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トルコのピラフに恋をして

活気のある昔ながらの商店街の中に近代的なスーパーを見つけた。新しい街に行くと食材屋さんをチェックするのが私たち夫婦の決まり。初めてみるパッケージの安いトルコ産のオレンジピールチョコを見つけて、俄然このお店に興味を持つ。どんどん店の奥に行くと、異国の香りのするお惣菜コーナーを見つけた。ロシアやトルコ辺りの料理がずらっと並んでいる一角は地元のお客さんで大賑わい。量り売りで自分の好きな量だけ詰める仕組。ピラフにハンバーグやフライ。みたことのない野菜量やデザートも何種類も並んでいてどれも美味しそう。空になりそうなバットには出来立ての料理が常に補充されていて循環している2人の店員さんが清潔にこのエリアを保っている感じも安心する。夕飯用に買うのだろう、パンパンに食べ物が入った容器でカートをいっぱいにした夫婦の横を通りすぎ、売り場を一周した私達もそれぞれ好きなものをコンテイナーに詰める。ピラウ2種、ハンバーグ、ソーセージの炒め物、パンケーキ、チキンケバブ。どれも優しく味わい深い。特にターキッシュライス(トルコピラフ)のプリプリした食感は日本のお米のそれとは違い、白と茶色のお米が入ったあっさりした味付けが懐かしいようで初めての味。

翌日、あの味を家でも作りたいとレシピを検索してみると。あの茶色く長いお米と思っていたものはパスタである事を知る。バターで炒めるのであの茶色い色が出るそう。なるほどバターを使うからテカテカしてポロポロのピラウだったんだ。もっと調べると材料に挽き割り小麦(ブルグル小麦)と書いてある。ひきわり小麦は食べたことがない。ニューヨーク在住かれこれ30年になるが小麦を粉にしないでそのまま食べる料理があるなんて知らなかった。これは試すしかない。

中東の食材を売っているお店を調べると、オフィスからそう遠くない所に評判の良い店を発見。昼休みに早速向かう。ブロードウェイの高層ビルが立ち並ぶオフィス街をハドソンリバーの方へ歩くこと10分。目指すお店は老後のお魚屋さんの隣にあった。そこだけ時間が止まったような都会の一角。小さなお店に乾物やスパイスが沢山並んでいる。何をお探しですかとお店の人が話しかけてきて、この感じが懐かしいとふと思う。

老舗の食材店
量り売りの小麦や豆。
それぞれの違いが見れて買いやすい。
スパイスも量り売り

お目当ての挽き割り小麦は500gmで350円ほど。インフレの続くニューヨークでこの値段は破格。豆カレー用のレンテルとピーカンナッツも購入。なんでも量が多いアメリカで量り売りで買えるのは嬉しい。特に初めての食材は少しだけ試してみたい。

作りたいのはシンプルな塩味。それから挽き割り小麦とお米を両方使って作りたい。この二つ似合うレシピをなんこかみて自分なりにアレンジしてみることにする。まず挽き割り小麦だけを10分煮る。同時に別のフライパンでお米(arborio米、トルコではbaldo米が一般的)をバターで炒める。数分後お米がてりてりになったら玉ねぎとマッシュルームのみじん切りを入れてさらに炒める。玉ねぎに火が通った頃に茹でた挽き割り麦、水、野菜出汁、ガーリック塩を入れ蓋をして米が柔らかくなるまで煮る。作っていて思ったのがイタリアのリゾットとの違いはなんだろうということ。これはまた調べよう。今のところ作り方は似ている。水分がなくなれば完成。初めてのトルコライスは、あのお店よりちょっと味が濃くなってしまったが満足の味。水だけで作った方がもしかして好みかも、という思いも浮かんだがこれは何度も作って自分なりのレシピを見つけたい。

トルコライスとチキンケバブ

週末からふつふつと湧き上がった自分でトルコライスを作ってみたいという思いは実った。ひきわり小麦のぷつぷつした食感も好きなことがわかった。米で言うところの玄米のように、挽き割り小麦には栄養がたっぷり残っているし、ちょっと香ばしい蕎麦の実に近しい香りがした。調べていてわかったことだが、私は挽き割り小麦を結構食べていたという事実。中東系のレストランやオーガニックスパーで売っているサラダによく使われていて、キヌアの親戚という認識だった。ズボラな私らしい曖昧さだけれど、分からずに食べている食材ってあるなーと思う。またいずれあのお店に行って異国の味を体験したいと思う。トルコのbaldo米にも出会えるかも。

挽き割り小麦。
粒の大きさは3種類でこれが1番細かい。
使ったのはイタリアのリゾットに使うarborio米。トルコではbaldo米を使うそうです。


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