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分つ季節
俺の名前は大泉研磨。
俺には幼い頃からロックスターになるという夢がある。
そのために今日故郷を後にする。
旅立ちに別れはつきものだ。
悲しみを悟られないように俺は皆に別れの言葉を放った。
「ばいばいバイセクシャル!多様性!多様性!」
その大きな声に反して、あまりにも静かな群衆。
耳にまで届いた風の音は俺に冬を伝える様だった…
白い雪、赤い顔、冷たい風、あちあちの耳、震える足、ちっぽけな勇気。
その全てが俺に冬を知らせた。
しかし僕は諦めなかった。
「さよならー奈良奈良の大仏キャノン、ヒューンボカーン!!」
しんしんと降り積もる雪、僕の大きな声は空に吸い込まれ、辺りは静寂に包まれた。
かつて3丁目の爆笑王と呼ばれた俺は、今や見る影もない。
俺はそっと目を閉じて現実から目を逸らした…
だが闘志の炎は消えてなかった。
「ぶりぶりうんちのフラメンコっ、ヘイ!!」
視界が暗くなり、誰の声も聞こえなくなった。
みんないるはずなのに、まるで一人ぼっちになったみたいだ。
暗闇の中をあてもなく彷徨う。
消えた炎は2度と灯らないのか?
そんな時に一筋の光が差した。
俺はすかさずその光にしがみついた…
「おしりがぶりぶりサンバ!おしりがぶりぶりサンバ!」
光は掴めるわけもなく、僕はそのままケツからくずれ落ちた…
そのケツはやがて、雲になり大地に雪を降らせた。
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