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わたしのスターはあなたです

2021年夏、港ヨコハマでのエモーショナルなお話。

宝塚歌劇花組公演『銀ちゃんの恋 ー銀ちゃん、本日も反省の色なしー』を観劇しました。その日の座席はKAAT神奈川芸術劇場の1階センターブロックひと桁台。こんな素晴らしい席に座れるなんて夢ですか?もしかしたら私もうすぐ三途の川を渡るんですか?それでもいいです。本望です。神様ありがとうございます。

私は主演の水美舞斗さんが大好きです。そしてどこにでもいる普通のファンです。宝塚のファンといえばジェンヌさんへの熱い応援で一部有名ですね。最近は芸能人や作家など著名人がファンを公言し、その熱い想いをメディアで発信することも多くなりました。

が、私はそんな熱心なファンの方々には遠く及ばない、ミジンコのような弱小ライトファンです。ん?そんなに卑下しなくてもいいか。ミジンコにだって命はあるさ。そんなミジンコファンの私ですが、水美さんが主演をされるというニュースには心が踊りました。

忘れもしない2021年4月5日16時。公式サイトでニュースを見たときは心臓が大きくドクンと脈打ち、実際そのときAppleWatchで測定したら心拍数120/分、ついでに血圧を測定したところ172/102というハイスコアを打ち出しました。それくらい水美さん主演の発表は私を興奮させたのです。
その前に病院行け。

劇団には約400名ほどの生徒が所属していますが、その中でも別箱で主演ができるのは、ほんのひと握り。しかも併設の小劇場・バウホール公演ではなく、外部の劇場東上付き公演。よくよく考えたら、ものすごいことなんですね。
ミジンコでもその意味することはよく分かっていますので、水美さんが努力と研鑽を重ねた結果掴んだ主演だと思うと、その尊さたるや容易に言葉にすることは不可能です。

ここで素敵な文章をどこかの作品から引用できればいいのですが、某文学部で鍛えたはずの私の脳のメモリからずいぶん多くの文章がデリートされてしまったので、水美さんを語る上でもっと相応しい表現ができません。それこそ私も努力と研鑽を積み重ね、水美さんを語るに相応しい言葉のセンスを磨かなければなりません。そんなことはまあいい。


さて、いまさら語るまでもないのですが、どうしても私の人生の記録と記憶として、水美さんのことを綴りたいと思います。いわば私と水美さんのガール・ミーツ・ボーイ?ガール・ミーツ・ガール?
すみません。私が「ボーイ・ミーツ・ガール」という言葉が好きなんです。ガールというにはずいぶん時が過ぎてしまったけど。

2016年の秋に前贔屓様をお見送りしてからというもの、宝塚への情熱がだんだんと冷めていき、ついに観劇回数も年に数回、片手に収まる程度にまで落ち込んでしまいました。

「決してキライになったわけじゃないけど、恋はしばらくもういいかな」

おかざき真里先生のお仕事マンガさながら仕事に明け暮れる日々を送っていました。なんてカッコよく言えたらいいんだけど実際はPTAだの晩のおかずだの泥臭い日常ですよ。

泥臭く冴えない日々を過ごしていた私ですが、2020年春の新型コロナウイルス感染症の流行と、それに伴う緊急事態宣言発出には参りました。

まず私の仕事が忙しくなりました。

というのも私の職業は「占い師」です。しかもオンラインを主戦場とする占い師です。
占いに関するライティングやちょっとした研究も行っていますが、主たる仕事は占い師としての活動です。
人は不安になると占いを求めます。先が見えないから、不確かだけど何かしらの道標を指し示す役割を担う占いは非常にニーズがあり、しかもオンラインということで、通常時よりもだいぶ忙しかったのです。

私だって先が見えなくてつらいんですよ。
そんな私の唯一の楽しみはCSの宝塚専門チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」でした。

折しも「宝塚はそろそろ卒業かな、スカイステージ解約するかな」と思っていた矢先の自粛期間、ステイホーム推奨期間でした。
毎日毎日コロナコロナコロナの民放を流しっぱなしにするよりも、夢と煌めき(とトンチキ)の詰まった宝塚歌劇の世界を流していたほうが精神衛生上良いだろうと家族の意見が一致。解約は先送りし、我が家のリビングは毎日が劇場になりました。


さて本題。
その日もほとほと占い疲れてソファに横たわり、流しっぱなしのスカイステージをなんとなく眺めてました。そう、眺めてる。決して能動的ではない夜の堕落した時間。
夜の番組紹介のジングルが流れ、ひとつ気になる作品に目が止まりました。

『Senhor CRUZEIRO!ー南十字に愛された男—』

ああ、マイティーね! マイティーいいよね! 好き!
マデレーネ以来見てないけど鬼島森吾の写真がカッコよかったな。
マイティーのバウ、評判良かったもんな。
よし、見よう見よう! これは見よう!

