見出し画像

ストックオプション(SO)設計のエッセンス

AZXさん主催のストックオプションセミナーにおいて、メルカリ小泉さん、ラクスル永見さん、SmartHR宮田さんのお話しを聞いて、SO設計の思想に関するエッセンスをまとめてみました。

これからSO設計をする経営者向けのノートです。

※特段の記載がない限りSO:税制適格ストックオプションを指します。
※法務・税務は専門の方への相談や確認をお願いします。

SO付与の対象とその目的を定める

給与、賞与もある中で、それぞれの役割をどのように考えるか次第でSOの位置づけが変わってきます。給与がベースとなり、賞与が単年度の成果報酬の位置づけとした場合に、SOに期待される役割は以下の4つに分類されます。

SOに期待する役割
1. 経営的インパクトに対する報酬/期待
2. 転職時の給与ダウンの補填
3. 長期貢献・長期就労の動機付け
4. 入社の動機付け


ビジネスモデルと競合環境を踏まえた設計をする

SOの役割を考えるにあたって、ビジネスモデルと市場での自社の評価の二軸で考える必要があります。

①ビジネスの成果がでるサイクルの長さ

極端な例ですが、ソーシャルゲームとSaaSで比較すると、ゲームの方が短期、SaaSは長い期間を経て成果が上がる事業と言えます。給与・賞与が足元の評価と連動しやすいことを考えると、SOによって長期的な貢献に対する報酬と就労のインセンティブを設計することが可能になります。一方、ゲームの場合は、短期的な賞与で対応した方が良い可能性も見えてきます。



②採用・就労環境における総合的な競争力
仕事は、心理的な報酬と金銭的な報酬の二つで選ぶので、それを総合力とした時に競合に勝てるかどうかで、SOを就労の動機付けとするケースがあります。


一方で、本質的な働き甲斐や個人の能力を引き出す環境を提供できてない限り、SOは会社に金銭的報酬を求める人材を引き寄せてしまうので本末転倒です。
余談ですが、シリコンバレーはリスクマネー過多が人材争奪戦に輪をかけていて、SOがないと採用ができないという異常な環境で、日本も少しその様相が見え隠れしますが、会社の本質的な価値を見失わないでいたいですね。

CXO/幹部と従業員へのSOの考え方

CXOと従業員で、報酬が分けられるべきかは議論あるところかと思いますが、採用時点の市場評価が分かれているという前提で分けて記載します。

CXO/幹部の場合
会社のミッション・バリューへの共感は当然として、新しい価値創造がCXO/幹部には求められます。一つはその成果への報酬という意味。もう一つは、成熟産業の一線で活躍している方は、かなり高い給与・賞与水準であることがあり、まだ利益の出ていないベンチャーへの転職によって給与ダウンすることがあります。働き甲斐だけでは補いきれない部分を、将来的な企業の価値の向上(貢献)と連動したSOが効果的に活用できるという考え方です。
従業員の場合
会社の成長に合わせ、個人に挑戦する機会が提供されることは、大きな心理的報酬になります。この場合に、競合と比較して同等の給与・賞与が出せていて、正しく評価できているならば、十分な報酬とみなすことはできないでしょうか。
将来的に経営幹部へと成長が期待されるようなメンバー含め、中長期に貢献を期待する従業員への経営メッセージとしてのSOを付与をするケースがあるかと思いますが、SOの価値は決して分かりやすいものではなので、将来的な価値をしっかり伝達をして付与をするのはマストです。

まとめ

SO導入ではじめに整理すべきことは、①CXO・従業員で分けて、②ビジネスモデルと競争環境を考慮して、③給与・賞与・SOのそれぞれの位置付けを決める事です。

経営者の考え方次第と思いますが、どのような設計にしようかと考えた時の参考となれば幸いです。また改めて、SO価格と付与数の考え方、渡す時の留意点など具体的なポイントについても、そのうちノートにしたいと思います。


#経営, #経営者, #CXO, #採用, #報酬, #インセンティブ, #ストックオプション, #SO

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?