私の夫はとても良い人だ。仕事にも一生懸命取り組んでいるし、それと同じくらい育児をしてくれる。イクメンという言葉があるけど、それとも違う、もはや夫の方が働く母のようになっている。
娘が産まれた時、ちょうど予定日で、夫の帰りは遅くて、私は1人たっぷり夕飯を食べた。何となくお腹が痛くて横になっていたら、グルグルっという音がした。後から分かったが破水だったらしい。でも陣痛はなかったから、帰ってきた夫にまだいいかねと言うと一応病院に連絡した方がいいと言われ、電話すると病院に行くことに。陣痛タクシーを呼んで夫と一緒に病院へ。タクシーの中で段々陣痛らしきものを感じ始めた。病院へ到着すると内診があり羊水が垂れて止められない。それなのに淡々としている当直医に不安を感じつつ分娩室へ。お腹の痛みはどんどん酷くなり、これまた初心者っぽい看護師さんに点滴のライン取りを何回も失敗され(私は血管が太いから失敗されたのは後にも先にもこの時だけ)、気持ち悪くなり、看護師に背中をさすられて余計に気持ち悪くなり食べた夕飯を全部戻してしまった。夫はずっと付き添ってくれた。無痛分娩を希望していたけど、子宮口が5センチ以上開かないと麻酔できないと言われ、痛みにじっと耐えた。もう我慢できないほどの痛みで来てくれたベテラン看護師さんがもう子宮口開いてると確認してくれてようやく麻酔を入れてもらえた。そこから産まれるまで1時間もなかった気がする。新米看護師さんのせいで麻酔を入れるのが遅かったのではと疑念が残ったが、夫の優しさに救われた。その頃、テレビで産後クライシスの特集を見た。出産前後の夫の態度でその後の夫婦関係が決まるというもの。夫が私だけでなく、娘も私以上によく見てくれて私は今心から感謝している。
夫とは友だちの友だちを呼んで皆で遊ぶ会で出会った。その頃の私は母を亡くして30を過ぎて結婚しようと決心していた。自分から頑張ろと。夫を初めて見た時、正直これはないなと思った。一風変わったネックレスをしていたし、私がこれまで出会ってきた恋愛対象男性ではなかった。ないな、と思ったら気負いがどこかへ行き、リラックスしてその場を楽しめた。会が終わってから、幹事を通してお礼を言いたいと言っているので連絡先を教えてもいいかとの連絡がきた。夫によると本当に下心はなくお礼をしたかっただけだったとのこと。そこからメールのやり取りが始まって、ビールと旅行が好きと言う共通点で飲みに行くことになった。

最近、夫は「集中力がなくて、これが精神病かもと感じる」という。締め切りの多い仕事に、家事に育児に休みがなく、疲れてしまっている。とても心配だ。夫はよく「これほどやっている男性はいないよ」という。本当にその通りだなと思うと同時に、申し訳なく思う。専業主婦だった私の母は、「誰かひとり家にいるといいでしょ」といって何から何まで色々なことをやってくれていた。だからこそ、父も仕事に没頭できたし、子どもも一生懸命勉強できたなと思う。それを、夫も私も働きながらやろうとしているのだから、いっぱいいっぱいになってしまうのは仕方ないのだけれど。

夫よ、本当にありがとう。夫が元気になれますように。

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