イメチェン願望

翔太は自分の鏡像に目を細めた。鏡の隅には、先月取得したばかりのスタイリスト資格証が煌々と輝いている。

その隣には、オーナーからの祝福のメッセージが添えられていた。

しかし、翔太の心の中で一番輝いているのは、その資格が開くであろう扉だった。

その扉の向こうには、彼が最も欲望するもの、女性の髪を刈り上げる「瞬間」がある。

翔太は物心がついた頃から女性の刈り上げヘアに性的興奮を覚える刈り上げフェチだった。
美容師になって数年、刈り上げヘアに対する欲望は日増しに高まっていた。

その魅力は言葉では説明できない。
厳しいアシスタント時代を終え、やっと女性を刈り上げることができる!そう思うと翔太は心が踊った!

とはいえ、現実は非情である。担当する客、特に新規の客は、ほとんどがロングヘアやセミロングヘア。もちろんロングヘアも嫌いではない。ロングヘアがあってこその刈り上げヘアなのだ。

客の美しい髪を触りながら、刈り上げる姿を想像するだけで、手が震えることもある。
がしかし、「今日は少しイメージ変えてみましょうか?」と提案すると、ほとんどの客は困惑した顔をする。

翔太の欲望とは裏腹に、刈り上げは一般的にはあまり受け入れられていない。

新規の客に度々イメージチェンジを提案する翔太を見て、オーナーの美香が注意する。

「翔太、お客様の要望に応えることが大事よ」

彼女はなんとなく翔太の性癖を感じとってはいた。

翔太は心の中で嘆く…自分の欲望と客の要望との間で揺れ動く日々。

しかし、その夜も翔太はSNSで刈り上げヘアの写真や動画を見つめては、その日が来ることを切に願っていた。

「いつか、絶対にロングヘアを刈り上げるんだ…」

翔太は欲望に目を細めながら、その夜も夢の中へと消えていった。

翌日、翔太は美容院で新規の予約を確認していた。

ほとんどがロングヘアやセミロングヘアの女性だった。

だが1件だけ、翔太の目に留まった客がいた。その客の予約表の備考欄には「新しく引っ越してきました。長くロングヘアを続けているのですが、似合う髪型があれば提案してほしいです。よろしくお願いします」と書かれていた。

午後、その客が店に入ってきた瞬間、翔太の心は高鳴った。美しい黒髪、手入れが行き届いた素晴らしいロングヘアを持つ女子高生だった。翔太はすぐに感じた。これは運命の出会いだ。

「こんにちは、私、谷口美月って言います。初めてなので、ちょっと緊張しています。よろしくお願いします。」と美月は言った。おとなしそうに話す彼女はいかにも押しに弱そうなタイプに見えた。

翔太は穏やかな笑顔で応える。

「谷口様、こんにちは。翔太といいます。本日は、どうぞよろしくお願いします。何かご希望のスタイルはありますか?」

美月は少し迷ってから答えた。「実は、ずっとロングヘアだったんですけど、引っ越しを機に少しイメージを変えてもいいかな、と思って…でも、短くするのはちょっと怖いんです。」

この瞬間、翔太の中の禁断の扉を何者かがノックした。

翔太は心の中でガッツポーズをした。
今すぐにでも刈り上げヘアを提案したかった。
しかし、翔太は落ち着いて、会話を続けた。
「引っ越しは新しい生活のスタートですよね。新しい生活には新しいヘアスタイルが一番です!お顔もきれいですので、なんでも似合うと思いますよ。」

美月はうなずいたが、まだ不安そうだ。
「でも、長くロングヘアなので、それを変えるのは大きな決断で…15センチぐらい切って、セミロングにしてみようかなって思っているんです。」

翔太はセミロングという言葉に怒りの感情を覚えたが、その怒りの感情は心にぐっとしまい込むと作り笑いでニコッと笑った。

「わかります、髪は女性にとって大切なものですから。セミロングもお似合いですね。でも、せっかくの機会ですし、もう少し切ってもいいかもしれませんね。たとえば、ボブなんかはどうでしょう?短くなるけど、とてもお似合いだと思います。」

