汚してすと/殖える・殖えないの傾向を識る

加工食品に雑菌ちょこっと汚染させてみて、雑菌が殖える(10倍以上になる)かならないか、これを調べるのが「汚してすと」。

この結果から、製法や保存方法を抜きにした、
加工食品そのものの安全性が「◯・✕」で評価できます。

「✕」であれば、たとえば次のような対応をとったりします。
配合見直し。あるいは開発中止。
発売するにしても保管温度は常温禁止で、冷蔵必須。


せっかく得られた「汚してすと」、集まってくればより活用できます。
雑菌が「殖える」傾向を数値で表していくわけです。
検体が多いほど、検体ごとに集めるその項目が多くなるほど、ある加工食品の「安全性(危険性)」の精度は上がります。

たとえば製品で「塩分濃度」を測定していたとして、次の結果が得られたとします。その結果に何かしら傾向が認められれば、今後の開発品や、まだ「汚してすと」を実施していない既存品に当てはめ、「安全性(危険性)」を評価できるわけです。


               殖える率*
 塩分5%未満        60%
 塩分5%以上、10%未満  40%
 塩分10%以上、15%以上  3%
 塩分15%以上        0%
  *殖える率=「殖える(type-5)データ数」 ÷ 「全てのデータ数」

いろんな原料が入っていれば、こんなシンプルな結果にはならないはずです。しかし他にも pH や Brix といった別の測定値や、「水」や
「お酢」など原料の配合率など、意味ある項目を増やせれば精度を上げることが可能です。
更に、2つの項目の組み合わせで散布図を作り、「殖える」「殖えない」の散布を視覚的に捉えることで、その境界の設定につなげたりもします。


(開発や工場の)現場感覚とズレがあれば、その違和感を大切に、修正していきます。

* データ数が少ないのに、強引に数値評価していた。
*社内で◯◯と呼ばれている「塩分0%で水40%以上」で表せる商品群にはあてはまらない。

こうした個別の評価を足していけば、対象品の「安全性(危険性)」についての総合評価を数値で表せるようになってきます。
(このとき信憑性につながる「データ数」や「精度」が反映される措置は必要です)

そして総合評価が現実とそんなズレがなければ、貯めていくことで評価の精度をより高めていけます。

最終的には「レシピ・測定値」から、菌に対するリスク(安全性)を数値で表せるようになります。

社内では、商品間でどちらが安全か(危険であるか)を判斷する目安ができるわけです。重宝されると思うのですが・・。
「汚してすと」は日数がかかるので、「レシピ・測定値」の段階で、「汚してすと」をするまでもなく、初期の段階で、配合の見直しであったり、流通は常温ではなく冷蔵が適正と提案できたりするのは助けとるはずです。

まとめると・・、
 a.「汚してすと」の結果
 b.「分析値・レシピ」のデータを一覧表にまとめる
 c. 菌が「殖える」「植えない」の傾向を把握する。
 d. 商品のリスクを「数値」で評価できるようになる。
 e. 現場感覚とのズレ(違和感)を大切にし、数値化の係数を修正する。

<貯まってくると>
 
1. 分析地とレシピの配合から、リスク総合評価を求める。
2. 過去の結果から明らかであれば、善し悪しをジャッジ
 常温ok? ◯◯の配合を増やす(減らす)必要ありの提案。
3.断言するほどの精度がなければ、評価通りか「汚してすと」を実施。
*想定評価と違う結果がでた場合、その要因を考え、総合評価の精度向上につなげる。(原料◯◯が入っていると、この評価システムは現状だと、一切意味をなさないなど)


このやり方自体は秘密にするほどの重要なものではありません。
重要なのは、「実際に測定し、検討したデータ」です。

それは企業によって取り扱う原料、注視する菌、工場の設備・衛生レベルが違ってくるので、どんなに総合評価の精度をあげても、他社にとっては参考レベル止まりです。

汚してすとやそれから得られた総合評価が、菌にまつわる過去のクレームや社内のトラブルと重なると、まわりの協力姿勢が一気に変わるはずです。
そうなればより、安全への意識がより一層身近に感じられると思います。


いずれはこの総合評価を、匿名ながら信憑性を維持し、企業間で情報を共有していければと考えています。
(データ提供者は低額または無償で情報提供・・・嘘をどう防ぐ?)
(データを取得だけの場合は、数に応じて金額+・・・検査機関への依頼額レベルにはしたくない)


■参考

検査項目の例
Brix、 塩分、 pH、 水分活性、 アルコール濃度 など

レシピのグループ例
水、 食塩、 エキス、 しょうゆ、 醸造酢、 非加熱原料 など

「殖える」「殖えない」の境界評価 やり方案
一次:任意の濃度範囲における「殖える率」
二次:散布図(一次の組み合わせ多数)
*確実に「殖える」だけでなく、確実に「植えない」ゾーンを探すのもて。
*「殖える」「殖えない」は、全体の「殖える率」(平均)から、任意の条件で絞り込んだことで「殖える率」が、どれだけ増減したか、その差で判斷。
*境界はある程度は混ざっていてもやむなしとしないと、設定できない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?