2016年秋。大規模改修ロード、はじまる
わたしが理事会で副理事を務めた2015年度、エレベーターの更新工事は無事完了しました。この工事は誰の居住区分にも影響しないので、比較的スムーズに行われました。
っていうか、仕切ったのがK氏っていうだけなんですけどね。
旧いエレベーターには“機械室”という、エレベーター本体以外のスペースが必要だったのですが、新しくすることで機械室は不要になりました。
旧機械室は内部が化粧直しされました。壁紙が貼られ、棚が設けられ、エアコンも設置されて、装いも新たに「集会室」となったのです。これからはこの旧機械室で、管理組合の打ち合わせなどが行われることになります。
エレベーター更新工事からしばらくした頃でしょうか。
給水管の更新工事をめぐる訴訟の臨時総会以来ずいぶん時間がたちましたが、わたしは相変わらず私はK氏と目を合わせることも挨拶することもしませんでした。
いつごろからか、当然相手もわたしの態度が変わっていることに気づいているようでした。
そんなある日、買い物に出ようとしていたところに玄関でK氏にばったり出くわしました。その場は目礼だけですれ違いましたが、駐輪場で自転車を出そうとして振り返り、ぎょっとしました。
そこにはK氏が立っていたのです。
ニヤニヤしながら彼は言いました。
「あんたに大規模修繕委員会に入ってほしいんや」
長いやり取りをするのも面倒だったのと、とにかくこの男と話をしたくなかったので、私はわかったと伝えてその場を去りました。
ほどなくK氏はマンションから転居しました。
といっても区分を売却したわけではありません。どこかしら京都市内の別の場所に引っ越したようです。空いたマンションの部屋には親族の誰かが住むという噂でした。
K氏が転居した日、帰宅すると私の部屋のドアポケットに、封筒が入っていました。それはK氏からで、中には「お世話になりました云々、」というお礼めいた挨拶状とともに、クオカードが一枚出てきました。
形式だけはキチンと踏むところに、何やらカチンと硬質なものを感じました。
ずいぶん後になって、とある居住者の方から、この時のクオカードをK氏に突き返したという話を聞きました。「もらう理由がない、」と言って返したそうです。潔さに痺れました。
わたしもそうすればよかったのに、へらっと使ってしましました。
引っ越ししたからといって、K氏はこのマンションの諸々から手を引く気は100パーセントありませんでした。頻繁にマンションに現れると、いろいろな人の部屋を訪ねたりしていたようです。
そして2016年の秋から、私はマンションの大規模改修のための大規模修繕委員会のメンバーとして組合の集まりにも出席することになりました。
最初の会合がもたらされたのは、2016年6月18日。
この日からほぼ4年と8か月にわたる、わたしの長い闘いの日が始まりました。
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