翔太はそう言うと、美月の髪を肩の位置で、擬似的にボブに見えるように持ち上げた。
「お顔も小さいので、すごくよくお似合いですね。」

美月はちょっと考え込んだ。その表情は迷いと期待が交錯しているようだった。「ボブ…ですか…。それはちょっと短すぎるかも…」

「そうですか…。でも、ボブは長さがある程度自由なので、肩のラインまで残すようなスタイルもできますよ。それに、少しずつステップを踏んで行けば、もっと大胆なスタイルに挑戦する勇気も湧くかもしれません。」

美月は顔を上げ、翔太と目を合わせた。

その瞳には、まだ迷いがあるものの、新しい何かに挑戦する勇気が少しずつ芽生えてきているようだった。

「じゃあ…試してみます。長めのボブでお願いします。」
と、美月はついに緊張した顔で頷いた。

翔太の心が躍った。これは刈り上げへの第一歩かもしれない。

そして、翔太は美月の美しいロングヘアにさよならを告げる準備を始めた。

美月が美容師の椅子に座り、ケープをかけられる。翔太はその美しいロングヘアを一度手に取り、櫛で整える。

この瞬間が一番緊張する瞬間だと、翔太は内心で思っていた。
「では、始めますね。」

美月は「はい」と小さく答えたが、その声には紛れもなく緊張が籠っていた。

翔太は鋏とコームを手に取る。
美月の目線が鋏に移る瞬間、彼女の目には明確な不安と期待が交錯しているのが見て取れた。

翔太自身も興奮で心が高鳴っていた。
この美しいロングヘアをボブに変えることが、その後の更なるステップ、夢にまで見た刈り上げに繋がるのだと感じていた。

鋏を持つ手がわずかに震えている。翔太は深呼吸を一つして、鋏を髪に持っていく。

ジョキン…

緊張と興奮が頂点に達したその瞬間、美月のロングヘアが肩のラインで切られた。

切られた髪が「バサッ」とケープに落ちる音が、その瞬間の緊張感を際立たせた。

美月は切られた髪が床に落ちるのを見て、一瞬その表情が固まった。

翔太は鋏を一旦下ろして、美月の顔を観察する。
「大丈夫ですか?」

美月は少しだけ笑った。「ええ、大丈夫です。ちょっと緊張していただけです。」
その言葉に翔太も安心した。

一つ目のステップは成功した。
心の中で、次へのステップ、刈り上げへの可能性が少しだけ広がったように感じた。

「それでは、引き続き進めていきますね。」
翔太は再び鋏を手に取り、美月のカットを手際よく進めていった。

肩のラインで切りそろえられた美月の髪が、翔太の目には新しい輝きを放っていた。
美月も鏡に映る自分の新しいスタイルに目を細め、不安そうな表情は少しずつ晴れていく。

「いかがですか、美月さん? 新しいスタイルに少し慣れましたか?」

「ええ、ちょっと見慣れないですけど、新鮮でいいかもしれないです。」
美月の言葉に翔太は心から安堵した。そして、この瞬間こそ、次の一歩に踏み出すべきだと感じた。

「それなら、もう少し短くするのはどうでしょう? 顎のラインまで少しだけ短くすると、更にすっきりとした印象になると思いますよ。」

美月は一瞬、目を丸くした。しかし、翔太の提案に全く拒絶感を示すわけではなかった。

「顎のラインまで、ですか。うーん、それってもうかなり短いんじゃないですか?」

「確かに、現在の長さからすると一気に短く感じるかもしれません。でも、引っ越しを機にイメージを変えたいとおっしゃっていたので、少し大胆な変化も新しいスタートに良い刺激になると思います。」