※すっかり忘れてましたが、2018年夏に『Beatiful Gardenー百花繚乱ー』を観劇してました。失礼しました。

今思うとだいぶ適当ですね。そもそも95期というブランド?があるのもよく分かってなかったし、人気のほども分かっておりませんでしたごめんなさい。

ステージは二部構成で、第一部はショー仕立てのお芝居。南十字星に愛されたスターの生涯といったストーリーで、歌にダンスに熱量のあるパフォーマンスで圧巻されました。
芝居だよね?これ芝居だよね?と何度も問いたくなるほど桁違いにハイレベルなダンスシーンのオンパレード。
ブエノスアイレスのクラブの場面では、息を呑むほどの見事なアルゼンチンタンゴを披露してくれました。お相手は現星組娘役トップの舞空瞳さん。この場面だけでも水美さんのダンススキルはもとより、人を育む力、包容力といったものも見せられ、ひととしての魅力にグイグイと引き寄せられたのは忘れられません。

そして第二部。
多彩な歌とダンスの場面が次から次へと繰り広げられ、それだけでも見応えじゅうぶんでしたが、ついにその時が来たのは、オーセンティックなラテンミュージックの場面でした。

若手男役が袖にはけて中央の階段からひとり現れる水美さん。曲はコール・ポーターの『Night and Day』

So a voice within me keeps repeating,
YOU! YOU! YOU!

ハイ落ちた!

 
3回目の“YOU”でカメラ越しにバチコンウィンクいただきました!
ハイ落ちた!

ちょっと!どうしたのマデレーネ!?
いつこんなに色気のある男役さんになったの?
あーもう無理!無理!こんなの好きになるしかないじゃない!
そのまま言葉を失い呆けていたら…来たよ。ついに来たよ。
フィナーレナンバーの『約束の地』

一人ひとり下級生が歌い出す。
優しく強く、クルゼイロを称える合唱が聞こえる。
そしてスポットライトを浴びた水美さんが、上手から飛び出してくる!出演者たちの満たされた表情。そして、満面の笑みで誰よりも明るく、熱くパフォーマンスする水美さんは、私達見るものにこれ以上ない幸せをくれました。

こんなに人を幸せな気持ちにしてくれるタカラジェンヌ、なかなかいません。あたたかい気持ちにしてくれるタカラジェンヌ、なかなかいません。
転げるように「水美沼」に落ち、もはや水美さんしか目に入らないくらい、大好きになりました。


ここまで長くなりましたが、港ヨコハマでのエモーショナルなお話。
8月24日『銀ちゃんの恋』千秋楽。
カーテンコールは4回(6回だったかも…)。外箱では異例の4回(6回…?)
「愛される、ってこういうことなんだ」
大好きな人が、多くの人から愛されているのを目の当たりにして、この幸せな時間、何物にも代えがたいこの時間、空間にともに存在できることを心から嬉しく思い、水美舞斗という人を好きになったことの奇跡を心から感謝しました。
お芝居の感想は、いつかまた。

8月の宵闇の湿った空気の中を、夢から醒めることもできずゆっくり歩く。
これからの彼女の宝塚人生、きっともっと私達に幸せと興奮を与えてくれるに違いない。
そう思いながら「水美舞斗のファン」である自分がとても嬉しくなりました。

ずっと大好きでいたい。
ずっと応援したい。
あなたの宝塚人生にどんなことが起こっても。
私がもらったあの笑顔と多幸感に少しでもお礼をしたい。

これからもきっと、私達の想像を遥かに超えるパフォーマンスと、暖かくチャーミングな人柄も見せてくれるでしょう。

ありがとう。
わたしのスターは、あなたです。
あなたしか、いない。

水美舞斗の宝塚人生に幸あれ!

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