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一つ掛け違えると、ボタンは全部掛け違えるんだ

<覚えておいてほしい登場人物>
◆私の住んでいるマンションの住人

K氏…私のマンションの旧住人で区分所有者。居住中はマンションのガーディアン(守護者)気取り。実際はすぐ怒鳴る・キレる・自分以外の区分所有者は自分より下の立場と思っている、モラハラ気質で“ダメな方の”昭和型ジジイ。
I氏…2016年度のマンション管理組合理事会の理事長。2017年度は監事。変節漢。
カワベ理事長…2017年度の理事長。穏やかで仲良しなご夫婦。理事会も常にご夫婦で出席されました。
コヤマ姉妹(ユイちゃん、ミリちゃん)…副理事長。理事会にはお姉さんのユイちゃん、妹のミリちゃんのどちらか出席できる方が出てくれます。
イドさん…2017年度の会計。85歳を超えた高齢で、記憶に不安あり。新築時からの住人でK氏と親しい。
<new!>キヨタさん…区分所有の女性。2016~17年はS氏、O氏とともに大規模修繕委員会のメンバー。後年、理事会の役を拝命。
※ごめんなさい。前回までも登場人物として登場すべきだったキーパーソン・キヨタさん。なぜかすっぽり抜け落ちてました。ほんとうにごめんなさい。

◆NPO法人マンション管理ネットワーク(マン管ネット)のメンバー
サトウさん…マン管ネットの理事長
ヤマダさん…マン管ネットのメンバー。建築家


<覚えておかなくていいけど出てくる人物>

M氏、N氏…2016年度、I氏とともに管理組合理事会の理事を務めるメンバー。どちらもこの時点で在住5年以内のニューカマー
S氏、O氏…K氏によって指名された、わたしと同じ大規模修繕委員のメンバー。工事完了まで役を全うしてくれた、冷静で辛抱強くて、勇気のある区分所有者の方々

   *             *

2017年5月31日は水曜日でした。
前週のうちにマン管ネットのサトウさん指導のもと準備した、マンション大規模修繕のコンサルテーション選定への見積もり参加依頼を、5組の組織に送りました。
クラシックな方法ですが、ファクスです。
「コンサルテーション選定の依頼書を送るので、立ち会ってほしい」
理事長になりたてのカワベさんにお願いすると、
「いいですよ」と気のよい返事をしてくれました。

この日の夜、8時頃だったと思います。
約束の時間にロビーに降りていくと、カワベ理事長は相変わらず奥さまと一緒に、にこにこと管理人室の扉前に佇んでいました。
「すみません、お付き合いさせて」
「いや、僕らは何もわからないからいるっていうだけで」

謙遜でもあり事実そのものでもあったと思います。
カワベさんご夫妻立ち会いのもと、コンサルテーション選定の依頼書を5つの組織に送りました。

ここまで読んで、おかしいと思ってください。

本来なら「理事長」が、修繕員会の委員長である「わたし」を立ち会わせてこうした書類は送られるべきです。

しかしわたしのマンションでは理事は1年交代です。こうした大規模修繕などが行われる場合も例外なく交代します。通常総会で新しい理事が承認されると、前期の理事は役を離れたことにほっとして、引継ぎはされるようなされないような、あいまいな感じでたいてい終わりになります。

運悪くこうした重要な時期に理事になると、なにも知らない・わからないと言い続けても自分の残念さをさらすだけです。かといって、意欲的に「よっしゃ、これまでのこと全部教えて!」という人も稀有です。ていうか、そんな奇特な人はこの世に存在しません。
2017年のこの日・この時の時点で、大規模修繕に関してこれまでのいきさつを知悉しているのはカワベさんをはじめとした理事会メンバーより、監事のI氏(2016年度の理事長の男性)、さらにもっとよく知っているのは大規模修繕委員長の私でした。

だからこの日も結局、修繕委員長である「わたし」が段取りした書類を、理事長立会いのもと送るようなねじれた事態になってしまったのです(もちろんその前週の寄り合いで、理事長らも書類確認はしています。やみくもにに理事長印をついているわけではありません)

わたしのマンションの修繕委員会は、基本的に大規模修繕なりが終了するまでぶっ通しの任期と規定されています。なので、この時点で理事会の役に就いた皆さんと私とでは、小1と小6くらい蓄積に差があります。

