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コップ半分の水

ポジティブ・シンキングとネガティブ・シンキングの比喩としてよく使われるのが、「コップ半分の水」を見てどう思うか、という問い。

これと似たような事例として、アフリカの原住民に靴を売りに行く話しがある。靴を履く習慣の無い原住民を見て、ある営業は「駄目です。ここには靴を履く習慣がありません。売れる見込みがまったくありません」と答えたのに対して、別の営業は「有望市場発見です。ここでは誰も靴を持っていません」と答えたという話。

靴の話は非常にわかりやすいのだが、先日本を読んでいて、「コップ半分の水」には、実は2つではなく、4つの見方があることに気づいた。つまり、

 (1)コップにはもう半分しか水が残っていない。
 (2)コップにはまだ半分水が残っている。
 (3)コップにはもう半分しか水を入れる余裕がない。
 (4)コップにはまだ半分水を入れる余裕がある。

「もう~ない」というネガティブな見方をするか、「まだ~ある」というポジティブな見方をするか、というのは一般的であろう。しかし、主体を「水」と見るか「コップ」と見るか、というのは、自分にとって新たな発見であった。

ここからは個人的な主観だが、「(2)コップにはまだ半分水が残っている」は、水を消費していくようなイメージに対して、「(4)コップにはまだ半分水を入れる余裕がある」には、これからさらに水が増えていくイメージを持つことができる。

こんなことを考えてしまったのだが、やはり人生はポジティブに生きたいもの。これからコップ半分の水を見たら、「コップにはまだ半分水を入れる余裕がある」と思うようにしよう。

ふと思い出したのが野村克也氏の言葉 「もう駄目だと思うな、まだ駄目だと思え」

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ポジティブシンキングといえば思い出すのが、香港で働いていた時のこと。 仕事上のちょっと嫌な問題が3件も立て続けに発生。その対応に追われて、実務はまったく手に付かず、精神的にぐったり。ベテランの現地スタッフが、いろいろとフォローしてくれたので随分助かったのだが。帰り際に、彼に「今週はちょっと疲れたね」と愚痴ってしまったところ、彼からの返答は下記のとおり。

You are lucky. At this moment, your situation is very tough. But this experience is good for you. (あなたはラッキーですよ。今は大変かもしれないが、とてもいい経験を積んでいる)

愚痴ってしまった自分が情けなく、一瞬で気持ちを切り替えることができたことを今でも時々思い出す。起こってしまったことは、うじうじと考えても仕方がない。ラッキーだ、とまではなかなか思えないが、いい経験を積ませてもらっていると思うべきなのであろう。

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