2024/05/16 3回生CA-能登半島地震において、復興すべきか、移住すべきか-

こんにちは!今回の記事は5月16日に行われた3回生ゼミのCAについてです。

議題:「能登半島地震において復興すべきか、移住すべきか。」

立論者:「移住すべき」
参加者:「復興すべき」
の立場で議論を行いました。

記事

能登半島地震は、令和6年1月1日16時に発災し、最大震度7を観測した。245人がこの地震により亡くなった。仮設住宅の建設が進む一方、現在4600人あまりが避難所生活をしている。

産経新聞 「米山隆一氏、維持困難な能登の被災地「復興より移住」論に賛否 「今じゃない」「必要」」
https://www.sankei.com/article/20240111-HMF5DBCA7VBT5JELPJQTEDTOCI/


「能登半島地震を巡り、立憲民主党の米山隆一衆院議員=新潟5区=が11日、X(旧ツイッター)で、甚大な被害を受けて維持が困難な集落に関しては、復興・復旧よりも住民の集団移住を検討するよう訴えた。」

以下、X投稿文
「非常に言いづらい事ですが、今回の復興では、人口が減り、地震前から維持が困難になっていた集落では、復興ではなく移住を選択する事をきちんと組織的に行うべきだと思います。地震は、今後も起ります。現在の日本の人口動態で、その全てを旧に復する事は出来ません。現実を見据えた対応をと思います」
 
このように、過疎地域の復興に関して、移住するべきではないかという議論がある。

復興…災害の復興とは「被災者の生活は災害前に被災前に戻し、経済や地域はより良い状態に創り直す」ことである
この議論では、特に、壊れた建物を戻し、依然の生活に近いものを取り戻す、復旧の意味に近い言葉として、復興を用いる。
 
前提質問

Q経済効果を狙うのではなく前に戻すという考えで良いのか。政府は復興に支援しないのか。
A保留
 
Q移住は義務なのか
A義務ではない

意見・論点

様々な災害のリスクが高まっているなかで、全ての災害を復興させることはできない。 復興のサイズの縮小、最適化は必要なのではないか。
日本は、災害のリスクが高い国である。また、気候変動の影響で災害のリスクも高まっている。震災のたびに、高額の予算を投じて復興を行うことは難しい。小さく移転する、あらたな災害後の対応を見出して行くべきである。
 
Q 住む場所は災害のリスクを考慮した上で選んでいる。災害のリスクがあることは理解している。それなのに移住を進めるのか。
A リスクを伴って住むというのはエゴではないか。

Qコミュニティごとに移住するとその地域の人口が増え、リスクが高まるのではないか。
Aそんなことはない。人が集まる分防災にかけるコストが増える。助け合いもできる。

予想される反論・再反論

住人の感情は無視しているのでは。被災した住民にすれば、住み慣れた日常が奪われることを意味する。動きたくても動けない高齢者ら住民もいる中で「復興より移住」を迫ることは、弱者の切り捨てにもなりかねない。
→創造的復興?も外部資本のまちづくり、消滅していくのであれば、介入が必要?
→集落のみんなで移住が現実的ではないか
 
Q みんなで移住する→土地に愛着があるわけであり、近隣住民と一緒に移住したいわけではない。
A 残した土地が重荷になる。
Q 残した土地をみんなで良くすればいい
A 土地は良くてもインフラ等の設備が良くない。
 
Q その土地にある自分の物語によって郷土愛がある。壊れてしまっても自分たちの物語はそこにあるので住民は戻りたいと思うのではないか。
A 高齢者が多い。復興のための自己負担が大きすぎる、にもかかわらず物語に投資すべきか。
Q 能登は震災がなくても未来ある土地だった。なくなるものではない。
A 一部の限界集落のみ閉じる。
 
Q 被災地の復興には経済効果があるのではないか(ex.能登半島地震)  
A 限界集落では移住。被災地全体で移住するわけではない。能登半島内での移動。個々の限界集落まで足を運ぶ人は少ない。集住によって解決すべき。
 
Q 観光産業が上がると地価が上がる。能登半島は今なにもないからこそ色々と作りやすい。町おこしにつながる。
A そのためにも中心市に移住すべき。
 
Q 能登半島はかつて貿易が活発に行われていた。貿易地点の移動により過疎が進行。過疎っているからスマートシティにしてしまえというのでは郷土愛に反してしまう。能登は今後発展する可能性がる。文化の尊重
A 過疎化が進んでいるので元に戻してもまたなくなってしまう。
 
Q 安全保障の観点から地域の経済力がある程度必要。
A 様々な土地で過疎化が進んでいる。日本海側地域のみでの対策ができるかが不明。

上久保教授からのコメント

域内の移動も実際に検討されているが、近年日本において域外で移動する事例があった。チェルノブイリでは爆発事故の後、一般市民は入れなくなっているが日本でそれは通用するのか。
日本は官僚国家であり、すべての自治体がサービスを備えていなければならない。つまり、日本では通用しない。
日本では壊れて復旧しようがない道路等は自然になくなるようにしている。これが良いことなのか悪いことなのか検討が必要。

参考文献

1.   産経新聞「米山隆一氏、維持困難な能登の被災地「復興より移住」論に  賛否「今じゃない」「必要」」(2024年1月11日発行) https://www.sankei.com/article/20240111-HMF5DBCA7VBT5JELPJQTEDTOCI/
2.    朝日新聞デジタル「「復興か移住か」元新潟知事が問う難問、復興を果たした山古志の葛藤」
https://digital.asahi.com/articles/ASS4K3PP7S4KUTFK019M.html
3.     中林一樹(2022)「日本における「復興」とは何か -成長社会の復興と持続可能社会の復興ー」日本災害復興学会論文集 No.15 p. 1-10
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdrr/15/0/15_1/_pdf/-char/ja
 4.   内閣府「令和6年能登半島地震による被害状況等について」
https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/r60101notojishin/index.html
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240501/k10014437321000.html
3. 石川県「石川県創造的復興プラン(仮称)」
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/fukkyuufukkou/souzoutekifukkousuishin/fukkouplan.html
4.のとみらいトーク
https://nototalk.com/ 

5.「【藤原昌樹】被災地の復興を諦めることは、国民国家の選択肢としてあり得ない -「復興より移住」論の批判的検討-」
.https://the-criterion.jp/mail-magazine/240109/
6.
 朝日新聞デジタル 過疎地の復興、都会の論理で決めるな 「消滅か存続か」を越える発想
https://digital.asahi.com/articles/ASS3631VDS2RUPQJ003.html?iref=pc_rellink_03
 7. 石川「復興プラン」 “必ず能登へ戻す” 理念に具体策検討へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240307/k10014382431000.html
 
 

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