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推しパフェ屋さんの夏カフェ営業最終日(srecette)

長いようで短い、私の夏が終わった。
9月20日(水)天気は曇時々晴のち雨、最高気温は33℃。
曇りがちな空と高い気温が相俟って、なんともいえない生ぬるいじっとりした風が頬を撫でる。
それでも少しばかり秋めいた景色を見かけるようになったからピーク時よりは和らいでいるのだろう。

このお店に来るときは、いつも少し早足になってしまう。
元々歩速は遅くないのに、期待と緊張とワクワクとドキドキで逸る気持ちが抑えきれた試しがない。
数年通ってようやく見慣れた扉を前に予約時間まで静かに待機。
通行人が好奇な目で見てくるが構わない。
いつものことだ。
(見慣れた扉になった時、同時に好奇の目も気にならなくなった)

ギィ、と強風にも負けないだろう重たい扉が開く。
「こんにちは、今日もよろしくお願いします」
店主さんが直々に予約の時間と名前を確認してくれる。
「今日「も」よろしくお願いします」と言ってもらえることに、こそばゆさを感じつつ指定された席、店の一番奥に向かう。

着席し、ひと息つく。
店内の香りはいつもの慣れた無機質なそれに安堵する。
「最後だから」という気持ちと私の腹具合を天秤にかけていたら後から追加可能だということを聞き、一旦注文へ。

アイスミルクティー

湯の沸く音と、カシャカシャと金属が擦れる音がBGM。
と同時に、注がれた各種のお茶の香りがふうわりと店内を満たす。
マスク越しにも感じるそれに思わず頬が緩む。
提供されたと同時にすぐさま香りと味わいを楽しむ。
今回の茶葉のアイスミルクティーはとても軽やかだった。
ミルクの白色とお茶の茶色の境目が分からないような白さが美しい。

『Écumeなペッシュメルバ』

続いてメインディッシュの『Écumeなペッシュメルバ』。
フランボワーズソースがたっぷりと桃のコンポートを包み込み、爽やかな酸味が口の中いっぱいに広がっていく。
フランボワーズソースを添えられているアイスやソルベなどと一緒に楽しめる、無限の楽しさ。

中国茶とマカロン

そして数々のスイーツ(のペアリング)を支える数種類のお茶。
個人的にはこれをなくして語れないと思っている。
今回注文したお茶はオーソドックスながら花の香りのする中国茶。
これがまあ大当たりだったわけだ。
「ペッシュメルバ」にも「マカロン」にも「ソルベ(後述する)」にもピタッとハマったのだった。
この店主さんが期間中、厳選する茶葉たちを今回はどんなお茶にしようかな?と毎回頭を悩ませるのもこのお店ならではだと思っている。
(そしてその時間も私にとって至福だったりする)

今夏最後の推しマカロンをひとかじり。
突き抜けるスパイシーな柑橘。
余韻が尾を引く。

チョコミントソルベ

最後に、冒頭で心残りだった天秤はどうやらチョコミントソルベに傾いたようだった。
このチョコミントソルベは筆舌に尽くしがたい。
本物のミントが圧倒的存在感を持って鎮座している。
チョコレートは添えるだけ、と思いきやこちらは食感をくすぐってくる。
人生でこんなチョコミントソルベを食べたことは今までになかったため、衝撃だった。
この感動はきっと忘れられないだろう。

陶芸家 新見麻紗子さんの作品展示

夏カフェ営業期間中、このカフェで使用されている器の展示も新しくて楽しかった。
晴れている時と曇っている時でも表情が全然変わってきて、陶芸の奥深さを感じた。
そんな素敵な器で提供されるスイーツの表情も輝くのも頷ける気がした。

もう、終わってしまうのか。
“夏“はあまりにもあっという間だった。
その中で噛み締めたこの幸せは、きっと私の中に残り続けるのだろう。
そうして、また次の作品へと想いを馳せるのであった。

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