海外MBAで直面した日本の現状 将来について考える

こんにちは、Change Agentを目指すMasamiです。私については、自己紹介投稿をご参照ください。

日本のサブカルチャー(漫画、アニメ)はとてもシンガポールでも人気です。製品のクオリティでは、Japan Brandが強調され、オペレーションマネジメントについても、トヨタ、Tessei(東北新幹線の清掃会社)等がビジネススクールのケーススタディに取り上げられ、一定の評価を受けています。

就職先として不人気を極める日系企業
しかし、グローバル“経営”という観点では、ほとんどの場合、評価されていません。例えば、シンガポールでは大学生の人気就職先トップ100に日系企業は、商社、銀行も含めて一社すらランクインしていません。

この経営が評価されていない理由は日系企業がバブル期に日本の内需を頼りに勃興した後、海外進出(グローバル化)に舵をきった為だと考えています。

ポイントは、内需勃興時に大きな成功体験をしたため、海外進出時に日本で成功した制度をそのまま持ち込み、グローバルビジネスへの適応が遅れてしまった点です。

その結果、繰り返しになりますが、シンガポールにおいて日系企業は人材登用において後塵を拝しています。優秀な人材を確保したくてもグローバル企業と同等の賃金は提示できませんし、例え確保してもすぐに転職されてしまう現状にあります。(台湾でも、シンガポールほどではないにせよ、同様な傾向があるようです)

良く言えば従順な、悪く言えば向上心の乏しいナショナルスタッフを抱える。
そこで落ち着く状態は、グローバルな活躍を求めない地元に根ざした現地人をそこそこの給与で雇う、という状況になります。この場合、必要最低限の仕事は回りますが現地スタッフの持つそもそもの向上心が少ないため、生産性が上がりにくいでしょう。彼らをマネジメントする日本人駐在員は、苦労することになります。任せられない分を自分でやるか、すべきことの質を下げるかという選択を迫られてしまいます。これは由々しき問題です。うまく組織が回っている場合もありますが、それは一部の日本の文化が好きで、日本をもっと知りたいというコアなスタッフに支えられているケースである気がします。
一方、ビジネススクールにゲストスピーカーで来るようなトップグローバル企業は、採用のスタンスが日系企業と180度異なります。彼らは、自分たちよりも何かの分野で”優れた”Candidateを採用すると断言します。そしてやり甲斐のある仕事を任せ権限委譲し、採用する側の人間はより高次元なJobに焦点を置き組織を成長させていきます。

本当にグローバルビジネスで戦えるのか?
ともあれビジネススクールで学ぶグローバル経営・人材育成と、日系企業が海外拠点で実施している内容は、驚くべきギャップがあり、大変強い危機感を覚えています。“良い人材を確保できず、育てられず、グローバルビジネスで生き残っていけるはずがない”。そのような印象を持っています。これからのグローバルビジネスの中心はアジアに間違いなくシフトしています。中国の重慶・深セン、インドのバンガロール・ムンバイを訪問し、現地企業を視察してきましたが、ギラギラした若い人材が活躍できる環境が整っています。想像を遥かに上回る、発展を見せています。

“海外拠点はミニマムコストで運営“、”意思決定権限は日本本社“ を経営トップが真のグローバル化の為に見直す覚悟が問われている。

日系企業の本社組織の人間関係は、基本は気遣い、信頼関係で構築されていると思います。ただ、そこに数週間もの事前承認プロセスがあると、グローバルビジネスに生きる人材は逃げてしまいます。日本人の美徳はグローバルビジネスでは、評価されません。権限委譲と、権限を委譲できる人材を外からの刺激を与えながら、内側から育てていく必要があります。具体的には、海外拠点はミニマムコストで運営、意思決定権限は日本本社という方針を、ビジネスに応じて変えていかなければなりません。これにはトップの決意が必要です。

これから問うべきは、ES(Employee Satisfaction)ではなく、Q12 (キュー・トゥエルブ)。 Engagement:自発的貢献意欲に焦点を当てる。

米ギャラップの調査(2017年)によると、日本で働く社員のエンゲージメントは調査対象139カ国中132位という結果になっています。このエンゲージメントの状態は、以下の12の質問を5段階評価で回答することにより測定することができます。
1. 職場で自分が何を期待されているかを知っている
2. 仕事を上手に行うために必要な材料や道具を与えられている
3. 職場でもっとも得意なことをする機会を毎日与えられている
4. この7日間のうちに良い仕事をしたと認められたり褒められたりした
5. 上司または職場の誰かが自分を一人の人間として気にかけているようだ
6. 職場の誰かが自分の成長を促してくれる
7. 職場で自分の意見が尊重されているようだ
8. 会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
9. 職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
10. 職場に親友がいる
11. この6ヶ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
12. この1年のうちに仕事について学び成長する機会があった

ちなみに平均スコアが3.8を超える組織はエンゲージメントレベルが高いとされ3.2を下回ると要注意とされます。3.6が平均的な点数であるようです。
企業の方向性に対する理解・帰属意識・行動意欲を高めて、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲をもった集合体を作っていきたいです。そのヒントが上記12のクエスチョンになると考えています。

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