翔太は美月の目を直視した。その目には未だ迷いがあったが、翔太の言葉に少しずつ納得していくような光も感じられた。

「確かに、何か新しいことを始めるための第一歩として、思い切ったことをしてみるのもいいかもしれないですね。」

「それは素晴らしい考え方だと思います。」

「じゃあ、その…もう少し短くしてみてください。」

美月のその言葉を聞いた瞬間、翔太の心は再び高鳴った。

このステップが成功すれば、次に繋がる。その「次」が、彼が密かに夢見ている刈り上げスタイルに一歩近づくことを、翔太は確信していた。

「では、切っていきますね。」
鋏を再び手に取る翔太。

この瞬間の美月の表情は、不安よりも期待が勝っていた。そして、鋏が再び髪に触れた瞬間、新たな可能性が広がっていくのを二人とも感じた。

チョキ…チョキ…

肩口のボブから顎のラインのショートボブに切り込まれた美月の髪が新しい形になりつつあり、それは翔太にとっても非常に興奮する瞬間だった。しかし、彼はまだ満足していなかった。

ここでその単語を出す時だと、彼は心の中で確信していた。
ある程度切り終わると、翔太が口を開いた。

「谷口さん、どうでしょうか?顎のラインのショートボブです。やはりものすごいお似合いですね。可愛さの中に清楚さが見え隠れしていて。男性からモテモテだと思います。」

「あ…ありがとうございます。ショートボブかわいいですね。」美月もまんざらでもない様子だった。

「すごいお似合いだと思います。ただし…美月さんの髪はとても固く、量も多いので、ご自身でブローしてきれいなショートボブを作るのは、ちょっと難しいかもしれません。」

「え…」美月は困惑した表情を浮かべた。

ここで翔太は深呼吸を一つし、ついにその単語を口にした。

「実は、量を減らす方法として、内側を刈り上げる手法があります。それによって、重さを取り除きながら、よりスタイリッシュな印象を与えることができるんですよ。全体を空いちゃうと、かわいいボブじゃなくて芋臭いおかっぱ頭になっちゃうんですよね。」

翔太はあえて、刈り上げない選択肢を閉ざすようなきつい言い方をした。

美月の表情が一瞬固まった。その反応を見て、翔太は美月が何を考えているのか、非常によく理解していた。

「刈り上げるのは…はちょっと…」
これまでと違い美月の声は明らかに消極的だった。しかし、翔太はその答えに屈するわけにはいかなかった。

「確かに最初は少し抵抗があるかもしれませんが、美月さんのような髪質では、内側を刈り上げることで扱いやすくなると共に、見た目も格段に良くなると思います。」

翔太の目は熱を帯びていた。
この提案が通れば、彼がずっと夢見てきたスタイルへ一歩近づける。だから、彼は美月に対して少し強引に、しかし確信を持ってその提案を押し通した。

「この方法は本当におすすめです。一度試してみてはどうでしょうか?」
美月は翔太の目に込められた情熱に少し圧倒されながらも、何かを決断したような表情を見せた。

「わかりました、そこまで言うなら…お任せします。」
その答えを聞いた瞬間、翔太の心は高鳴りを隠せなかった。

そして、その瞬間、翔太は自分が夢を掴んだことを確信したのであった。


翔太は内心で踊り跳ねていた。

美月の言葉、「お任せします」が彼の耳に優美な交響曲のように響いた。

しかし、その喜びを表に出すこともなく、彼は次なるステップへと進むべく、刈り上げるためにバリカンを手に取った。

バリカンのスイッチを入れると、独特な機械音が店内に響き渡った。

ヴィーーン!!

その音に、美月の顔が一瞬、ゆがんだ。まるでこの瞬間が彼女にとって未知の領域に足を踏み入れる象徴であるかのように。

翔太はその美月の反応に気づいてはいたが、一切気にする素振りも見せずに強引に彼女のもみあげにバリカンを当てた。

そのバリカンにはアタッチメントがついていなかった。

彼は美月の髪に対する自分の欲望を最大限に高め、一気にそのもみあげを刈り取る。

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