このことに関して、カワベさんを非難するつもりは全くありません。
ご夫妻は、この頃はまだかなり無防備でしたがそれも仕方ないことです。
しばらく見ることのなかった家庭用ファクスでの書類送信。しばらく考え込むように沈黙し、突如書類を飲み込んでいくその様子はなんとなく禍々しい動作でした。
それにモノクロのディスプレイがうすぼんやりと光る様子も、私の胸騒ぎを言い当てているかのようで嫌な感じでした。

慎重に進めてきたつもりでしたが、6月4日に開かれた理事会で事態はぐらりとよからぬ方向に動き始めました。

前年度は理事長で、私たち修繕委員会のメンバーとも和気あいあいと議事を進めてくれたI氏が、この時からほとんど修繕委員会のメンバーが出席する集まりには顔を出さなくなったのです。

I氏欠席ー。
嫌な予感を抱きながら、私は5月31日にコンサルタント募集要項を5つの組織に送ったことや、応募締め切りが1か月後の6月30日であることなどを、理事や修繕委員会メンバーの前で改めて報告しました。

この日の理事会の後日。
I氏は年長のM氏を通じて次のようなことを言ってきました。

「4月にマンションコンサルを導入することを決議した総会では、NPO法人マンション管理ネットワークに相談することは一切触れられていない」

「修繕委員会はあくまで理事会の諮問機関であり、提案を上申はするが提案を審議・決定するのは理事会である」

失礼ながらこれまでのI氏は、少なくとも私の知る限りこんな理屈のとおった物言いをする人物ではありませんでした。
昨年の理事会は、大規模修繕に関係ない議事であっても、むしろ積極的に大規模修繕委員会が同席することを望まれていました。実際わたしのまえで、「ずっと修繕委員会も同席してくれたらいいなあ」といったことを私は忘れはしません。たとえI氏はこの時点で自分の発言を忘れていたとしても。

わたしは「だからわたしが正しく、I氏がおかしい」と言いたいわけではありません。ただ、わずかな期間でI氏が首を傾げるほど変化したことを気味悪く感じたのです。

4月の総会は出席者の了解のもと全て録音してあり、私はそれを保存していました。震える気持ちで数時間にわたる録音を聞きなおしましたが、I氏の指摘のとおりでした。

マン管ネットにコンサル選定の相談をすることは、総会で全く触れていませんでした。

この6月4日の理事会・修繕委員会の寄り合いの前後から、実は日中、K氏は頻繁にマンションを訪れてI氏と会談を繰り返していました。キヨタさんがK氏の来訪を教えてくれる時もありましたが、マンションの集会室を見れは、K氏のマンション訪問はすぐわかりました。

パイプ椅子を片付けずに帰るから。

小さなマンションの集会室に不似合いなオフィスサイズの机を挟み、作り付けのベンチに向かって王様のように一脚だけ広げられたパイプ椅子は、「俺はまだここにいるんだぞ」と私たちを威嚇しているかのようでした。

頻繁に椅子が出しっぱなしにされているのは気づいていましたが、K氏はI氏と繰り返し話し、総会やマン管ネットのことを聞き、総会の議事録を確認もし、話を統合してNPOのことは総会で承認されてないんじゃないか、というヌケモレに気づき、そのことを突いてきたのだと思います。

K氏のやり方は、わたしを修繕委員長から降りさせようとした時に管理会社のフロントを利用したのと全く同じでした。今回もハリガネムシのようにI氏に入り込んで、自分の言いたいことを彼に言わせたのでしょう。

とはいえ事実はK氏(I氏?)の指摘のとおりです。
わたし(たち)は慎重に進めてきたつもりでしたが、こうして最初のボタンの掛け違えを起こしてしまいました。

6月17日に改めて修繕委員会、理事会を開きました。もちろん監事I氏、K氏と親しい会計のイドさんは欠席です。

でも、ものごとは前に進めなくてはなりません。
臨時総会の開催を決めました。
コンサル選定にマン管ネットの支援を得たいと思っていることを改めて区分所有者に問うことにしました。

本来なら先の総会で承認を取るべきだった、コンサル選定に関してマン管ネットに協力いただくことを、順序は少し変わりますがきちんと説明し、誤りを謝罪して出直したいと思いました。

努力は全然報われません。

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