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バトンを感じる

もう10年近く前だろうか、海外に赴任中の一番信頼している後輩が一時帰国しており、久しぶりに飲んだときの話。最後は二人で語り合ったのだが、やはり異国の地でいろいろと苦労しているようであった。

しかしながら、彼は自分で考えて実行できるタイプの人間なので、余計なアドバイスは不要と考え、自分自身もつらいときはあったけど、今思えばすべてがよい経験であり、しんどい仕事こそ後からよい思い出になる、というような話をした。

その後、私自身の後任は誰だろうねという話になり、遅くとも次の次は彼に託したいと告げた。私の思いに対して、彼が言ってくれたのが「バトンを感じます」という言葉。

なんだか、とても嬉しかった。「バトンを感じる」、いい言葉だ。

そういえば私も、先輩から託されたバトンを感じたことがある。直截に言われたわけではないが、何となく感じたのだ。こういった思いというのは、案外大切な気がする。

そこにあるのは、信頼であり、期待であり、愛情である。

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