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怖すぎる・・・。資本主義経済の暗黒面を解説してみる


資本主義とは?

そもそも資本主義とはなんなのでしょうか。
ネットで検索するとこんなふうに出てきます。

生産のための組織が資本によってつくられている経済体制。すなわち、資本制企業が物財やサービスの生産・流通の主体になっている経済体制であり、資本制経済ともよぶ。日本、アメリカ合衆国、西ヨーロッパ諸国など、いわゆる「西側の先進国」の経済体制は、資本主義である。
コトバンクより拝借

簡単に言うと、資本を持つ企業体が中心となってせっせとお金儲けをする経済のことです。(定義としてはもっとありますよ。ただ今回はここが重要)

ここでのポイントは『資本』です。
資本というと『カネ』を想像する方も多いでしょうが、実際は色々あるんですよね。

日常的な意味では、貨幣一般またはその貨幣単位で表示される工場・機械や店舗といった生産・販売の設備や施設をさすが、経済学上は、立場や観点の相違によってその概念や定義も異なっている。
コトバンクより拝借

辞書にもある通り、資本といってもカネだけではなく商品を作るための設備やそれを貯蔵するための環境、言ってしまえば商品事態もすべて資本の定義に収まるんですね。

言い換えれば、資本主義というのは資本(カネ)を投資して資本(商品)を作り資本(カネ)をかき集めてまた投資をする(カネ→商品→カネ→商品・・・)

こんなモデルになっているんです。

一方で労働者(消費者)はモノを買って消費する、つまりカネ→商品から以降は途切れてしまうんですね。

資本家と労働者が一生わかりあえないのはこの違いがあるからなんです。
頭の中にある計算式(資本主義的生活様式)がまったく違うからこその差なんですよね。


どうでしょう、わかりましたか?
もう一度説明すると、資本主義はすべてを資本と考える。そこで企業体は資本を使って生産をすることでそれを労働者(消費者)へ売りつけてカネを稼ぐ。資本家は『生産』を、労働者は『消費』を史上思考とするので考え方が一致しない。

資本主義の定義を確認したところで、次は『資本家と労働者の関係』にフォーカスを当てて見ていきましょう。この記事の本丸です。


資本主義の総本山:『労働力商品化』

資本主義はすべてを資本と考えるんでしたよね。そして資本家はその理論にそってそれを商品として作り替える。

一方労働者は資本家が作り出した商品を買って終わり。つまり資本家と違って(カネ→商品→カネ→商品ではない)ので自身が持つ資本を増やすことができない。

だから労働して資本家から賃金という形でカネを得る。

恐ろしいのはここです。
我々からすれば当たり前になっていますが、賃金を決めるのは資本家の方なんですよね。

そして、資本家は利益を出さなきゃいけない。
だからこそ賃金は『生産』と折り合いがつくように決まってしまうんです。

いい例がコロナ禍での日産です。
日産はコロナの蔓延による内外需の減少により削られた生産(車を作って売らないとカネを稼ぐことはできません)が利益を過度に圧縮する危険性がありました。

だから日産はあの時『生産に折り合いをつけるため』に労働者を約1万人解雇したのです。(最近はまた雇い直しているそうですけどね)

また賃金の話であれば、『俺の給料は4000万だ!去年は不動産を50件も売ってやった!俺の給料は資本家の生産で決まってなんかない』と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、不動産をそれだけ売っている時点で資本家の方には数億円という利益を召し上げていることになるのです。

別に給料の大小は変わらないんです。高くても低くても賃金は資本家の生産(もちろん家賃や株主配当も含みますよ)で決まってしまうのです。

つまり、どんなに頑張っても自発的に賃金が上がることはないんですよね。(こんなふうに資本主義にも若干社会主義のような性質があるのです)

資本家からすると今月生活できて、また来月も出社してくれるように渡してる最低限のお金なんですから。

第一、資本家が一番手っ取り早く純利を確保できる施作は『給料カット』ですからね。東証のどの損益計算書を見てみても雇用費用がもっとも利益を食ってるんですから。あと税金。



資本主義を考える:『商品→貨幣への流動式』

ここでちょっと算数が入ってきます。とは言っても単純な式ですから拒絶する必要はありませんよ。

◉一国のGDP÷M2(マネーストック)=資本主義の強さ指標

◉アメリカの例
23兆ドル÷22兆ドル=1.04
◉日本の例
550兆円÷1200兆円=0.46
◉イギリスの例
2.5兆ポンド÷3兆ポンド=0.83
◉フィリピンの例
52兆円÷37.5兆円=1.4

この式は『1年あたりにマネーストックがどれぐらい国内を回転しているか』という指標です。
つまり『貨幣→商品の流れがどれほど強いのか』という指標だと言えます。

上記の式であれば『フィリピン→アメリカ→イギリス→日本』の順でマネーストックの回転率が強いと出ています。
経済成長率の強さがこの順番なのも面白いですね。

とまあ言いたいことはわかりますよね。結局資本主義の根幹は『仮説』で考えても『数字』で考えても『貨幣→商品』の流れで決まっているということなんです。

そしてそこに『労働力』という『資本』を使って利益を上げる人間が出てくる、これが資本家ですよね。

そして繰り返しになりますが、資本家は労働力を最大化するために賃金を最低限の目安まで下げていこうとします。

そしてそれは『生産』、つまり景気やどれぐらい純利が出たかとかで判断していこうとするわけです。だから大企業の賃金は自発的には上がらないし、景気が悪くなれば平気で雇用解雇を選択するわけですね。(ただ、他発的には上がりますよ。高度成長の時は10年で賃金が2倍になりましたからね)

でも、こんなことを聞いていても『別に生活できているんだからそれで良くね。』と思う方もいらっしゃると思います。

ですが、資本主義の性質的に国が終わったり、勤めている企業の利益率が下がればもちろん労働者の扱いも悪くなっていきます。

例えば、最近の日本なんてわかりやすいですよね。企業のROE(株主資本利益率)は約5%で推移していて銀行なんてもっと酷い様相を呈しています。

こんな状況で資本家がなんとも思っていないわけありません。
最近のリクルートやソニー始め週休3日制の導入なんかもその流れでしょうね。

生産性を上げるために賃金を下げるのが一番いいわけですからね。


資本主義は止まらない、だからこそ・・・?

今回説明してきたように資本主義は止まらないし、労働者から搾取する体制も変わらないでしょう。(特に日本はかなり厳しい)

だからこそ僕らは『カネ→商品』ではなく、『カネ→商品→カネ・・』という式で生きなければならないのです。というかその要素を入れていかないといけない。

日本人は世界一勉強しない民族だなんて言われていますが、だから勉強している人に優位性が起こってくるわけですね。(それは『お勉強』的な意味での勉強じゃないですよ)

ということで今回はここまでです。
ありがとうございました。


参考:佐藤優著『今生きる資本論』



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