金融バブルについて


 商業銀行が実体経済に資金を融資する際、もちろん借り手の存在が必要だよね。一方で金融市場にも、資金を借りたい投資家がいる。商業銀行は融資によって利益を得ているので、実体経済への融資と金融市場への融資を区別することはない。

 投資家に対する融資も信用創造により通貨供給量が増加することになる。そして金融市場で流動性が過剰に高まると、株式や不動産などの特定の資産価格が本来の価値を超えて非現実的な高騰を見せることがある。これをバブルと呼ぶんだ。

 バブルの初期段階では、資産価値の上昇に正当だと思われる理由が存在するかもしれない。でも価格が上昇するにつれ、メディア報道や口コミが増加し、新規投資家が市場に参入する。やがて、根拠のない期待だけで多くの人々が資産を購入し始めるんだ。

 資金増加により自信を深めた投資家は、借金による投資を増やす。何かのきっかけで投資家心理が変わり、資産の売却が始まると、下落する価格を見てさらに多くの投資家が一斉に資産を売却しようとする。価格は急落し、市場にパニックが広がり、バブルは崩壊する。これにより企業の倒産が増え、失業率が上昇し、デフレの進行が加速することになる。

 過剰なリスクを背負った投資家は、購入価格以下での売却や、さらなる資産売却、場合によっては破産に追い込まれる。破産は借り手の借金と貸し手の資産が同時に消滅することを意味し、融資した銀行が損失を被ることになる。これが流動性リスクの高まりにつながり、金融市場の不安が経済全体に悪影響を及ぼす可能性があるんだ。

 でも借金や融資自体が悪いわけではない。信用創造によって生み出されたお金が経済を循環させることは重要だ。問題なのは、根拠のない借金による投資が多発し、過剰な流動性が増加することで、急激な価格の暴落リスクが高まることなんだ。

 金融バブルの兆候は多岐にわたるが、政策や規制の細かな変更に対して金融市場が敏感に反応することも、バブル形成の一因になる。特に、長期的な視点での政策変更が、短期的な投機的な動きを引き起こすことがある。

 また、新規参入者の増加も、バブルの兆候の一つとされている。特に経験や知識が乏しい投資家が市場に大量に参入することは、市場の過熱を引き起こす。これらの新規参入者は、市場の動向を正しく理解せずに高リスクの投資を行いがちで、バブルの形成を加速させることがある。

 新技術や革新的なビジネスモデルに対する過剰な期待も、過去に多くのバブルを生み出した。論理的に見える物語ほど人々はそれを信じやすく、短期的に大量の投資を呼び込むのだけれど、しばしばその期待が現実には及ばないため、バブルの崩壊を招くんだ。

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