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「改悪」だけでない?-原作から変更があったおすすめアニメ-

はじめに

先日、Twitterで「原作改変」がトレンドに上がっていましたね。
『鬼滅の刃』第2期の放送権をフジテレビが獲得したため、それに対するツイートが多かったようです。
直近で目立った『約束のネバーランド』第2期を例に挙げる人も多く、なかなか根深い問題だなと思います。(『約ネバ』第2期は僕も観ていたので言いたいことはすごくわかる)

が、そこでふと思ったのですが、原作から多かれ少なかれ変更があったアニメ作品って結構ありますよね。
そこで今回は、その中で僕個人が「原作から変更があったけど面白い作品って何かある?」と聞かれた際に答えるであろう作品を(視聴当時の記憶とWikipediaを頼りに)ピックアップしてみたいと思います。

どっちが良いとかどっちが悪いとか、そういう話ではないです。念のため。

『鋼の錬金術師』

FULLMETAL ALCHEMISTじゃないほうのアニメ版『鋼の錬金術師』
2003年から2004年にかけて土曜夕方に放送され、原作の漫画が完結していない時期のアニメ化ということで物語の途中からオリジナル路線に。
原作者である荒川弘先生「根っこの部分さえ取り違えなければ思い切りやっちゃってOK」「原作と全く同じならアニメという別メディアに乗せる必要は無いと思うので」と発言しているとか。
(Wikipediaによるとアニメージュ2003年12月号のインタビューより)

存在を知らない人もそろそろいるのではないかというこの作品、内容のほうは賛否両論分かれるストーリーとなっていましたが、僕は好きです。
ストーリーはもちろん(?)、「賢者の石」「真理の扉」「ホムンクルス」など、設定も一部原作とは異なっていましたが、どれも納得できる内容で気になるほど破綻はしていない印象でした。
それらを踏まえたうえでのオリジナルの展開やキャラ設定までしっかりしてましたし、原作と異なるラストも良かったと思います。

後日譚である『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』もアニメ版『鋼の錬金術師』独自の設定、ラストに合わせてその完結編としてクオリティの高いものとなっていました。
中途半端に原作に合流する方針ではなく、完全にオリジナル展開を貫き通したところが好印象ですね。
後年に原作準拠の『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』が放送されたこともあって、原作派からも完全に別作品として落ち着いている印象です。
ただ、土曜夕方にはヘビーな内容なのは『FULLMETAL ALCHEMIST』と同じでしたね。今だったら企画通らないんじゃないかな。

また、アニメオリジナルのキャラでライラという女性がいるのですが、当時「女性キャラの髪型は絶対ロング派閥」だった僕を「ボブカットスキー」に変貌させたげんきょ……、もとい起源となったキャラです。
もう一つ、とある性癖を拗らせるきっかけとなったキャラでもあるのですが、大きめのネタバレになるので割愛。
「鋼の錬金術師で好きなキャラは?」と聞かれたら即答でライラと答えるくらい好きですね。十中八九「誰だっけ?」と言われますが。

さらに余談ですが、僕が人生で初めて買ったCDはこの作品の主題歌アルバムでした。
OPもEDも、いい曲しかないのです。。

『血界戦線』

お次に紹介するのは『血界戦線』の第1期目。2015年4月から放送された作品です。

ところで、原作者がアニメ化に際してオリジナル要素を監修するパターンも多いですよね。
特に『ONE PIECE』『ドラゴンボール』の劇場版が印象的ですが、こちら『血界戦線』はTVアニメ化する際にホワイトとブラックいうキャラを原作者である内藤泰弘先生が監修しています。
アニメの監督が原案ではあるのですが、内藤先生が設定・デザインを監修し、原作にないアニメ版独自の良いフレーバーとなっていました。

更には、原作のストーリーの合間にホワイト・ブラックのストーリーをちりばめ、1クールを通して見た際に1本のオリジナルストーリーが描かれる仕掛けになっており、最終話である12話では放送時間を拡大してそのラストを飾りました。
オリジナルストーリーの内容も原作のアニメ化部分を邪魔しないよう、キャラクターの中でホワイトとブラックが絡むのは主に主人公のレオ、という構成は見事でした。
(とはいえさすがに終盤はレオ以外のキャラクターもオリジナルストーリーに絡んできますが)

基本的に原作である1話完結の話をアニメ化しつつ、連続したストーリーを展開する手法は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』でもありましたが、終盤に向けての盛り上がりが特徴的であり、面白さでもあります。
そこにオリジナル要素を取り入れることで、原作のアニメ化と同時に原作とは異なる刺激を加えることが実現でき、新規層・原作既読層両方にとって中だるみのしない作品に仕上がっていたと思います。
また、第2期である『血界戦線 & BEYOND』ではオリジナル要素が無くなり、原作をなぞるアニメ化となりましたが、ほんの少しだけブラックが登場しており、レオとの第1期後のつながりがちゃんとあるのも良かったですね。

おわりに

以上が僕がお勧めするであろう「原作から変更があった」作品です。
結構内容が重めな作品ですが、それは僕の好みですね。

他にも『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』とか『こどものじかん』とか『劇場版BLEACH MEMORIES OF NOBODY』とか、考え始めたらたくさん出てきましたが、特にすぐ思いついた2作品を今回は取り上げてみました。
サブスクで『鋼の錬金術師』『血界戦線』も観られるみたいなので、観ていただけたら嬉しいです。

最後に少しだけ僕の意見を書かせてもらうと、個人的に「原作改変」は容認派です。
ただし、かっこ書きで(作品をより良くしようとする)が付きます。
今回取り上げた作品はどちらも制作スタッフ(あるいは原作者も)が面白くしようとした結果、原作とは違う内容となったと僕は思います。
「原作から変えた」ことで受け手の評判が「良かった」、または「悪かった」のどちらだとしても、制作側の挑戦の姿勢が感じられれば、僕はその挑戦を評価します。(というと少しおこがましい気もしますが)
僕の感覚としては、荒川先生「原作と全く同じならアニメという別メディアに乗せる必要は無いと思うので」と近いです。

その変更が合わない人が出てくるのはある種仕方のないことではあると思います。
上記の作品にしても、僕は原作との違いがあっても良かったと感じましたが、やはり原作そのままのほうが良かった、という人もいるでしょう。現に『血界戦線』については身近でいました。
僕個人は創作に片足突っ込んでいることもあり、作品に触れる際は制作側の事情も考えるようにしています。
受け手としては発表されたものを受け取ることしかできませんが、純粋になぜその表現を選んだのかの理由に興味があるからです。
(僕自身が他人の意見に影響を受けやすいのであえて明記しますが、僕の感覚を押し付ける意図はないです)

少しだけといったな、あれは嘘だ。(ごめんなさい)
「原作から変更があった」からといって盲目的に離れるのではなくて、こういう作品もあるけど観てみない?ということが言いたくて書き始めた記事でした。
色んな作品に触れている方にとっては「何をいまさら」なことかもしれませんけど、それを建前に僕の好きな作品を紹介したかったのだなと思ってください。

『鬼滅の刃』第2期がどのような作品になるのかまだわかりませんが、楽しみにしている1人のファンとして、妥協ではなく挑戦的な作品となることを願って。

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