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日本の漆のために遠方でできることを探る。埼玉県で岩手県の漆掻きさんに会う

2023.3.20
岩手県二戸市の漆掻き、長島まどかさんが埼玉の漆畑に遊びにきてくれました☀️

岩手県は日本産漆の7割以上を生産、
「漆掻き」はウルシ(木)から漆(塗料)の元になる樹脂・樹液を採取する人です。
InstagramでDMを頂き、今回初対面でしたが長島さんは実は埼玉縁の人。

(茨城県奥久慈の漆掻きの岡さんも埼玉出身だし、各地の漆生産に埼玉の影がチラホラ。)


岩手県の漆生産現場のリアルなお声を聞けました。
関東からネットを見てるだけでは分からない事が多い。

長島さんを始め、漆産地で活躍されている漆掻きの皆さんが末長く安心して漆生産に取り組めるよう、何か応援できることはないのかな?と常々思っています。
産地がないと他所の漆工も成り立たないから、まったく持って他人事じゃないのです。


具体的に漆産地では何が必要なのか?
お金?たしかにお金がすっごい沢山あれば解決する事は多い。
寄付も良いかもしれない。

でもちょっとやそっとのお金じゃ解決しない。
茨城県でも訊いたりしていますが、直近で一番足りないのは、やはり、マンパワー。

土地があっても定期的に管理できる人材が足りないから漆を植えられない。
産地はどこもそれが問題のようです。

植えてから漆掻きができるようになるまでに岩手県なら15年はかかる。(関東では10年)
その間年に数回下草刈りをしないとウルシはうまく育たない。
しかし草が元気な時期は漆掻きがもっとも忙しい時期と重なる。
だから欲しいのは漆掻きの皆さんが一番忙しい夏の間、山の斜面でひたすら下草刈りできる人材。

刈払機などのちゃんとした研修が必要。
都会の人間がボランティアで気軽にできる事は少ない。

今までは地主さんが好意で下草刈りをしてくれるのでどうにか…それも過疎化に伴い地主さんは高齢化していて、「土地は貸せるけど管理は自分でやって」と言われる事が増えているそう。

これからは下草刈りの人件費がちゃんと確保できたらいいのかな?

がしかし、
現在の漆代にはほぼ反映されていないようです。

ただでさえ国産漆は高いと言われていて、価格を上げれば買い控えが起こってしまう現状です。

私のような器関係者は、器の単価がお客さんにダイレクトに響くので、価格には慎重になる気持ちもわかります。


漆の周りの問題は解決は難しいのだけれど、
産地から離れた所にいる人間ができることは、国産漆が値上がりしても買い続けるぞ!と言える力を付ける事かと思います。
そして多くの人が漆を知ると価格以上の価値があると気づいて貰えると、高い漆でも成り立つのでは?
なので、漆を知ってもらうための活動もよいのではないかと考えています。


(なんだかんだ言って、作り手が一番すべきことは買いたいと思える魅力的な漆製品を作ることなんだよ!それは分かってる。その上での話です。)


今後も産地に注目して、何らかの形で応援できたらと思います。


4股の枝どれを切ろうか相談してるとこ。
漆掻き目線で掻き易いポジションを考慮しながら枝の付き方を見て選ぶ長島さん。

いろいろ勉強になりました。
長島さんありがとうございました😊

#埼玉に漆を植える会 #ウルシ #漆畑 

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