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がんもどき

お箸で四等分にしてもまだ一口には収まらない、大きながんもどき。

がんもどき

この子が「そうです、私が主役です」と言わんばかりの大皿に盛られてほかほかで出てきた時の驚きと嬉しさが忘れられない。

出会いは8月の終わり、9月の初め。突然現れた二連休に富山に行った時のお宿HOUSEHOLDさんの朝ごはんで。私の前にどーんと現れたがんもどき。

写真では伝わりづらいので大きさをお伝えすると長野のおやきサイズである。両手にすっぽり。他のもので例えるとなんだろう。多分、大きめのハンバーガーのバンズとか。でも厚さがその3倍くらいはある。(でもおやき以外の例えではしっくりこない。)

写真は待ちきれずにもう自分のお皿に取ってお箸を付けるギリギリでなんとか取った写真。目の前に現れた時はもっと大きなお皿に、2つのがんもどきが盛られていました。澄んだお出汁のつゆと一緒に。

お箸で切り分ける時、じゅわっとして、じゅわってした…!って嬉しくなっちゃった。そのまんまである。捻りもナニもない。仕方ない。お出汁がしみしみしてるなぁ〜ほかほかだなぁ〜と思いながら口に運んで頬張ったがんもどきはやっぱりとっても美味しい。ふわふわかと思いきや意外としっかりしてて、お出汁が似合う飾らない味。こんなに大事にがんもどきを噛み締めたのは人生で初めてだった。

話は少し変わり、関西に引っ越してきた時に知った言葉の一つが「炊く」という言葉だった。関西では「お米を炊く」以外にも「出汁や煮汁を食材に含ませる」ことも指すらしい。調理の方法としては煮ると似ていて、個人的にはこれは煮たもの、これは炊いたもの、の区別が付いていなかったけど、HOUSEHOLDさんで食べたがんもどきは「炊いたん」だろうなあと初めて自分なりに「炊く」を感じることができたこと、あれはうまく言葉にできないけど世界が広がったみたいな幸せな経験だった。

それにしても主役のがんもどき、素敵だったなあ。




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