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歯列矯正が保険適用にならない「言ってはいけない」理由

日本の医療保険について多くの人が長年抱いてきた疑問の1つが、

「なぜ歯列矯正は保険適用にならないのか?」

というものだろう。

歯並びが悪いことで自信が持てなかったり人前で笑うことがはばかられたりする人は多く、歯列矯正が保険適用になって治療を受けやすくなれば多くの人の幸福度が向上することだろう。

また、歯列矯正は単に見た目がよくなるという審美的なメリットだけでなく、嚙み合わせが整うことによって集中力やフォーマンスが向上したり、ブラッシングがしやすくなることによって歯周病や虫歯の予防に繋がったりするなどのメリットもある。

歯周病は腎臓病・肺炎・心血管疾患など様々な病気の遠因や悪化要因でもあり、多くの人の歯周病リスクが低減することは医療費の増大に歯止めをかけることにも繋がる。

「矯正費用が保険適用になればそのコストは巨額になるのでは?」

と考える人もいるだろうが、最も安価な治療方法である表側メタルワイヤー矯正のみを保険適用にすればそれほど大きなコストにはならないだろう。

検査料や毎月の調整料金を入れても総額70万~100万円とされており、保険で負担されるのは50~70万円ほどに収まるだろう。意識のない高齢者の延命治療に毎月数十万円を使えるのだから、全く問題ない数字ではないだろうか?

こうしてメリットとコストを並べてみると、どう考えても歯列矯正を保険適用にしない合理的理由がないのである。

もちろん、矯正治療という高度な医療を全国同水準で確保することの難しさや矯正歯科医の利益の問題、外国と比較して歯並びへの関心が低い国民性や文化など、様々な理由が一般的には語られている。

しかし、そのどれもが決して乗り越えがたいハードルではなく、とりわけお金で解決できる問題に関しては、それこそ高齢になってからの高額な延命治療と引き換えにしてでも実現する道があるはずなのだ。

それなのになぜ歯列矯正を保険適用にしようという動きが政界に見られないのか?

そこには、一般的に語られている理由とは異なるもう一つの理由があるのではないかと私は考えている。

その理由とは、

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