険が決まるから。火災保険は施主が好みで選ぶものではなく、自分の建物と土地にあったものを選ばないといけない。

例えば火災が心配なエリアや、隣家が古民家で火事になったらもらい火を受けそうな土地なら耐火性が重要になる。そこで構造を省令準耐火にするという選択肢が出てくる。

省令準耐火にするなら火災保険が大幅に安くなる。建物の構造と火災保険は連動している。

他にも床下浸水の論点がある。

あまり知られてなくて大きな不安を感じるのだが、火災保険における水災の支払要件は「床上浸水」もしくは「地盤から45㎝以上の浸水」である。

https://hoken.kakaku.com/kasai/select/water/
https://be-enough.jp/blog/important/p6935/#45cm%E4%BB%A5%E4%B8%8B%E3%81%AE%E6%B5%B8%E6%B0%B4%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%BA%8A%E4%B8%8B%E6%B5%B8%E6%B0%B4%E3%82%92%E9%98%B2%E3%81%90%E5%85%B7%E4%BD%93%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%96%B9%E6%B3%95

このように水災に適用しようとすると基礎高や基礎開口の話になってくる

ハザードマップで水災リスクがあるエリアは調べられるが、そのような川沿い海沿いの土地に建てるのであれば基礎の作りと火災保険は切っても切り離せない。

火災保険と関連して、耐震性能によっても地震保険の割引率が変わってくる。

建築会社に「日本にある火災保険の全商品説明を懇切丁寧にしてほしい」と言っているわけではない。

しかし、施主が建てるエリアや建物の特徴を踏まえて抑えるべきポイントは建物以外でも説明は必ずすべきだと思う。

ローンも素人が頑張って調べて動いてもいいが、それでローンが通らなかったらどうするのだろう。仕事が1件無くなるがそれでいいのだろうか。

審査書類の作成までお願いしますということではなくて、施主の職業、年収からしてどのような種類の銀行(メガバンク、ネット銀行、地銀)に話をするべきかは建築会社側から案内できないのだろうか。

言うまでもなく、施主は建物に関しての時間にリソースを割きたい。タイルや内装といった楽しい話に時間を割きたい。

ローンや火災保険も避けては通れないが、そこに時間や頭のリソースを多く割くことになれば家づくりを楽しめるどころか、集中できなくなる。
ローン通過後の設計打合せでも、「これ総額いくらになるんだろう・・」と予算のことを毎回不安に思いながら打合せするのがいいのだろうか。そんな家づくり楽しくなく、苦痛でしかないだろう。

ことローンの心配が全くいらないお金持ちならいいが、そうではない庶民や、予算に余裕が無いわけではないけど年収の7倍以上でローンを組もうとしている人からすると資金計画は非常にシビアになる。

そういう人はお断りというのは構わないと思うが、少なくとも施主からすると上記に書いたことはどんな建築会社でも”主体的に”サポートしてくれると思っているので、主体的に関われないなら契約前に説明をしておくべきだと思う。

※記事のネタとして引用しただけで、きらくを会社としてダメだとかいうつもりはありません。このテーマに関して疑問を持っただけで、いい家は建てられてます

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