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京大ロー 令和6年入試 再現答案 商法

①問題・出題趣旨

②再現答案(第1問・2.5枚)

※ナンバリングはメモし忘れたので端折ります

本件契約は「株式会社がその発行済み株式の全部を他の株式会社に取得」させる旨の内容なので株式交換契約(2条31号、767条)としての性質を有する。そうすると、有効な株会決議が必要(795Ⅰ)だが、その前提として、本件契約が代表権を有する代表取締役(363Ⅰ)により締結されなければならない。したがって、そもそもBが代取としての地位を有するかが問題となる。

2023年6月の定時株主総会の決議がなされるとA B Cは取締役の任期が終了し、再度新たな取締役が選任される(332Ⅰ)。本問ではBCDが再度取締役として選任(329Ⅰ、341)されてるが、同株主総会を招集されるための取締役会決議(298Ⅳ)が開催されていない。また、代取でなく平取締役であるBが株主総会を招集している。したがって、株主総会の第1決議は法的瑕疵が著しく法的不存在として株主総会第1決議は不存在となる(830Ⅰ参照)。最高裁も同様の結論を取る。

そうすると、第1決議の選任決議後において、BCDは取締役としての地位にない。なお、前述のようにABCは任期が終了しているが、選任決議も不存在である以上、代表取締役と役員に欠員状態が生じている。したがって、権利義務代表取締役にAが就任し(351条1項)、権利義務取締役としてBとCが就任する(346条1項)。よって、本件で有効な取締役選任決議がなされてない以上、実質的には法的な意味における取締役会(362Ⅱ③)も開催されておらず、Bの代取選任決議は法的には意味をなさない。

ゆえに、Bは代表取締役としての地位を有さない。本件契約は無効であるのが原則である。

もっとも、会社取引は日々流動的に行われるため、取引の安全を図る必要があることから、R社を何らかの法的構成により保護することはできないか。

主張しうる手段1つ目として、第2決議(795Ⅰ)は一部の株主を除くほとんどの株主により承認されている。実質的な会社の利益帰属主体たる株主のほとんどが承認しているため、有効として良いのではないか。
最高裁によれば、当初の先行決議が不存在の場合、その後の後行決議が全員出席総会であるなどの特段の事情のない限り、瑕疵が連鎖的に連鎖するため、後行決議も不存在となる。
本問は全員出席総会ではないため、特段の事情なし。
上記主張は取ることはできない

主張しうる手段2つ目として、代表取締役である外観を有する事を信じた第三者を保護するため、354条の適用によりR社は保護されないか。
「代表取締役以外の取締役」○
「株式会社を代表する権限を有すると認められる名称」○
「付した」○
悪意者は重過失者と同視できるため、R社は善意無重過失者であれば保護される。対象は、株主総会決議の存在と有効な代表権の存在する者である事である。その結果、P社とR社との間で債権債務関係が発生し、本件契約は有効となる。
以上

③再現答案(第2問・2枚)

(1)
130の対抗要件備えなければならないため、133Ⅰ及びⅡが定める手続を取ることが必要である。
P社が株主名簿の書換を不当拒絶した場合には信義則に反するため、手続取らなくともP社に自らがP社の株主であることを対抗できる

(2)
有価証券の内容は125各号事由に該当する事柄が記載されているため、会計帳簿ではない。

125Ⅱに基づく閲覧請求

どの程度の理由記載する必要あるか
会社が開示を要求されてる帳簿の範囲を知り、125Ⅲで列挙されてる閲覧拒否事由の存否を判断するために必要であること、一般的調査が容易に認められると閲覧株主による情報の不正利用等の危険が生じるので、それを防止する必要がある。
したがって、理由は具体的に示す必要がある。
Q社は、2023年7月に、P社における株式の持合い工作を進めていることを理由に上記請求をしており、請求理由は具体的に示されているといえる。

P社は、持合い工作を進めている事実が客観的に存在することを立証できていない主張するが、このような反論は認められるか。請求者は請求理由を基礎付ける事実を立証する必要あるかが問題となる。
閲覧請求はまさに請求を基礎付ける事実の有無を知るために行われるのであって、請求を基礎付ける事実を証明できるのであれば、そもそも閲覧請求をする必要はなく、立証まで要することは情報収集を必要とする株主の権利行使が十分機能しなくなるおそれがある。のみならず、会社の内部事情に精通しているとは限らない株主にかかる立証を要求することは、株主に困難な立証を強いることとなるから、立証は不要である。
したがって、P社の上記反論は認められない。

P社は、Q社がP社と実質的に競争関係にある事業を営んでいるから、125Ⅲ②が定める閲覧拒否事由に該当する旨反論するであろう。
「業務の遂行を妨げ…る目的」○

125Ⅱに基づく請求は認められない。
以上

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