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AI作画とアート、2022年のまとめ。

ここ何回かに分けて絵画一般の類型やその特性について書いた。その際に、AIで作画する手法との関係は、あえて書かないようにした。

具象・抽象・象徴、あるいは心象をモチーフにする絵画については、以前からある絵画の類別や考え方であり、これを直ちに新しいテクノロジーであるAIに結び付けるわけにはいかないからである。
そして、AIによる作画と従来の作画方法とでは、根本的なアプローチのやり方が違う。

作画する人間の側にアート的コンセプトがあれば、AIなどの新しいテクノロジーの助けを借りて、自分のコンセプトに沿うように作画することは可能である。
また、そのような方法が新しいアートの形態になりうる可能性は書いた。

差し当たり、伝統的な意味の絵画と同じにするわけにはいかないが、全く新しいタイプの絵画としてならば成立する、と言うことになる。

作られた画像の見た目は、具象絵画的であったり、抽象絵画的であったり、心象をうまく表現できているかも知れない。
そして、従来の絵画の評価判断の基準が、AI作画による画像についての、多少の評価の手がかりにはなるかも知れない。

しかし、【従来の絵画に似たものではあっても、イコールではない】。

そして作画に際しては、アート的なコンセプトを明確化したり、個人的な心象を反映させるように意図しなければ、漠然とした類似品や模倣品が氾濫するだけであることも書いた。

AIの作画による個々の作品の、作品価値や商品価値については、絵画一般の構造が当てはまる。

アート的な分野の価値判断に長けた人間(ひとり、あるいは複数)により、個々の作家や作品について、的確な評価や評論が語られ、社会一般に広くそれが認められれば、【個々の作品の作品価値】が定着する。


個々の作品の商品価値あるいは資産的価値については、需要と供給のバランス、それから一時的な様々な付加的要因によって決まる。

【一時的な商品価値】については、流行や人気投票的な要因が加わっていることなど、これは一般的な商品が持つ性質と何ら変わらない。

長期的には、正当な作品価値が伴わないものは、相応の交換価値や資産的価値のあるものとして存在し続けることも無い。

つまり、将来的に広く作品価値が認めらるような作品がたくさん存在するようになるならば、AIの作画による画像もアートのひとつとして社会的に認知されるようになるだろう、と言う可能性を示唆するにとどめたい。



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