見出し画像

冶金技術について簡単にまとめてみた

こんにちは。namihiroです。

本日は鉱石や不純物の多い金属から純度の高い金属を取り出す冶金という技術について記事を書いていこうと思います。

前回は人類が最初に発見したであろう化学反応、物が燃える燃焼反応について投稿しました。
冶金には高温が必要なケースが多いので、燃焼反応の発見が冶金技術の発展につながったと言えると思います。
また、冶金技術により得られた金属を混ぜ合わせて合金とすることで、別の特性を金属が手に入ることもあります。
より強く加工しやすい金属が手に入ると、強い武器が大量に作れて戦争に勝てるため、冶金技術は紀元前の国力に大きく影響を及ぼしていきます。
より強い素材を探し求めて冶金技術を磨くってモンハンみたいですね。

本日の記事は冶金技術の概要、冶金技術の発見が歴史に与えた影響をまとめたのちに、最後に冶金技術の詳細を少しだけ書きたいと思います。

冶金ってなに?

冶金は大きく分けると製錬と精錬に分類されます。
製錬とは鉱石を還元することによって金属を取り出す操作のことを呼びます。製錬により取り出された金属は純度が低い場合が多いため、純度を高める操作を精錬と呼びます。
メチャクチャざっくりいうと、鉱石の還元というのは錆びた金属をピカピカの状態に戻す作業です。
※厳密にいうと違いますので、ご興味がある方はご質問ください。

冶金技術の発見って何の役に立つの?

過去を振り返ると冶金技術の発見は大きく歴史を変えました。
イントロで書いた通り、冶金技術により、今までよりも強く加工しやすい金属が手に入ると、強い武器が大量に作れて戦争に勝てるためです。
人類が最初に手に入れた武器は石器です。
紀元前200万年頃に石をたたいて砕いた石器を作った旧石器時代が始まり、紀元前1万年頃に石を削る技術を見出した石器時代となります。

最初に冶金が発見されたと言われているのは今のトルコやイラン、イラクにあたるメソポタミア地方です。
紀元前5500年ごろになると、メソポタミア地方のペルシャ付近で銅の冶金が始まり、銅器の発明につながります。
木の棒の先っぽに尖った石を付けた人たちと、銅の鎧を纏って、銅製の剣を持った人たちの戦い・・・。
どう考えても銅製の武器を持っている人たちが勝つでしょ!
この石器が銅器に代わっていった時代を銅器時代と呼ぶそうです。

紀元前3600年ごろになるとメソポタミア地方南部に都市国家を建設したシュメール人たちが銅よりも加工しやすく、強度も強い青銅を発見します。
青銅とは銅とすずの合金で光沢のある奇麗な金属です。
青銅は武器や生活の道具として人類の歴史の中に大幅に取り入れられるようになります。
銅器が青銅器に代わっていった時代を青銅時代と呼ぶそうです。

紀元前1500年頃になると冶金技術は急激に進みます。
エジプトの遺跡では足踏みふいごを用いた土のルツボで銅を溶かし、大きな青銅の扉を作っている様子が描かれているそうです。
もののけ姫の多々羅場は既にエジプトでは稼働していたんです。

紀元前1100年頃になるとメソポタミア地方の北部に住むヒッタイト民族が鉄の精錬技術を発明します。
鉄製の武器や戦車を次々と発明し、ヒッタイト王国を建国していきます。

このように後にヨーロッパやアラビア、東洋まで影響を与えるメソポタミア地方の発展は金属の冶金技術とともに発展していきます。

現在でも冶金技術や私たちの生活に必要不可欠です。
車や建物、家電なんかに使われている鉄やアルミニウムなども冶金技術を駆使して製造されています。
もちろん技術レベルは全然違いますけどね

余談ですが、精錬せずとも準ピンが手に入る珍しい金属にがあります。しかし、産出は非常に限られていたため、貴重な金属として知られていました。しかも、美しいため、装飾品として人類に使われた最古の金属で、美術工芸品にも多く用いられました。その後、銀や銅と共に貨幣にもなり、現在では投資の対象にもなっています。医療や電子材料の分野でも必要な材料です。金などの貴金属については別に記事を書こうと思います。

冶金って具体的にどういう作業をするの?

製錬には大きく分けると乾式精錬湿式精錬還元製錬溶融塩電解などがあります。

乾式製錬は高温で鉱石を溶かして欲しい金属を回収する方法です。
溶かした鉱石から金属を液体で取り出す方法を溶融製錬、気体で取り出した金属を冷やして回収する方法を蒸留製錬と呼びます。
乾式製錬で回収される金属は鉄・銅・鉛・亜鉛・水銀などがあります。
乾式製錬の中でも鉄や銅のようにコークスやブタンガスのような還元剤を用いて精錬するものを還元製錬と呼びます。
もののけ姫に出てくる多々羅場とかは鉄の還元製錬ですね。

湿式製錬はアルカリや酸で鉱石を溶かして欲しい金属を回収する方法です。
湿式製錬で回収される金属は金・銀・プラチナなどがあります。

溶融塩電解はイオン性の鉱石を高温で溶かした後に、電気分解により欲しい金属を回収する方法です。
イオン化して水に溶けやすいために、湿式精錬が使えない場合によく用いられます。溶融塩電解で回収される金属はアルミニウムやナトリウムなどがあります。

これらを本質的に理解するためには酸化還元反応やイオン化傾向を理解する必要があるため、酸化還元やイオン化傾向の記事を書いたらリンクを貼りますね。

冶金技術によって人類の歴史が変わってきたことがお分かり阿多だけたと思います。
僕は細かい現象の理解も大事ですが、その現象がどう世の中の役に立って、どういう歴史を経て発見されたのかということが重要だと思っています。
この記事で興味を持っていただけた方は是非、ご自分で詳細に調べていただければと思います。
質問やご指摘なども是非お願いいたします。ではでは(^^)/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?