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アートの潮流と、AI作画の関係性

この100年ほどのアートの流れとして、まずコンセプチュアル・アートと言う考え方を見てみます。

【コンセプチュアル・アートとは】

>アイデアやコンセプトを作品の中心的な構成要素とする動向のこと。「概念芸術」とも訳されるように、
作品の概念や観念的側面を重視するため、言語はもっとも重要な媒体になりうるものであり、

>批評家のL・リパードはこの傾向を「芸術作品の非物質化」とも定義している。

(コンセプチュアル・アート
-現代美術用語辞典ver.2.0、より引用抜粋)



現代のアート作品のほとんどにはコンセプチュアル・アート的なアプローチが含まれているような気がします。
(100年以上前から続いている、日本国内の伝統的または専門的な分野の絵画などは除く)
あるいは現代アートであっても、コンセプチュアル・アート的なアプローチをとらないこともあると思いますが、大きな流れとしてはだいたい、アート作品には制作コンセプトが設定されている。

従来、絵画を含むアートは人間の手作業によるものでしたが、絵やイラストについてはAIが登場した。

AIが作画した絵、これをアートと呼べるのかどうかの問題は以前に書きました。
ここで付け加えると、AIによる作画は従来の手作業による絵やイラストの制作とは、制作過程として同類のものではないかも知れない。

ただ、この新しいテクノロジーによって、様々な具体的なイメージが作り出されることは確かです。

人間の側が、それをどのような動機や意図で使うかによって使い道は違うのですが、基本的にはAIによる作画でもコンセプトの設定は可能です。
(AIによる画像作成は、あくまで純粋な作画のための仕組み、テクノロジーだからです。)

ただし、コンセプチュアル・アートの定義するコンセプトと、作画の際にAIに入力する様々な言葉は同様のものなのか、と言う問題。

これは同じではないです。
AI作画のほうは、あくまで作画手段としてソフトウェアに何らかの言語を入力するので、AI作画技法として近頃よく『呪文』などと呼ばれる一連の言葉は、コンセプチュアル・アートのほうのコンセプト的な意味の言語ではないです。

【どのような動機や意図をもってAIに画像を作成させるのか、その人間側の具体的な動機や意図を、概念として明確化し言語化して他者に伝達可能なもの】がコンセプチュアル・アートで言うコンセプトになります。

つまり、AIが作成した何らかの具体的な画像とは別に、あらかじめ人間側が明確化したコンセプトを設定し、それに沿った一連の作画過程をとるならば、コンセプトと画像を含めた全体が結果的にコンセプチュアル・アートになる。

AIは大量の作業を迅速にこなすのが非常に得意であり、似たような画像を大量に作成するのも得意です。

ですので、人間の側が自分独自のコンセプト設定することを軽視して、よく見かけるような流行の絵やイラストを意識した作画作業をしてしまうと…

有名な絵や、流行っているイラストは、もともと模倣されやすい上にさらにいっそう、AIで似たものを大量生産できてしまうから、早々に類似の画像が氾濫して、行き詰まることになる。

そうならないためにも、人間の側が自分独自の制作意図や作画の動機を明確にして、コンセプトを設定することが大事。

そういう意味も含めて、コンセプチュアル・アートの概念を考慮しながら、AIを活用するのが良いのではないかと思います。

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